記事内に広告が含まれています。

あなたは「肝斑」というしみを、本当に知っていますか?肝斑に詳しい皮膚科専門医がアドバイス――第一三共ヘルスケアの調査報告

肝斑,原因
(画像= TY_Photo / 写真AC、La Caprese)

第一三共ヘルスケア(本社:東京都中央区)は、2024年3月8日に新・肝斑改善薬「トランシーノEX」を発売した。また、2023年11月28日には発売に先駆け、「肝斑」に悩む生活者の実態を把握するために実施した調査報告を公表した。調査では肌のしみの一種である「肝斑」の認知率は72.9%に達したが、一方で「肝斑」の要因や対処法まで知っている人は、そのうち15.0%にとどまるなど意外と理解されていない現状が浮き彫りとなった。

そこで今回は、「肝斑」の基礎情報とあわせて本調査報告の概要、さらに「肝斑」に詳しい皮膚科専門医の順天堂大学・木村有太子先生のアドバイスを紹介したい。

スポンサーリンク

あらためて知っておきたい、「肝斑」というしみのこと

しみには種類があり、対処法もそれぞれ。まずは「肝斑」を含む代表的なしみのパターン把握から

肝斑,原因
肝斑,原因
(画像) ※画像はイメージです。出典:第一三共ヘルスケア

「肝斑」の原因は紫外線のほか、女性ホルモンのバランスの乱れも指摘されている。たとえば、妊娠や経口避妊薬の服用をきっかけにできることもあり、女性ホルモンとのかかわりが報告されている。さらに精神的なストレスによるホルモンバランスの崩れが影響する場合もあるほか、過度のマッサージ等、物理的な刺激で悪化する場合もある。

「このしみ、肝斑?」と思ったら、しみの形状からセルフチェックを

肝斑は、基本的にほほ骨のあたり、ときには額、口の周辺に左右対称に生じる。また、目の周囲にはできず、色が抜けたように見えるのが特徴である。具体的には下記のパターンがある。

●もやっと広がった蝶々タイプ
ほほ骨から下のほうにかけて、両側にもやっと広がったタイプ。面積が広く顔色全体がくすんで見えることも。日光黒子(老人性色素斑)など色の濃いしみの下に、こんな肝斑が薄く広がっている場合も。
●ほほ骨に沿って 筆で描いたようなタイプ
ほほ骨に沿って、左右対称に筆で描いたようなしみ。ほほには別の種類のしみが広がっていることもある。
●目尻の下あたりに小さく広がったタイプの「チビ肝斑」
ほほ骨から目尻の下あたりに、左右対称に小さく広がったしみ。または、こめかみ近くに小さく広がったしみ。いわゆる「チビ肝斑」。
●左右対称だが大きさ・位置が違うタイプ
ほほ骨に沿って左右対称だが、大きさが違ったり、また片方が目尻の方に広がるなど、位置が少し違うケースもある。
●額や口の周りにも出るタイプ
ほほ骨に沿って左右対称に広がるだけでなく、額中央、あるいは口の周りなどにも出ている場合がある。

肝斑シンプルチェック: 当てはまるものが多いほど「肝斑」かも?

自身のしみの形状がつかめたら年齢やライフスタイルの傾向も確認してみよう。

<年齢>
◻️30代~40代に突然しみができた。

<見え方>
◻️【左右対称】しみが左右対称にできている。
◻️【部位】ほほ骨のあたりや、目尻の下に目のふちを避けて、または額や口の周辺にしみができている。
◻️【広がり方】しみが点々と存在するのではなく、もやっと広がっている。
◻️【形】しみの輪郭がぼやけており、はっきりとした円形ではない。
◻️【濃さ】季節によってしみの濃さが変わる。

<生活環境>
◻️妊娠・出産したことがある、または経口避妊薬を服用している。
◻️フェイスマッサージをしっかり行うほうである。
◻️日常的に強いストレスを感じている。

<しみ対処歴>
◻️紫外線対策やビタミン補給では、なかなか効果がみられない。

※肝斑の診断・特定には皮膚科医の診療が必要です。あくまでも参考情報としてご利用ください。

データに見る、生活者の「肝斑」への意識

「肝斑」の認知率は、1年以内にしみ悩みを経験した20~50代女性で72.9%。しかし肝斑の要因や対処法まで知っている人は、そのうちの15.0%にとどまる

まず、1年以内にしみ悩みを経験した20~50代の女性のうち、肝斑という名称を知っていると回答した人は72.9%に達した。しかし、その一方で「肝斑の要因や適切な対処法まで知っている」人はそのうちの15.0%にとどまる結果となった。肝斑の名前を知っている人が必ずしも肝斑を深く理解しているとは限らない現状が浮き彫りとなった。[データ1]

肝斑,原因
[データ1] 出典:出典:第一三共ヘルスケア
※図の構成比(%)は小数点第2 位以下を四捨五入しているため、合計が必ずしも 100% にならない場合があります。

しみ悩みを経験している20~50代女性のうち、肝斑が疑われる症状経験者は2人に1人。しかしそのうちの約半数は、自身のしみが肝斑である可能性に無自覚

1年以内にしみ悩みを経験した20~50代の女性に、7種のしみ症状画像を症状名を伏せて提示し、自身の症状経験にあてはまる画像の有無を訊いたところ、2人に1人(55.0%)が肝斑と疑われる症状の画像を選択した。この“肝斑が疑われる症状経験者”に、自身のしみが「肝斑」に該当すると思うか症状名で訊いたところ、「該当しない/しないと思う」「しみの名称と知っているがどのような症状かわからない」と回答した人たちの合計が49.8%にのぼった。“肝斑が疑われる症状経験者”の約半数が、自身のしみが肝斑である可能性に無自覚であることが示唆された。[データ2]

肝斑,原因
[データ2] 出典:出典:第一三共ヘルスケア
※図の構成比(%)は小数点第2 位以下を四捨五入しているため、合計が必ずしも 100% にならない場合があります。

「肝斑症状自覚者」の肝斑対処法は「美白化粧品の使用」「ファンデーション等で隠す」「UV用化粧品の使用」がTOP3に。一方、肝斑改善効果が認められた「市販のトラネキサム酸配合医薬品の服用」経験は1割強にとどまる

1年以内に肝斑の症状を経験し対処した20~50代女性に、実際に行った対処法を訊いたところ、「美白用化粧品を使用」(51.2%)、「ファンデーション等で隠した」(48.3%)、「UV用化粧品を使用」(37.3%)がTOP3となった。一方で肝斑改善効果が認められた「市販のトラネキサム酸配合医薬品の服用」は12.6%にとどまった。[データ3]

肝斑,原因
[データ3] 出典:出典:第一三共ヘルスケア

肝斑があると、見た目年齢プラス約11歳。肝斑の有無は印象を左右?

20~50代女性に、しみのない顔写真としみがある顔写真のバリエーションを提示、それぞれ何歳に見えるかを訊き中央値を割り出したところ、以下のような結果となった。肝斑がある顔写真では、しみのない顔写真のプラス約11歳と印象が大きく変化するように感じている人が多いことが判明した。[データ4]

肝斑,原因
[データ4] ※画像はイメージです。出典:出典:第一三共ヘルスケア
「肝斑」に詳しい皮膚科専門医がアドバイス

順天堂大学 皮膚科 木村有太子 先生
2003年、順天堂大学医学部附属順天堂医院内科臨床研修医。06年、同大医学部附属浦安病院皮膚科専攻医。その後、同院皮膚科助手、助教を経て13年から准教授。16年、独ミュンスター大学皮膚科留学。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、同認定美容皮膚科・レーザー指導専門医、日本真菌学会認定真菌専門医。医学博士。

肝斑受診者の傾向は、コロナ禍前後で変化

まず、ここ10~15年で大きく変わったのは肝斑の認知度です。以前は自身が肝斑だと自覚されている受診者はまれでしたが、最近は問診票にはっきりとそう書く方が増えています。中にはしみやくすみ、汚れと勘違いして来られる方もいますが、そうした肝斑を認識されていない受診者の割合は3割程度です。

受診者数もコロナ禍を経て増加傾向にあります。元々あった薄い肝斑がマスクの摩擦で増悪したことなどが治療への関心を高めているようです。マスクのエッジに沿って口周りに肝斑ができるケースが増えた点も、以前はあまり見られなかった変化の一つでしょう。

なお、肝斑で受診される方は30~40代を中心に、紫外線量が多い春から夏に増加します。子供の夏休みや運動会で日焼けし、「なんとかしないと」という焦りから受診を考える方が多いようです。最近の傾向としては、オンライン通話の増加に伴い、画面で自分の顔を見て肝斑が気になり始めたという方が増えています。

いまクリニックで行われている肝斑治療の流れは?

いまはトラネキサム酸とビタミンCの服用、それにハイドロキノンの外用が一般的な治療法だと思います。そのうえで最近はプラスの選択肢として、肌の新陳代謝を促すケミカルピーリングが多くの美容クリニックで行われています。なお、レーザー治療は肝斑にNGとされていましたが、最近では低出力で照射するレーザートーニングという方法が行われています。特に通常のしみと肝斑が重なっている箇所に効果的な反面、脱色素等のリスクもあるので十分に説明したうえで希望があれば施術します。

普段の生活で気を付けたいのは「刺激」、特に「過度な摩擦」を避けること

皮膚科や美容クリニックが近くにない、通院が難しいなどの場合は、市販薬(OTC薬)でセルフケアを行うのも良いでしょう。1日2回で無理なく飲めるものや、トラネキサム酸、ビタミンC、L-システイン、ニコチン酸アミド等、色々なしみ対策成分をまとめて飲めるものなら、継続の助けになると思います。また日常生活では紫外線対策と肌への刺激低減を徹底していただきたいです。下記のようなことで起こる過度な摩擦は肝斑の増悪につながりかねないので注意しましょう。

①強い力でのゴシゴシ洗顔
例えば洗顔の際に左右の手を入れ替えて、摩擦圧を低める工夫をしましょう。
②洗顔料による刺激
肝斑がある時には低刺激性の洗顔料にするか、スクラブ入り洗顔料を使う場合は、極力優しいタッチで使うといった工夫をお勧めします。
③洗顔時のシャワー
シャワーの圧は意外と刺激が強いので、肌に直接当てる洗顔は避けましょう。
④フェイスローラー
肝斑の悪化を防ぐなら適度に。長時間の使用は避けましょう。
⑤塗り重ねや強い拭き取り
ベースメイク等にも共通することですが、肌に触れる回数を少なくしてなるべくシンプルに済ませることも一つの手。美白や化粧下地など1品で複数の効果があるものを選んではいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました