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コメリ、今期は増収増益を予想。株価は年初来高値、増配や自社株買いも刺激材料

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(画像= cheetah / 写真AC、La Caprese)

2023年4月26日、東京証券取引所でコメリの株価が一時3,185円まで買われ、年初来の高値に上昇した。今年2月3日の安値2,567円から3カ月足らずで24.1%の上昇である。

コメリは、DIY用品や園芸用品を核商品とするホームセンターをチェーン展開する企業である。その源流は、1952年に新潟県三条市にて創業した米穀商の「米利商店」にまでさかのぼる。同社がホームセンター業界に参入したのは1977年のことで、1985年には商号を「コメリ」に変更している。現在は低価格と豊富な品揃えの「コメリパワー(以下、パワー)」と、近さと買いやすさ等の利便性を追求する「コメリハード&グリーン(以下、ハード&グリーン)」、インテリア用品の専門店「アテーナ」、資材・建材・工具・金物の専門店「コメリPRO(以下、PRO)」といった4形態のホームセンターを展開している。

後段で述べる通り、コメリが4月25日に公表した2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績は増収減益となったものの、①今期(2024年3月期)の連結業績予想については増収増益となる見通しが示されたほか、②今期の年間配当を前期比2円増の52円に増配する方針としたこと、③発行済株式総数の1.83%にあたる90万株、金額で27億円をそれぞれ上限に自社株買いを発表したこと……などが刺激材料となった。

今回はコメリの話題をお届けしよう。

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コメリ、2023年3月期は増収減益

4月25日、コメリは2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を公表した。同期の営業収益は前期比0.9%増の3,794億100万円、本業の利益を示す営業利益は同6.4%減の260億5,300万円、経常利益は同8.6%減の258億1,200万円、純利益は同4.5%減の170億9,600万円と増収減益となった。

同期は、原材料価格が高騰する中、専門家が使用するネジ・釘、基礎資材、肥料、農薬等の消耗品を中心に売上が堅調だった。その結果、工具や金物、作業用品、リフォーム資材、エクステリア用品、園芸・農業用品といった核カテゴリーが売上を牽引した。一方、利益面では店舗運営モデルの刷新、EDLP施策の推進による改善効果がみられたものの、為替の急激な円安進行による海外輸入商品の調達コストの増加や、コストプッシュインフレによる売上総利益率の悪化、水道光熱費の上昇が圧迫要因となった。

2023年3月末時点で1,214店舗を展開

同期はコメリの成長戦略の要となる出店政策として、パワーを10店舗、PROを3店舗、ハード&グリーンを8店舗の合計21店舗を出店した。一方で、業態転換やビルド&スクラップ等に伴い、ハード&グリーン、アテーナの21店舗が退店した。その結果、2023年3月末時点の店舗数は、パワーが94店舗、ハード&グリーンが1,103店舗、PROが12店舗、アテーナ5店舗の合計1,214店舗となった。(このほか非連結子会社が運営する海外ハード&グリーン2店舗)

自走式草刈機「速刈り君」などの販売好調

商品開発については、「暮らしを守り・育てる商品開発」を実現すべく、消費者の潜在ニーズを顕在化させる商品開発に努めた。自走式草刈機「速刈り君」や、充電式ハンディチェーンソーは、使う立場から品質を決め直すことで実現した低価格と、テレビCMも絡めた全店での重点販売の結果、客層も拡大し販売が好調に推移した。それにより、PB商品の売上高構成比率は、前年同期比1.4%増の46.7%まで高めることができた。

リフォーム事業は「住急番」が堅調に推移

リフォーム事業では、全店で受付可能な住宅設備機器の簡易取付・施工サービスや、庭木の手入れ、エアコンクリーニング等の「住急番」が堅調に推移した。また、住宅設備機器の取付・交換工事にとどまらないフルリフォームをハード&グリーンまで含めた全店で可能とするため、店舗での受付体制整備や専門スタッフの配置を進めた。テレビCMの効果もあり、受付・契約件数も堅調に推移した。

自社発行のカード会員数は479万人に達する

Eコマース販売は、1,200を超える店舗ネットワークを活かしたBOPIS(Buy Online Pickup In Store)の取り組みや、スマホアプリと連携したキャンペーン等の販促活動により堅調に推移した。一方、農業振興に関する取り組みとして、従来の農業用品予約販売による注文の受け付けだけでなく、新たに農林水産省の「肥料価格高騰対策事業」の受付窓口を開始した。

また、農業協同組合(以下、JA)との取り組みとして、2020年3月1日からJA上伊那との協業を本格的に開始したほか、2021年4月からは山形県のJA山形おきたま、和歌山県のJA紀の里とも協業を開始、さらに2023年1月31日より新たに三重県のJA伊勢との協業も開始した。2023年3月末時点で4つのJAとの協業を行っており、JAの商品をコメリの25店舗にて販売している。

なお、同期はコメリが自社発行しているコメリカード(クレジット機能)、アクアカード(プリペイド機能)等のカード会員数が479万人に達した。消費者の利便性をさらに向上すべく、2022年11月よりコメリカード・アクアカードとコメリアプリを連携させたスマホ決済サービス「コッコPay」をリリースした。

コメリ、2024年3月期は増収増益となる見通し

4月25日、コメリは2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、営業収益で前期比1.7%増の3,860億円、本業の利益を示す営業利益で同3.6%増の270億円、経常利益で同5.0%増の271億円、純利益で同1.2%増の173億円と増収増益となる見通しを示した。ちなみに、コメリは2024年3月期の新規出店について、パワーを7店舗、PROを2店舗、ハード&グリーンを32店舗の合計41店舗を計画しているほか、既存店改装についても約10万坪を計画していることを明らかにした。

なお、コメリは2024年3月期の年間配当について前期比2円増の52円に増配する方針を示した。さらに、2023年4月26日から2023年7月21日の期間で、発行済株式総数の1.83%にあたる90万株、金額で27億円をそれぞれ上限とする自社株買いを実施する計画も発表した。

引き続き、コメリの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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