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ぐるなび、株価は5カ月で35.9%下落。純損益は19億1,800万円の赤字、通期予想を据え置き

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(画像= Canva、La Caprese)

2023年3月15日、東京証券取引所でぐるなびの株価が一時325円まで売られ、昨年来の安値を更新した。2022年10月17日の高値507円から5カ月で35.9%の下落である。

ぐるなびは、食に関する情報のポータルサイト「ぐるなび」を運営する企業である。グルメサイトの草分け的な存在であり、その源流は1989年に交通広告代理店のエヌケービーが子会社として設立した「交通アド」にまでさかのぼる。1996年6月には、エヌケービーの一事業としてWebサイトの「ぐるなび」を開設。1999年12月には「交通アド」が「インターネットなび東京」に商号変更。さらに2000年3月に、エヌケービーがぐるなび事業をインターネットなび東京に譲渡し、同社が社名を「ぐるなび」に変更している。

後段で詳述する通り、ぐるなびが2月8日に発表した2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は、純損益が19億1,800万円の赤字となった。前年同期は36億600万円の赤字であり、赤字幅は縮小しているものの、ぐるなびは通期の業績予想を据え置くなど慎重な姿勢を崩していないのが実情だ。

今回はぐるなびの業績を見てみよう。

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ぐるなび、2023年3月期・第3四半期の純損益は19億1,800万円の赤字

2月8日、ぐるなびは2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比6.3%減の89億5,600万円、営業損益は20億4,600万円の赤字(前年同期は34億8,300万円の赤字)、経常損益は19億9,600万円の赤字(前年同期は35億6,400万円の赤字)、純損益は19億1,800万円の赤字(前年同期は36億600万円の赤字)となった。売上高は減少したものの、赤字幅は前年同期に比べて縮小している。

飲食店販促サービスのうちストック型サービスについては、前期において受注の低調等により売上の減少が続いた。一方で、販促支援領域における取り組みの結果ARPU(店舗あたり月額契約高)は上昇し、ストック型サービスの売上は回復基調を示した。また、スポット型サービスについては2021年9月に新たな加盟プランを開始したことに伴う手数料の改定によりネット予約手数料売上が減少したことに加え、「楽天ぐるなびデリバリー」「楽天ぐるなびテイクアウト」の終了により、前年同期を下回った。

なお、関連事業については、店舗開発事業において商業施設からの収益を計上したほか、訪日外国人向け観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」の回復等を背景に前年同期を上回った。

費用面については、採用の抑制および自然減による従業員の減少と出向施策により人件費が減少したほか、注力サービス・施策の絞り込みによる業務委託費や広宣・販促費の減少等により前年同期を下回った。

ちなみに、ぐるなびの同期の具体的な取り組みは以下の通りである。

徹底した選択と集中と、外部企業との連携強化を推進

同期のぐるなびは、徹底した選択と集中と、外部企業との連携強化を推進した。まず中核事業である飲食店支援の回復・再成長に向けた取り組みのうち販促支援領域においては、既存加盟店に対してより集客効果の高い加盟プランへのプランアップ提案等を強化したほか、2022年10月より加盟店への送客拡大を目的とした「忘年会・新年会キャンペーン」を開催、ネット予約を利用するユーザーに対して、キャンペーンポイントの付与やネット予約の際に利用できるクーポンの配布を実施した。

また、業務支援領域においてはモバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」の導入企業数が増加した。さらなる導入企業・店舗数の増加に向けて連携するPOSレジシステムの拡大をはじめとした機能拡充や導入店舗における円滑な利用促進のためのサポート強化にも取り組んだ。

このほか、新規顧客獲得機会の拡大や販促分野に留まらない総合的な飲食店支援サービスの拡充、2022年5月には人材交流を通じた社員の育成等を目的にテンポスホールディングスとの業務提携契約に加えて、同12月には外食産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を加速すべく飲食店のさまざまな業務領域においてデジタルを活用した支援ツールを企画・開発・提供することを目的にオプティムと資本業務提携契約を締結した。

デリバリーやテイクアウトサービスを終了。連結子会社を解散

一方、同期は新たな取り組みとして、商業施設の飲食エリアのコンセプト設計から店舗誘致・構築、フロア運営までを総合的にプロデュースする店舗開発事業において2022年4月に鹿児島県、5月に愛知県、11月に東京都の商業施設にそれぞれフードホールをオープンしたほか、6月には食を通じた地域振興施策としてぐるなびが運営するECサイトにおける「ふるさと納税」サービスの取り扱いを、また9月には予約が困難な飲食店の席確保や予約代行等付加価値の高い食体験サービスを提供する有料会員制サービス「PREMIUM GOURMET CLUB」を開始した。

このほか、経営資源を注力分野へと集中するために、2022年7月に「楽天ぐるなびデリバリー」および「楽天ぐるなびテイクアウト」のサービスを終了したほか、12月には連結子会社であるぐるなびプロモーションコミュニティを解散した。また、5月以降は売上回復にかかる期間における固定費の低減等を目的に業務提携先企業等への従業員の出向を順次実施した。

ぐるなび、通期見通しを据え置き

ぐるなびは、2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比0.4%減の128億円、営業損益で25億5,000万円の赤字、経常損益で25億5,000万円の赤字、純損益で24億円の赤字と従来予想(2022年8月3日公表)を据え置いた。

前述の通り、2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)は営業損益、経常損益、純損益で赤字となったものの、赤字幅は前年同期に比べて縮小している。また、従来予想が示された2022年8月3日以降は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和や、インバウンド回復など環境変化も見られるが、ぐるなびは通期見通しについて、依然として慎重な姿勢を崩していないのが実情だ。

引き続き、ぐるなびの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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