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イーサポートリンク、最終黒字に転換。株価は年初来高値、生鮮流通のソリューションカンパニー

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(画像= La Caprese)

2024年5月2日、東京証券取引所でイーサポートリンクの株価が一時1,004円まで買われ、年初来高値を更新した。今年1月4日の安値866円から4カ月で15.9%の上昇である。

イーサポートリンクは、生鮮流通に特化した物流システムの開発等を手がける企業である。生鮮流通は気候や天候に左右されやすく、鮮度管理や在庫管理が難しいとされてきた。イーサポートリンクが開発した物流システムは、生産者の生産履歴から卸→仲卸→小売・量販店までの流通情報をトータルで管理することで、流通上に発生する「ムダ」を最小限に抑え、需要に応じた的確な仕入れ、販売とトレーサビリティを実現するものである。イオングループ向けの物流システムを一手に受託しているほか、農業支援事業も展開している。

後段で述べる通り、イーサポートリンクが公表した2024年11月期・第1四半期(2023年12月1日~2024年2月29日)の連結業績が最終黒字に転換するなど、好調な業績が株価のサポート要因となっているようだ。今回はイーサポートリンクの話題をお届けしよう。

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イーサポートリンク、最終黒字に転換

4月4日、イーサポートリンクは2024年11月期・第1四半期(2023年12月1日~2024年2月29日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比19.5%増の12億8,000万円、本業の利益を示す営業利益は5,100万円(前年同期は2,400万円の営業赤字)、経常利益は5,100万円(前年同期は2,500万円の経常赤字)、最終利益は2,900万円(前年同期は1,800万円の最終赤字)となり、各段階利益は黒字に転換した。

生鮮流通業界は、人口減少等の社会課題を背景にDX(デジタルトランスフォーメーション)への積極的な投資や、企業の統合・再編等の動きが加速するなど、事業環境は大きく変化している。スーパーマーケットを中心とした小売量販店では、長引く物価高から消費者の節約志向を捉え、PB(プライベートブランド)商品の開発や価格訴求力の高い商品の値下げ、高付加価値型PB商品の展開等、さまざまな手法で事業拡大に取り組みながら、❶AI(人工知能)技術を活用した需給予測や自動発注システム、❷レジを無くした自動決済システム等への投資、❸移動販売やEC販売、❹スマートストア……など新たな販売形態により、店舗運営の効率化と消費者の多様なニーズへの対応を進めている。

一方、中間流通業においても「物流の2024年問題」からAI技術を活用した配車システム等への投資や、事業者間の提携を踏まえた共同輸送等、配送効率化への取り組みが見られる。さらに、国内の農業・生産サイドにおいては、生産者の高齢化や異常気象による主要産地からの農産物の供給不足が懸念される中、農作業の効率化・省力化や、食料の安定生産を支援するIoT機器やAI技術への投資により、社会課題の解決に向けた取り組みが進んでいる。

こうした状況下、イーサポートリンクは既存事業の収益基盤を維持・拡大しつつ、生鮮分野において環境に配慮した持続可能な流通に貢献する「小商圏」「地域活性化」を軸としたビジネスに注力した。その結果、受託業務量やシステムのトランザクション量等、取扱高が好調に推移し、各段階利益は黒字に転換した。

セグメント別の概況は以下の通りである。

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オペレーション支援事業

オペレーション支援事業の売上高は前年同期比14.7%増の8億3,900万円、セグメント利益は同25.6%増の2億8,100万円と大幅な増収増益となった。

同期は、「輸入青果物サプライチェーン事業」で新規顧客の獲得に向けて、既存業務の整理を行い、新たな業務受託体制の構築と並行しながら、既存顧客へのサービスの質の維持にも努め増収増益となった。一方、「生鮮MDシステム事業」は新技術への対応等に関わるシステム投資を行いながら、大手量販店のグループ企業、子会社等への導入を推進したことで、課金対象となるトランザクション量が堅調に推移した。「青果売場構築支援事業」は、バックオフィス業務の効率化を行いながら、新たなパートナー企業の開拓、並びに導入店舗の拡大を実現した。また、地場野菜の調達支援サービス「es-Marché」は、小売量販店の販売量の増加に伴って、サービス取扱高が増加し、売上は堅調に推移した。

農業支援事業

農業支援事業の売上高は前年同期比29.6%増の4億4,100万円、セグメント損失は500万円(前年同期は2,100万円のセグメント損失)となった。

「りんご・国産青果物販売事業」は、令和5年産のりんごが天候不順等の影響により、前年度に比べて集荷数量を十分に確保できなかったため、品質面も考慮して当初の計画より前倒しで出荷を行い、高単価販売に取り組んだ。さつまいもは、新規顧客の獲得に向けて、調達と販売の運営体制を見直したことにより、販売量が堅調に推移した。その他の国産青果物については、優良な生産者の開拓と季節商材の集中的な販売に取り組んだ。また、「有機農産物販売事業」については、一部の国産商材が相場安の影響を受ける一方、輸入商材の売上は堅調に推移した。

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持続可能な成長を目指して

4月4日、イーサポートリンクは2024年11月期・通期(2023年12月1日~2024年11月30日)の連結業績予想について、売上高で前期比21.9%増の55億6,300万円、本業の利益を示す営業利益は同32.7%増の1億800万円、経常利益で同42.6%増の1億800万円、最終利益で同62.3%増の7,600万円と従来予想(2024年1月12日公表)を据え置いた。

イーサポートリンクは、これまで培ってきた輸入青果物の流通オペレーションにかかわるノウハウや知見をもとに、高齢化による人手不足など社会構造の問題、サプライチェーンの変化による業界の課題に引き続き対応するほか、環境問題への意識の高まりなどを背景に多様化する顧客ニーズに対し、効率的で付加価値の高いサービスの提供を実現することで持続可能な企業の成長を目指す方針としている。

引き続き、イーサポートリンクの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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