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豊田通商、株価は上場来高値。最終利益予想を上方修正、年間配当予想も増額

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(画像= はむぱん / 写真AC、La Caprese)

2024年1月19日、東京証券取引所で豊田通商の株価が一時9,830円まで買われ、上場来高値を更新した。2023年1月5日の安値4,770円から1年余りで106.1%の上昇である。

豊田通商は、トヨタグループの総合商社である。豊田通商が2022年8月にリリースした会社説明会資料によると、世界130カ国に拠点を置き、連結関係会社数は国内・海外合わせて約1,000社に達している。連結従業員数は約6万5,000人で、そのうちアフリカにおける従業員が3割を占めるのも特徴の一つである。「Be the Right ONE(代替不可能・唯一無二な存在)」をスローガンに掲げ、人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献することを企業理念としている。

先週は、❶日経平均株価が一時3万6,000円を上回り、取引時間中としては1990年2月以来およそ34年ぶりの高値を更新したほか、❷為替の円安等を背景にトヨタ自動車株が連日にわたり上場来高値を更新したこと……などが豊田通商株にも刺激材料となったようだ。

今回は豊田通商の話題をお届けしよう。

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豊田通商、最終利益は17.5%増

2023年10月31日、豊田通商は2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績を発表した。同期の収益は前年同期比4.6%増の5兆1,352億円、営業活動に係る利益は同12.1%増の2,331億円、最終利益は同17.5%増の1,777億円と増収増益となった。

同期は、金属市況および欧州電力価格が下落する一方で、自動車販売の増加並びに自動車生産関連の取り扱い増加等を受けて、収益は堅調に推移した。利益面では、販売費や一般管理費が増加する一方で、売上総利益が増加したことにより、営業活動に係る利益が伸長した。最終利益は、欧州電力価格下落による持分法投資損益の減少および利息収支が悪化する一方で、営業活動に係る利益の増加等により増益となった。

セグメント別の概況は以下の通りである。

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金属

金属の最終利益は、自動車生産関連の取り扱いが増加する一方で、市況下落等により、前年同期比19.2%減の366億円となった。

同期は、製造プロセスにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進による製造業界の課題解決への貢献を目的に、LIGHTzの第三者割当増資を2023年6月に引き受けた。今後も、製造業の顧客の業務プロセスの変革の加速と、さらなる付加価値の創出に取り組み、日本のモノづくりの伝統継承と未来に貢献する方針である。

グローバル部品・ロジスティクス

グローバル部品・ロジスティクスの最終利益は、日本や北米を中心とした自動車部品の取り扱い増加等により、前年同期比40.3%増の229億円となった。

同期は、インド市場における2輪車用EV駆動ユニットの製造・販売を目的に武蔵精密工業とDeltaElectronicsとともに、2023年9月に合弁会社の設立に合意した。今後もインド市場をはじめ全世界での2輪EVの普及をリードするとともに、カーボンニュートラルの実現に寄与する方針である。

モビリティ

モビリティの最終利益は、欧州を中心とした海外自動車販売会社の取扱台数増加等により、前年同期比28.9%増の298億円となった。

同期は、中南米地域での物流業界における社会課題の解決を目的に、ラストワンマイル物流デジタルプラットフォームサービス等を展開するMOOVAに出資した。今後もラストワンマイル配送業界のデジタル化の推進を通じて、物流業界全体の効率化とカーボンニュートラル推進に貢献する方針である。

機械・エネルギー・プラントプロジェクト

機械・エネルギー・プラントプロジェクトの最終利益は、欧州電力価格の下落等により、前年同期比33.9%減の128億円となった。

同期は、北海道北部風力送電が、2023年4月に送電網に課題があった北海道道北地域にて、約78キロメートルの送電線や国内最大規模のリチウムイオン蓄電池で構成される送変電設備一式の商業運転を開始した。近隣エリアでは、2025年度までに国内最大級となる約540MW規模の風力発電所の建設も進めており、順次送変電設備に接続する計画である。

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化学品・エレクトロニクス

化学品・エレクトロニクスの最終利益は、エレクトロニクス事業、自動車材料事業における自動車生産関連の取り扱い増加等により、前年同月比で14.1%増の289億円となった。

食料・生活産業

食料・生活産業の最終利益は、南米食料事業における輸送費負担減少等により、前年同期比139.2%増の67億円となった。

同期は、海洋プラスチック汚染の主原因である廃漁網のリサイクル事業参入を目的に、2023年7月から千葉県外房エリアで漁業関係者等と協働し廃漁網のテスト回収を開始した。国内で漁網は産業廃棄物として処理されることが一般的であるが、豊田通商が出資する米Bureoの知見を活かしながら、廃漁網回収スキームを拡大させる事でナイロンtoナイロンの繊維リサイクルの実現と、廃漁網100%再生ナイロン素材を安定供給できる調達体制構築を目指す方針である。

アフリカ

アフリカの最終利益は、西アフリカ地域を中心とした自動車販売会社の取扱台数増加等により、前年同期比81.4%増の370億円と伸長した。

同期は、安定かつ廉価な電力供給を喫緊の課題とするベナンにおいて、2023年8月に水エネルギー省傘下のベナン発電公社から25MWの太陽光発電所建設工事を受注した。これは西アフリカ地域における日本企業では初となる大型の再生可能エネルギー発電所建設案件であり、2025年の完工を予定している。同事業を通じて、ベナンの電力事情の課題解消と経済の持続的な発展に寄与する方針である。

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通期の業績予想を上方修正、年間配当予想も増額

2023年10月31日、豊田通商は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、最終利益で前期比12.6%増の3,200億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年7月28日公表)に比べてプラス6.7%の上方修正である。豊田通商は上方修正の理由について、為替レートが円安に推移していること等を勘案した結果としている。

加えて、豊田通商は2024年3月期の年間配当を従来予想の214円から250円への増額修正も発表した。豊田通商は、①2024年3月期から2026年3月期において累進配当を実施し、配当性向30%以上を達成すること、②キャッシュフローの動向を踏まえ、追加的に機動的な総還元策を検討すること……を配当方針としている。

引き続き、豊田通商の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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