2024年4月30日、東京証券取引所でカゴメの株価が一時4,297円まで買われ、年初来高値を更新した。2023年1月12日の安値2,904円から15カ月半で48.0%の上昇である。
カゴメは、愛知県名古屋市と東京都中央区に本社を置く総合食品メーカーである。その源流は、創業者の蟹江一太郎氏が西洋野菜の栽培に着手した1899年にまでさかのぼる。1903年にはトマトソース(現在のトマトピューレー)の製造を開始、1906年には東海市荒尾町にトマトソースの工場を建設している。創業125年目を迎えた現在は、調味食品や保存食品、飲料、その他食品の製造・販売のほか、種苗や青果物の仕入れから生産・販売等を手がける総合食品メーカーに成長を遂げている。
後段で述べる通り、カゴメが4月26日に公表した、❶2024年12月期・第1四半期(2024年1月1日~2024年3月31日)の連結業績が大幅な増収増益となったことに加え、❷2024年12月期・通期(2024年1月1日~2024年12月31日)の連結業績予想を上方修正し、最終利益で過去最高益を更新する見通しを示した……ことなどが株価にも刺激材料となった。
今回はカゴメの話題をお届けしよう。
カゴメ、最終利益は478.8%増
4月26日、カゴメは2024年12月期・第1四半期(2024年1月1日~2024年3月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上収益が前年同期比40.3%増の673億7,800万円、事業利益は同75.2%増の58億9,000万円、営業利益は同343.1%増の151億3,400万円、最終利益は同478.8%増の117億7,300万円と大幅な増収増益となった。
同期はトマト加工品を中心とした世界的な原材料価格の高騰に見舞われた。また、日本では物価上昇による生活者の節約志向の高まりなどを受け、景気の先行きは依然として不透明な状況が継続した。このような経営環境下、カゴメは国内加工食品事業において、主要原材料をはじめ製造費用の増加を受け、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定した。同時に、価格改定による需要の落ち込みを最小限に抑えるべく積極的な需要喚起策にも取り組んだ。その結果、販売数量の減少を想定よりも抑え、増収増益となった。
一方、国際事業においてはトマトペーストの販売価格が上昇する中、フードサービス企業向けの販売が好調に推移した。また、インオーガニックの成長として持分法適用会社であったIngomar Packing Company, LLC(以下、Ingomar)の持分を2024年1月に追加取得し、連結子会社化したことにより、売上収益が純増となった。その結果、国際事業は増収増益となった。
セグメント別の概況は以下の通りである。
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国内加工食品事業
国内加工食品事業の売上収益は前年同期比11.4%増の328億700万円、事業利益は同45.5%増の28億300万円と大幅な増収増益となった。
同期は、飲料カテゴリーでトマトジュースが好調だった。血圧・コレステロールが気になる健康関心層に加え、美容関心層の新規ユーザーを獲得したことがトマトジュースの需要を喚起した。「野菜生活100」シリーズでは、「野菜生活100 レモンサラダ」など新商品や、「朝を味方に。」をテーマとした需要促進策が一定の効果をもたらした。通販カテゴリーはスープが好調に推移したものの、野菜飲料をはじめとする定期顧客数が前年同期を下回った。食品カテゴリーは価格改定後のトマトケチャップ需要の落ち込みに対し「焼きケチャップ」などのメニュー情報発信と販促活動を強化したことにより、好調に推移した。業務用カテゴリー、ギフト・特販カテゴリーも好調だった。
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国際事業
国際事業の売上収益は前年同期比86.4%増の362億2,300万円、事業利益は同76.8%増の39億1,500万円と大幅な増収増益となった。
同期は、トマト一次加工品が世界的な需給ひっ迫を受け、市場価格の高騰が継続した。そうした中、米国においては「米国事業の更なる成長」「トマト加工事業のグローバルネットワークの拡充」「持続可能なトマト加工事業構築」を目的にIngomarを連結子会社化し、事業を拡大した。欧州においては、Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(以下、HIT)にて主要顧客への販売時期の変更により減収となったが、豪州ではKagome Australia Pty Ltd.(以下、KAU)にて販売価格の上昇により増収となった。
一方、トマト他二次加工品は世界的な原材料やエネルギーを始めとしたコストの増加に伴い、販売価格が上昇する中、米国のKAGOME INC.をはじめ、各地域において、フードサービス企業向けの販売が好調に推移した。
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今期は2期連続の過去最高益へ
4月26日、カゴメは2024年12月期・通期(2024年1月1日~2024年12月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比31.7%増の2,960億円、事業利益で同18.1%増の230億円、営業利益は同83.1%増の320億円、最終利益は同101.3%増の210億円と大幅な増収増益となる見通しを示した。これは従来予想(2024年2月1日公表)に比べて、売上収益でプラス2.4%、事業利益でプラス35.3%、営業利益でプラス23.1%、最終利益でプラス16.7%の上方修正である。見立て通りとなれば、最終利益で2期連続の過去最高益となる。
カゴメは上方修正の理由について、①国内加工食品事業は、価格改定後も需要喚起策などにより予想を上回って推移していること、②国際事業は、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しているほか、Ingomarの業績が期初予想を上回って推移していること……を挙げている。
引き続き、カゴメの業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)