2024年2月7日、東京証券取引所でカルビーの株価が一時3,292円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年11月8日の安値2,598円から3カ月で26.7%の上昇である。
カルビーは、菓子・食品の製造・販売を手がける企業である。インテージのSRI+(全国小売店パネル調査)によると、カルビーは2023年3月期の国内スナック市場シェアで52.8%、ポテト系スナック市場シェアで74.4%、シリアル市場シェアで33.4%、小麦系スナック市場シェアで53.7%と各カテゴリーでNo.1の市場シェアを占めている。それら商品の中には、ロングセラーを誇る強いブランド力を有するものも多く、業績を語る上で欠かせない存在となっている。ちなみに、社名のカルビーはカルシウムの「カル」とビタミンB1の「ビー」を組み合わせた造語で、人々の健康に役立つ商品づくりを目指して名づけられた。
後段で述べる通り、カルビーが今週2月6日に公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績で売上高・営業利益が同期として過去最高を更新したことが、株価にも刺激材料となった。今回はカルビーの話題をお届けしよう。
カルビー、営業利益が最高益
2月6日、カルビーは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の売上高は前年同期比9.0%増の2,273億3,900万円、本業の利益を示す営業利益は同31.3%増の237億1,500万円、経常利益は同36.6%増の260億3,100万円、純利益は同37.0%増の171億6,500万円と増収増益となった。
同期は国内事業が業績の牽引役となった。国内事業は堅調なスナック需要への対応から売上高が前年同期比11.7%増の1,723億3,300万円と2ケタの伸びを示した。❶価格・規格改定効果に加え、❷土産用製品が大幅に伸長したこと、❸2023年秋の北海道産原料ばれいしょの収穫量が高水準となったこと……等を背景に、販売促進策(マーケティング)を計画的に実施したことが功を奏した。一方、海外事業の売上高は、中華圏の不調が継続したものの、英国やインドネシア等が好調に推移したことで、同1.5%増の550億500万円となった。
利益面では、国内事業において原材料価格の上昇が継続したものの、価格・規格改定効果および販売数量の伸長による増益要因が上回り、営業利益を大きく押し上げた。売上高営業利益率は10.4%(前年同期比1.8ポイント上昇)であった。経常利益は、円安の進行に伴う為替差益の営業外収益への計上により、大きく伸長した。純利益も大幅な増益となった。
カルビーは、「第3四半期は、マーケティング投資を効果的に実施したことで、スナック全体で強いモメンタムを作り出してきた」と分析している。その結果、同期は売上高と営業利益が同期として過去最高を更新した。
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国内はスナック、シリアルともに好調。海外は中華圏の不振を英国とインドネシアでカバー
国内では、まずポテトチップスが「うすしお味」等の定番品や「堅あげポテト」を中心に販売増となったほか、「ピザポテト」および季節限定品も貢献して増収となった。一方、じゃがりこは、定番品および新製品「じゃがりこ細いやつ」の販売が好調に推移した。その他スナックは、「じゃがポックル」等の土産用製品が大きく伸長し、小麦系、コーン・豆系スナックも販売増となったことから、前年同期に比べ増収となった。国内シリアル食品も2023年10月以降の増量キャンペーン等の販促活動や企画品が奏功し、増収となった。
海外では、北米で豆系スナック「Harvest Snaps」や「かっぱえびせん」を中心とした日本発ブランドが引き続き伸長する一方、スナック菓子の受託製造販売減により現地通貨ベースで前年同期に比べ減収となった。中華圏は、景況感の悪化や通関規制強化の影響から、小売店舗向けおよびECチャネルとも全般的に低調な販売となり、前年同期に比べ減収となった。その他地域は、英国とインドネシアが伸長し、前年同期に比べ増収となった。英国ではSeabrookブランド製品の配荷拡大や新製品の効果で増収となったほか、インドネシアでは主力ブランドのポテトチップスや生地スナック「Guribee」の販売が伸長した。
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第4四半期以降も、第3四半期までのモメンタムを維持することが重要
2月6日、カルビーは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比6.7%増の2,980億円、本業の利益を示す営業利益で同16.9%増の260億円、経常利益で同21.5%増の285億円、純利益で同21.9%増の180億円と従来予想(2023年10月31日公表)を据え置いた。
先に述べた通り、カルビーは「第3四半期は、マーケティング投資を効果的に実施したことで、スナック全体で強いモメンタムを作り出してきた」と分析している。その上で、今後の展開については、「第4四半期以降も、第3四半期までのモメンタムを維持することが重要と考えている」との認識を示した。マーケティング投資を含めた各施策は予定通り実行する見込みで、「成長戦略における3年間のガイドラインも踏まえ、来期もモメンタムを継続し、利益成長を目指す」としている。来期の価格改定に備え、第4四半期も引き続きマーケティング投資を行い、需要を喚起することで計画した販売数量を確保していく方針だ。
引き続き、カルビーの業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)