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ヤオコー、株価は上場来高値。営業利益は35期連続の最高益へ、既存店売上高は17カ月連続のプラス

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(画像= La Caprese)

2024年3月8日、東京証券取引所でヤオコーの株価が一時8,953円まで買われ、上場来高値を更新した。2023年1月16日の安値6,560円から14カ月近くで36.5%の上昇である。

ヤオコーは、食品スーパーマーケットを運営する企業である。その源流は、1890年に埼玉県比企郡小川町にて開業した青果商「八百幸商店」にまでさかのぼる。1958年には、セルフサービス方式の販売形態を導入し、食料品・日用品を幅広く取り扱う「食品スーパーマーケット」の業態に転換した。現在は埼玉県を中心に、千葉県、群馬県、茨城県、東京都、栃木県、神奈川県の1都6県に広く店舗展開し、生鮮食品、惣菜をはじめとする食料品ならびに家庭用品などの住居関連商品の販売を行っている。

後段で述べる通り、ヤオコーが公表した、❶2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷2024年2月の既存店売上高が前年同月に比べて11.8%増と伸長し、17カ月連続のプラスを記録したこと……などが株価にも追い風となっている。

今回はヤオコーの話題をお届けしよう。

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ヤオコー、純利益は31.2%増

2024年2月13日、ヤオコーは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、営業収益が前年同期比9.2%増の4,695億7,300万円、本業の利益を示す営業利益は同21.3%増の318億0,800万円、経常利益は同22.3%増の316億7,200万円、純利益は同31.2%増の220億8,800万円と増収増益となった。

同期は、新型コロナ禍の行動制限緩和を背景に経済活動が緩やかな回復傾向を示した。しかし、その一方で世界的な金融引き締めによる景気の下押しリスクや、長期化するウクライナ情勢、さらには中東情勢の緊迫化により、依然として先行き不透明な状況が継続した。食品スーパーマーケット業界では、オンライン取引を含め、業界の垣根を越えた厳しい競争に加え、商品の値上げや為替の円安進行、原燃料価格など各種コストの高騰が継続し、厳しい経営環境となった。

こうした環境下、ヤオコーは「ミールソリューション(※1)の充実」と「価格コンシャス(※2)の強化」を基本方針とし、第10次中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の最終年度としてメインテーマである「『2割強い店づくり』の実現」に向け、「価格対応」「個店の販売力強化」「独自の商品開発・開拓」「生産性の向上」の重点施策に取り組んでいる。

具体的な戦略は以下の通りである。

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商品・販売戦略:ミールソリューションの充実と価格コンシャスの強化を推進

商品面では、ヤオコーの独自化・差別化につながる品揃えを実現するべく、ミールソリューションの充実に注力した。また、バリューチェーン全体で競争優位を実現するため製造小売業へ踏み込み、SPA型の商品開発の拡大を図った。さらに、豊かで楽しく健康的な食生活のさらなる充実に向けて、 プライベートブランド Yes!YAOKOに新たな健康ライン「Happiness(ハピネス)」を加え、2023年11月より順次展開してきた。

一方、販売面では、二極化対応を継続し、価格コンシャスを強化した。「厳選100品」やカテゴリー別価格対応、生鮮の頻度品などの価格政策に取り組んだ。同時に、技術力を高めることで魅力的な売場づくりに注力した。また、集客強化を図るべく、単品量販を推進する「日本一企画」、地方の特産品を品揃えする「産地フェア」、イタリア大使館貿易促進部とパートナーシップを結び、直輸入商品を中心とした「イタリアフェア」を全店で実施した。

なお、キャッシュレス決済サービス「ヤオコーPay」は2023年6月から全店展開となり、消費者の買物の利便性を高めるべく、取組みを推進している。

運営戦略:AIの需要予測に基づく自動発注システムを活用

運営戦略は、まず生産性向上のために自動化による業務改善やデジタルを活用したカイゼンに取り組んだ。グロッサリー商品を対象としたAI(人工知能)による需要予測に基づく自動発注システムの活用は順調に推移し、生産性向上に寄与した。また、レジ部門においてはフルセルフレジの導入を推進した。

新設した草加物流センター(埼玉県草加市)は、初となる自社WMS(倉庫管理システム)や店舗および構内作業軽減のため順立てシャトル、GTPシャトルを新たに導入し、順次管轄店舗を拡大、安定稼働を図った。加えて、循環型社会に向けて廃棄削減、節電、リサイクル推進の取組みを継続した。エコセンターにおいては、想定以上の稼働が続いているが、店舗での資源回収のさらなる向上を図り、活用拡大する方針である。

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育成戦略:働き方に対する意識改革、労働環境を改善する取り組みを継続

育成戦略では、カイゼンと並行して働き方に対する意識改革や労働環境を改善する取り組みを継続した。主体的な成長を促し、働きがいにつながるよう階層別教育機会の見直しを行い、セミナー、研修を実施した。同時に、女性活躍のための働きやすさ改善も図ったほか、70歳まで働ける健康づくりの推進などの健康経営にも取り組んだ。

出店・成長戦略:グループ全体で201店舗を展開

出店・成長戦略は、2023年8月にスクラップ&ビルドにより深谷上野台店(埼玉県深谷市)をリニューアルオープンしたほか、11月に松戸上本郷店(千葉県松戸市)を開設した。加えて、既存店の活性化策として、6店舗の大型改装を実施した。また、店舗を拠点とするヤオコーネットスーパーは5店舗追加し、23店舗で展開している。

その結果、2023年12月31日現在の店舗数はグループ全体で201店舗(ヤオコー184店舗、エイヴイ13店舗、フーコット4店舗)となった。

用語解説

(※1) 「ミールソリューション」:消費者の毎日の食事の献立の提案や料理のアドバイスなど食事に関する問題の解決のお手伝いをすること。
(※2) 「価格コンシャス」:消費者が買いやすい値段、値頃を常に意識して価格設定を行うこと。

営業利益は35期連続の最高益へ

2024年2月13日、ヤオコーは2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、営業収益で前期比1.7%増の5,740億円、本業の利益を示す営業利益で同0.2%増の263億円、経常利益で同0.0%増の256億円、純利益で同1.0%増の160億円と従来予想(2023年5月10日公表)を据え置いた。見立て通りとなれば営業利益は単体決算の時期も含めて35期連続で最高益を更新することとなる。

なお、冒頭でも述べた通り、ヤオコーが先週3月6日に公表した2024年2月の既存店売上高は前年同月比で11.8%増と伸長し、17カ月連続のプラスを記録した。既存店客数は同7.9%増、既存店客単価は同3.6%増といずれも堅調な推移を示している。

引き続き、ヤオコーの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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