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マクニカHD、生成AIブームで人気化。株価は上場来高値、2031年3月期は売上高で2兆円以上を目指す

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※画像はイメージです。(画像= TY_Photo / 写真AC、La Caprese)

2023年9月27日、東京証券取引所でマクニカホールディングスの株価が一時7,300円まで買われ、上場来高値を更新した。今年1月5日の安値3,055円から8カ月半で139.0%の上昇である。

マクニカホールディングスは、半導体や集積回路等の電子部品の輸出入および販売等を手がける企業の持株会社である。また、同社は米国の半導体大手のエヌビディアの国内正規代理でもある。エヌビディアはAI(人工知能)向けの半導体で世界全体の約8割のシェアを占めており、2022年11月にOpenAIが公開したチャットGPTを皮切りに生成AIブームに火がついたことから業績期待が広がった。この影響からマクニカホールディングスも「生成AI関連銘柄」の一角として注目されている。

後段で述べる通り、マクニカホールディングスが発表した①2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績が大幅な増益となったほか、②2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想も上方修正されたこと、③さらに、9月25日には長期経営目標を上方修正し、2031年3月期・通期(2030年4月1日~2031年3月31日)の売上高を2兆円以上(従来目標は1兆3,000億円以上)、営業利益を1,500億円以上(従来目標は1,000億円以上)とすると発表したこと……などが株価にも刺激材料となっている。

今回はマクニカホールディングスの話題をお届けしよう。

マクニカホールディングス、純利益で72.8%増

7月31日、マクニカホールディングスは2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比15.4%増の2,785億6,200万円、本業の利益を示す営業利益は同68.4%増の206億5,300万円、経常利益は同73.9%増の196億1,100万円、純利益は同72.8%増の135億8,000万円と大幅な増収増益となった。

同期は、日本において新型コロナウイルス感染症の分類が5類に変更となり、経済活動の制限がほぼ解消されたことから景気は緩やかながらも持ち直しが見られたものの、世界的にはウクライナ情勢の長期化による政情不安、インフレ抑制を見据えた政策金利の引き上げに伴う為替変動、米中の貿易摩擦など、依然として先行き不透明な情勢となった。

そうした中、エレクトロニクス産業全体では、スマートフォンやパソコン向けが主になる最先端製品のメモリーなど一部製品について需要の減速がみられ、半導体製品の供給ひっ迫状況にピークアウトの兆しが見られた。一方、産業機器市場では将来の半導体確保に向け各国政府主導による半導体設備への投資が進められたほか、製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)向けの設備投資も堅調に推移した。

また、車載市場では半導体不足が徐々に解消へ向かうなか、ADAS(先進運転支援システム)をはじめとした安全性の向上・自動化に向けた高度な制御システム、脱炭素化に向けたEV(電気自動車)化の動きが加速し、車1台当たりの半導体搭載量も増加傾向にある。IT産業においても、企業のIT投資環境は引き続き良好であり、DX等をテーマとする投資に加えて、新型コロナウイルスの収束による国内外の経済活動の正常化によりビジネス規模の拡大等に伴うIT投資も拡大した。

さらにセキュリティに関しては、サプライチェーンの弱点を悪用したサイバー攻撃によるインシデントが複数発生しており、日本政府が「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を見直すなど企業のサプライチェーンに対するリスク認識も高まっており、社会全体でサイバーセキュリティ強化への機運も広がっている。

こうした状況下、同期は前述の通り、大幅な増収増益となった。

セグメント別の状況は以下の通りである。

集積回路及び電子デバイスその他事業

集積回路及び電子デバイスその他事業の売上高は前年同期比14.1%増の2,501億2,700万円、営業利益は同70.1%増の183億1,800万円と大幅な増収増益となった。

同期は、半導体の供給不足はある程度改善されているものの、マクニカホールディングスが主に取り扱っているアナログIC、PLD、その他標準ICなど一部の製品では供給不足が継続した。そうした中、マクニカホールディングスの注力市場である産業機器市場においては、生産の高度化・自動化を目的としたFA機器や工業用ロボット、高度な医療向けの画像診断装置や内視鏡装置などの医療機器、半導体需要の高まりに応じた各種半導体製造装置への設備投資も継続しており、幅広い分野で堅調に推移した。

また、車載市場では、世界的な脱炭素化の流れによるEV化やより高度な自動化・電動化が進み、半導体搭載量も増加していることから、その他標準ICを中心に伸長した。一方、通信インフラやコンピュータ市場では、サーバー需要が落ち込んだ影響を受けメモリー等の需要が減少した。

ネットワーク事業

ネットワーク事業の売上高は前年同期比29.2%増の284億4,900万円、営業利益は同55.8%増の23億3,500万円と大幅な増収増益となった。

同期は、働き方改革やリモートワークの普及によりクライアント端末へのセキュリティ対策の重要性認識が浸透してきたことにより、エンドポイントセキュリティ関連商品が大幅に伸長した。また、企業がデジタル技術を活用する中で、データ活用の有効性の認識が広がっていることを背景に、大型案件の獲得等によりデータ分析関連商品も大幅に伸長した。加えて、東南アジア地域を中心とした海外ネットワーク事業も好調だった。

2031年3月期は売上高で2兆円以上、営業利益で1,500億円以上を目指す

7月31日、マクニカホールディングスは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比6.9%増の1兆1,000億円、本業の利益を示す営業利益は同7.1%増の660億円、経常利益は同10.5%増の628億円、純利益は同2.9%増の422億円となる見通しを示した。これは従来予想(5月8日公表)に比べて、売上高は据え置きであるが、営業利益はプラス6.5%、経常利益はプラス5.5%、純利益はプラス2.4%の上方修正である。

さらに、9月25日には長期経営目標を上方修正し、2031年3月期・通期(2030年4月1日~2031年3月31日)の売上高を2兆円以上(従来目標は1兆3,000億円以上)、営業利益を1,500億円以上(従来目標は1,000億円以上)とすると発表した。

マクニカホールディングスは長期経営目標の上方修正の理由について、❶2023年3月期は、旺盛な半導体需要と為替が円安水準で推移したことなどから、集積回路および電子デバイスその他事業において想定を上回る成長を実現し、中期経営計画(2022~2024年度)の経営数値目標を2年前倒しで達成したこと、❷足元の事業環境を勘案し、中期経営計画の経営数値目標を2023年5月8日に修正したこと、❸その上で、当初計画を立てた時点からの変化点をもとに再度検討を行った結果、長期経営目標の数値を一部修正することを決定した……としている。なお、2031年3月期の営業利益率の目標値は7.5%以上、ROE(自己資本利益率)は15.0%以上と従来目標を据え置いた。

引き続き、マクニカホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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