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ポーラ・オルビスホールディングス、株価は年初来高値。インバウンド需要回復、マスク着用の任意化も追い風

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(画像= acworks / 写真AC、La Caprese)

2023年5月2日、東京証券取引所でポーラ・オルビスホールディングス(以下、ポーラ・オルビス)の株価が一時2,159円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年3月16日の安値1,617円から1カ月半で33.5%の上昇である。

ポーラ・オルビスは、化粧品の製造販売企業を傘下に置く持株会社である。主力のビューティケア事業では、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」、海外ブランドとして「Jurlique」、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「FIVEISM×THREE」「FUJIMI」を展開しているほか、不動産事業なども手掛けている。

後段で述べる通り、ポーラ・オルビスが4月28日に公表した2023年12月期・第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)の連結業績で営業利益が137.9%増となるなど大幅な増益となったことが株価にも刺激材料となった。今回はポーラ・オルビスの話題をお届けしよう。

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ポーラ・オルビス、営業利益は137.9%増

4月28日、ポーラ・オルビスは2023年12月期・第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比11.9%増の421億3,600万円、本業の利益を示す営業利益は同137.9%増の45億4,900万円、経常利益は同16.7%増の48億3,200万円と大幅に増加した。なお、純利益は前年に計上した法人税等調整額の減少の影響等により、前年同期比61.8%減の27億4,300万円となった。

同期の国内化粧品市場は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和に加えて、為替の円安進行とインバウンド需要の回復に後押しされて高額品消費が伸長した。また、3月中旬のマスク着用の任意化の影響からメイクアップ品の需要も伸びた。一方、海外化粧品市場においても新型コロナウイルス禍の混乱から回復傾向にあるものの、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の高騰や高インフレ率の常態化、欧米の急速な利上げによる金融不安など、依然として先行き不透明感も否めない。さらに、中国市場においては、ゼロコロナ政策の終了により回復傾向にあるものの、雇用悪化が足かせとなっている側面もある。

主なセグメント別の状況は以下の通りである。

ビューティケア事業は大幅な増収増益

ビューティケア事業のセグメントは、売上高(外部顧客に対する売上高)が前年同期比12.1%増の409億5,000万円、営業利益は同115.1%増の43億5,900万円(前年同期比)と大幅な増収増益となった。

前述の通り、ビューティケア事業では、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」、海外ブランドとして「Jurlique」、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「FIVEISM×THREE」「FUJIMI」を展開している。それぞれのブランドの状況は下記の通りである。

POLAブランド、さらなるブランド価値の向上へ

POLAブランドでは、エイジングケア・美白を中心とした高機能商品の投入によるさらなるブランド価値の向上と、中長期的な顧客基盤構築に取り組んでいる。

国内事業では、オンラインとオフラインのチャネル融合(OMO:Online Merges with Offline)の推進により、顧客情報を統合して各チャネルをシームレスにつなぐ新ビジネスモデルを構築し、オンライン顧客を委託販売チャネルへ送客する施策等で、各チャネルの特性や強みを活かした高LTV事業を推進した。加えて、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和による人流の戻りも追い風となり、新商品やエステなど国内事業のすべてが前年を上回る実績で推移した。

一方、海外事業はアフターコロナにおける事業回復と、最重点市場である中国でブランドプレゼンスの確立のための顧客接点の拡充に取り組み、同事業全体では前年を上回る実績となった。

ORBISブランド、スキンケア顧客の拡大を推進

ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出によるプレゼンス、顧客ロイヤリティの向上と、エイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」を中心に据えたシワ改善・美白ケアなど、スキンケア顧客の拡大を進めた。

国内事業では、ブランド体験の基軸となるワンストップアプリにて顧客に寄り添う伴走型コミュニケーションの提供により、顧客情報分析の高度化の実現と1to1のコミュニケーションによるスキンケア+αの購買を促進し、回復基調にある顧客数のさらなる増加とLTV最大化を目指した。直販チャネルは「オルビスユードット」の伸長やリニューアル発売したUVのスペシャルケア品による新規顧客獲得も進み、顧客数は前年を超過した。外部チャネルもECプラットフォームを中心に、前年同期より大幅に伸長した。

一方、海外事業では、重点市場である中国での成長加速と黒字化のため、引き続き顧客接点の拡大とブランド認知向上に向けた投資の強化に取り組み、2ケタの成長を実現した。

上記の結果、ORBISブランドの売上高は前年同期を上回ったが、営業利益は販売管理費の増加で前年同期並みとなった。

Jurliqueブランドは営業損失が拡大

Jurliqueブランドは、豪州および中国とアジアを中心としたトラベルリテール市場での事業成長を見据えたブランド展開をしている。新型コロナウイルス禍の混乱から回復傾向にある豪州市場や香港市場では早期の事業回復を進めるとともに、経済・消費の復調の兆しがある中国市場でもオンラインを中心とした成長を加速することに加え、さらなる構造改革により損益分岐点を改善し、早期の黒字化を実現すべく取り組んだ。

しかしながら、トラベルリテールにて回復が遅れている影響により、Jurliqueブランド全体としては前年同期並みの売上高となったほか、販売管理費等の増加により営業損失が拡大する結果となった。

育成ブランド、黒字化に向けた構造改革を推進

育成ブランドでは、THREEブランドで2024年の黒字化に向けた構造改革を推進し、国内事業は前年を上回る実績で推移し、全体の売上高もプラスとなった。また、各ブランドにおいて厳格な費用コントロールを実施したことが奏功し、営業損失も改善した。なお、ビューティケア事業におけるブランドポートフォリオの改革とさらなる収益性向上を目指す一環として、2023年3月6日付で「Amplitude」「ITRIM」の2ブランドの撤退を決定した。

不動産事業は減収減益

不動産事業のセグメントでは、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上と空室率の低下に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開している。同期は、前年にオフィスビルを一部売却した影響等により、売上高(外部顧客に対する売上高)で前年同期比0.9%減の5億1,800万円、営業利益で同14.7%減の1億6,100万円となった。

その他は増収増益

その他のセグメントではビルメンテナンス事業が工事契約単価の上昇により、売上、営業利益ともに前年同期を上回った。その結果、セグメント全体の売上高(外部顧客に対する売上高)は前年同期比7.1%増の6億6,600万円、営業利益は同113.5%増の200万円と増収増益となった。

ポーラ・オルビス、2023年12月期(通期)予想は据え置き

ポーラ・オルビスは、2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比8.2%増の1,800億円、本業の利益を示す営業利益で同20.0%増の151億円、経常利益で同1.2%増の151億円、純利益で同12.6%減の100億円と従来見通し(2023年2月14日発表)を据え置いた。

前述の通り、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和や、インバウンド需要の回復、さらにマスク着用の任意化の影響などのプラス材料がある一方で、エネルギー価格の高騰や高インフレ率の常態化、中国における雇用悪化などのマイナス材料も消えていない。強弱材料が交錯する中、ポーラ・オルビスの業績や株価が今後どのような展開となるのか、引き続き注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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