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日本電設工業、純利益は40%増。株価は年初来高値、増配計画も好材料

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(画像= 日和1997 / 写真AC、La Caprese)

2024年5月1日、東京証券取引所で日本電設工業の株価が一時2,220円まで買われ、年初来高値を更新した。今年3月12日の安値1,919円から1カ月半で15.7%の上昇である。

日本電設工業は、東京都台東区に本社を置く総合設備工事会社である。1942年の創業以来、鉄道電気工事におけるリーディングカンパニーとして、JR東日本管内を中心とした鉄道電気設備工事や新幹線工事など数多くの大型プロジェクトのほか、日本全国の駅ビル・空港・病院・教育施設の設備工事、ネットワークインフラ構築工事等、幅広い分野のインフラづくりに貢献している。

後段で述べる通り、日本電設工業が4月30日に公表した、❶2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績が大幅な増収増益となったことに加え、❷2025年3月期・通期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結業績予想についても増収増益となる見通しが示されたこと、❸さらに、2025年3月期の年間配当予想を前期比3円増の50円に増配する方針を示したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回は日本電設工業の話題をお届けしよう。

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日本電設工業、純利益は40%増

4月30日、日本電設工業は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前期比12.7%増の1,940億円、本業の利益を示す営業利益は同39.2%増の134億4,800万円、経常利益は同36.7%増の149億円、純利益は同40.0%増の100億4,200万円と大幅な増収増益となった。

同期の国内経済は、原材料価格の高騰や円安による物価上昇の影響等があったものの、新型コロナウイルス禍からの経済社会活動の正常化に向けた動きにより緩やかな回復がみられた。一方、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが国内経済を下押しするリスクとなっていた。そうした中、建設業界全体の公共投資は底堅く推移し、民間設備投資にも持ち直しの動きがみられた。

このような経営環境下、日本電設工業の業績は各鉄道会社の旅客収入の回復に伴う、設備投資の増加や都市圏の再開発、既設インフラの老朽化対策が進んだことなどにより緩やかに回復した。前年度からの豊富な繰越工事の効率的な施工に加え、グループを挙げて新規工事の受注確保に努めた結果、同期の受注高は2,080億円(前年同期比114%)、繰越高は1,737億円(前年同期比111%)と高水準を維持した。一方、利益面では大型工事をはじめ全般的に工事の進捗が順調であったことなどがプラス要因となった。その結果、前述の通り、大幅な増収増益となった。

なお、主な部門別の概況は以下の通りである。

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鉄道電気工事部門

鉄道電気工事部門では、東日本旅客鉄道をはじめとするJR各社、公営鉄道および民営鉄道等に対して組織的営業を展開し受注の確保に努めた。その結果、蕨・王子間地中送電線路取替工事、東北新幹線古川・盛岡間シンプル化電車線改良工事、地下鉄御堂筋線・中央線本町駅駅施設改造に伴う電気工事等の受注により受注工事高は1,171億円(前年同期比120%)となった。

一方、完成工事高は豊富な繰越工事の効率的な施工に努めた結果、新幹線福島駅上りアプローチ線新設信号設備改良支障移転工事(在来線)、加古川変電所電気設備取替工事、北陸新幹線455k4・敦賀車両基地間電力設備工事等の完成により1,091億円(前年同期比108%)となり、繰越工事高は836億円(前年同期比111%)となった。

一般電気工事部門

一般電気工事部門では、駅周辺の大型再開発工事を中心に顧客志向に基づいた営業活動を展開し受注の確保に努めた。その結果、TAKANAWA GATEWAY CITY4街区商業施設電気設備工事、大阪・関西万博大阪館パビリオン電気設備工事、馬毛島(R5)格納庫等新設電気その他工事等の受注により受注工事高は625億円(前年同期比108%)となった。

一方、完成工事高は豊富な繰越工事の効率的な施工に努めた結果、北海道大学総合研究棟(資源工学系)新営電気設備工事、四国電設工業・松山営業所新築工事 ZEB事業等の完成により529億円(前年同期比128%)となり、繰越工事高は730億円(前年同期比115%)となった。

情報通信工事部門

情報通信工事部門は、得意先等に対し全社的な受注の確保に努めた結果、高松駅ビルインフラシェアリング設備構築工事等の受注により受注工事高は267億円(前年同期比106%)となった。一方、完成工事高は繰越工事の効率的な施工に努めた結果、都立駒込病院新院内ネットワーク整備工事等の完成により273億円(前年同期比105%)となり、繰越工事高は167億円(前年同期比97%)となった。

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今期も増収増益の見通し、増配計画も好材料

4月30日、日本電設工業は2025年3月期・通期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比5.7%増の2,051億6,000百万円、本業の利益を示す営業利益で同9.1%増の146億7,000万円、経常利益で同6.2%増の158億3,000万円、純利益で同4.6%増の105億円と増収増益の見通しを示した。

なお、冒頭でも述べた通り、日本電設工業は2025年3月期の年間配当予想を前期比3円増の50円に増配する方針を示した。日本電設工業は、株主への利益還元を重要課題と認識し、利益配分については企業体質強化のための内部留保や配当性向にも配意しつつ、株主へ安定した配当を行うことを基本方針としており、今回示した増配計画もその方針に基づくものとしている。

引き続き、日本電設工業の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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