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上戸彩のCM効果も? ライオンが業績改善、株価は年初来高値

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(画像= La Caprese)

2022年9月27日の東京株式市場で、ライオンの株価が一時1,657円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年4月18日に記録した年初来安値の1,263円から約5カ月で31.2%の上昇である。

ライオンは歯磨きや石鹸、洗剤などのトイレタリー用品のほか、医薬品、化学品、ペット用品などを手がける日本を代表する生活用品メーカーである。後段で述べる通り、2022 年 12 月期・第 2 四半期まで(2022 年 1 月 1 日~2022 年 6 月 30 日)の連結業績では、歯磨き粉等のオーラルケア分野や、ハンドソープ等のビューティケア分野の国内売上高が順調に伸びたほか、海外事業もボディーソープなどの需要が堅調で業績改善に寄与した。

しかし、その一方で世界的な原材料価格の高騰など不確定要因も解消されていないこともあって、ライオンは通期の業績予想を据え置いているのが実情だ。

今回はライオンの業績をみてみよう。

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ライオン、厳しい環境下で業績改善

今年8月8日、ライオンが発表した2022 年 12 月期・第 2 四半期まで(2022 年 1 月 1 日~2022 年 6 月 30 日)の連結業績は、売上高が前年同期に比べ6.9%増の1,851億9,500万円(為替変動の影響を除いた実質前年同期比は4.6%増)、事業利益は同35.2%減90億9,600万円、営業利益は0.6%増の142億6,700万円、純利益は2.2%増の110億5,500万円となった。

事業利益は事前の会社予想を19.7%(14億9,000万円)上回ったほか、営業利益も16.0%、純利益は22.8%それぞれ上回るなど改善傾向が顕著となった。新型コロナウイルス禍やウクライナ情勢の深刻化、さらには資源価格の高騰や為替変動を背景とした原材料等のコスト上昇といった厳しい環境下での業績改善は、むしろ投資家に評価された様子で、翌8月9日のライオン株は終値ベースで前日比5.0%高の1,572円を記録する場面もみられた。

上戸彩のCM効果も? 「クリニカアドバンテージ ハミガキ」が好調

セグメント別では、一般用消費財事業の売上高が前年同期に比べ3.7%増の1,255億3,800万円、セグメント利益は同46.9減の43億100万円となった。ちなみに、一般用消費財事業は、歯磨き粉等の「オーラルケア分野」、ハンドソープ等の「ビューティケア分野」、柔軟剤等の「ファブリックケア分野」、台所用洗剤等の「リビングケア分野」、「薬品分野」、「その他の分野」で構成されている。

ここで注目されるのは歯磨き粉等の「オーラルケア分野」だ。女優の上戸彩さんがテレビCMに出演する「クリニカアドバンテージ ハミガキ」が好調に推移したほか、同じく女優の真矢ミキさんが出演する新製品「システマ ハグキプラス プレミアムハミガキ よくばりな美白」が好評だった。その結果、「オーラルケア分野」の売上高は前年同期に比べて4.7%増の336億5,200万円となった。

ハンドソープ等の「ビューティケア分野」も好調だった。ハンドソープの「キレイキレイ薬用泡ハンドソープ」やボディソープの「hadakaraハダカラボディソープ」の販売好調が牽引役となって、同期の売上高は前年同期に比べて7.7%増の125億5,300万円と高い伸びを示した。

一方、柔軟剤等の「ファブリックケア分野」の売上高は前年同期に比べて1.1%増の289億100万円となった。柔軟剤の「ソフラン プレミアム消臭」、液体洗剤の「トップ クリアリキッド」「香りつづくトップ」が前年同期を下回る一方で、柔軟剤の「ソフラン アロマリッチ」、液体高濃度洗剤「トップ スーパーNANOXナノックスニオイ専用」が好調に推移し、全体の売上高を押し上げた。

また、台所用洗剤等の「リビングケア分野」の売上高は前年同期に比べて1.7%減少の114億円と軟調だった。浴室用洗剤の「ルックプラス バスタブクレンジング」「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」は堅調だったものの、台所用洗剤の「CHARMYチャーミーMagicaマジカ」が前年同期を下回り、セグメント売上を押し下げる要因となった。

先行き不透明感は消えていない

一方、産業用品事業はタイヤの防着剤等を取り扱う「モビリティ分野」、二次電池用導電性カーボン等の「エレクトロニクス分野」、施設・厨房向け洗浄剤等の「業務用洗浄剤分野」等で構成されており、セグメント全体の売上高は前年同期に比べて13.3%増の272億400万円、セグメント利益は同0.5%減の15億5,000万円となった。

また、海外事業の売上高は前年同期に比べて14.2%増の611億8,900万円と高い伸びを示した。前述の通り、一部地域でのボディーソープなどの需要が堅調だった。ただし、セグメント利益は、東南アジアで原材料価格高騰の影響を大きく受けたこともあり、前年同期比46.0%減の18億8,000万円となった。

ライオンは2022 年 12 月期(通期)の見通しについて、売上高で2.4%増の3,750億円、事業利益で同25.6%減の230億円、営業利益で11.8%減の275億円、純利益で15.8%減の200億円と従来見通しを据え置いた。今回取り上げたように売上高は好調ではあるが、原材料価格の高騰や為替変動など不確定要因が解消されていない情勢では慎重な見通しにならざるを得ないようだ。

冒頭で述べた通り、9月27日にライオンの株価は一時1,657円まで買われ、年初来の高値を更新した。しかしながら、先行きには依然として不透明感を残しており、十分な注意が必要といえそうだ。■

(経済ジャーナリスト 世田谷一郎)

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