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社会保険料・税金などの「公租公課滞納倒産」が過去最多。14万811事業所が社会保険料を滞納している

公租公課滞納倒産
(画像= Canva、La Caprese)

消費税や固定資産税などの各種「税金(公租・租税)」や、厚生年金保険や健康保険などの「社会保険料(公課)」について納付できない、または滞納状態が続いたことで会社の資産等を差し押さえられ経営に行き詰まって倒産する「公租公課滞納倒産」が増加している。

公租公課滞納倒産
(図1) 出典:帝国データバンク

帝国データバンクが2024年4月25日に公表した調査報告によると、2023年度の「公租公課滞納倒産」は前年度比1.4倍の138件で過去最多を更新した。さらに、月次ベースでも2024年1月の14件を皮切りに、2月の16件、3月の20件と過去最多を更新し続けている。

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コロナ禍の「納付猶予」期限切れ後の破綻が相次ぐ

公租公課のうち、企業にとって特に負担の重い社会保険料は、新型コロナウイルス禍に最長3年にわたる納付猶予措置が設けられ、企業の資金繰りを支えてきた。しかし、ポストコロナに向けて企業活動が正常化するなかで特例措置も順次縮小。業績不振のなかで消費税と社会保険料の支払いに窮した企業や、猶予期間中に業績を立て直すことができなかった企業の倒産増加が目立っている。

業種別では「サービス業」「運輸・通信業」「建設業」「製造業」などが目立つ

公租公課滞納倒産
(図2) 出典:帝国データバンク

ちなみに、2020年度~2023年度の4年間に発生した「公租公課滞納倒産」は334件だった。業種別で最も多いのは「サービス業」の86件で、ソフトウェア開発などの業種で多く発生した。次いで、トラック運送などの「運輸・通信業」(64件)、「建設業」(55件)、「製造業」(48件)などが続いた。態様別では、ほとんどのケースで破産となり「清算型」の倒産が多かった。累計334件のうち、清算型が94.0%(314件)を占め、再生型は民事再生法を中心に20件にとどまった。

公租公課滞納倒産
(図3) 出典:帝国データバンク

14万811事業所が社会保険料を滞納している

日本年金機構によると、厚生年金保険を含む社会保険料を滞納している事業所は、2022年度末時点で14万811事業所に上り、適用事業所全体に占める割合は5.2%を占めた。前年度に比べて滞納事業所数は減少したものの、依然として多くの企業が納付に苦慮する状態が続いている。

公租公課滞納倒産
(図4) 出典:帝国データバンク

社会保険料や各種税金の納付は、社会保障制度を維持するために企業が公平に負う義務であり、差し押さえ等で事業継続に行き詰まる企業の増加を年金事務所等の責任にすることはできない。一方で、新型コロナウイルス禍での特例措置や支援策の縮小、物価高などの影響も重なり、社会保険料の支払い催促に対して弁済可能な資金を有する中小企業は決して多くない。社保や税金滞納分の支払い見込みが立たず、事業継続を断念するケースは今後さらに増えていくことも予想される。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

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