2023年11月16日、日本メナード化粧品(本社:愛知県名古屋市)は、“魅力的な唇”と感じさせる見た目の要素とそれに関わる生体因子について解析を進めた。その結果、女性の唇の魅力度を判断する際、唇の「色み」「ボリューム」「シワ」のうち、男性は「色み」を、女性は「色み」と「ボリューム」を特に重視しており、感性に男女差があることが判明した。
さらに、「色み」には血流量や血中酸素飽和度、「ボリューム」には真皮の構造、「シワ」には表面温度が関与していると考えられるとしている。日本メナード化粧品は、今後これらの研究成果を、より魅力的な唇へ導く新しい美容提案や商品開発に活かす方針である。
今回は日本メナード化粧品の研究成果を紹介したい。
魅力的な女性の唇に関与する要素と生体因子を解明
魅力的に感じる唇には男女差がある
日本メナード化粧品は、かねてより魅力的に見える唇についての研究を進めており、過去に行った理想の唇に関するアンケートから「色み」「ボリューム」「シワ」が重要な要素であることを見出していた。そこで、本研究ではこの3つの要素について、唇の魅力度への関与の強さを解析するとともに、男女間で魅力的と感じる唇の要素に違いがあるのか検討した。
まず、女性の唇画像20枚(20~50代、各年代5枚ずつ)を用意し、85名の評価者(男性55名、女性30名)により、魅力度を比較する評価を行った。また、同じ唇画像20枚について、5名の皮膚科学従事者により、「色み」の美しさ、「ボリューム」の程度、「シワ」の程度を比較する評価を行った。85名の評価者による魅力度の評価値と、皮膚科学従事者による「色み」「ボリューム」「シワ」の評価値を用いて重回帰分析を行い、女性の唇の魅力度に対して「色み」「ボリューム」「シワ」のそれぞれがどの程度関与するのかを検証した。
その結果、男性評価者においては「色み」の関与が最も大きいことが判明した。一方、女性評価者においては、「色み」の関与が最も大きかったものの、「ボリューム」も関与することが明らかになった。すなわち、「色み」「ボリューム」「シワ」のうち、男性は「色み」を、女性は「色み」と「ボリューム」を重視していることが明らかになった(図1)。
次に、男女ともに魅力度への関与が大きかった「色み」についてさらに調査を実施した。色成分であるLab(※1)を計測し、「色み」の美しさに関与が大きい要素を解析した結果、a値だけではなくb*値も大きいほど美しいと感じることが判明した(図2)。つまり、赤みが強いだけでなく、青みが少ない温かみのある色合いが美しく見えると考えられた。
唇の色や形状は複数の生体因子によって左右される
続いて、魅力的な唇に重要な要素である「色み」「ボリューム」「シワ」の状態を制御している生体因子を調査した。その結果は以下の通り。
血流量、血中酸素飽和度が色みに関与する
唇の色みと関連のある生体因子を調べた結果、血流量が多いほどa値が大きく、唇の赤みが強くなることが判明した(図3)。また、血中酸素飽和度が高いほどb値が大きくなることも明らかになった(図4)。ちなみに、血中酸素飽和度が高いほど血液は鮮やかな赤色を示す一方、血中酸素飽和度が低いほど暗褐色を示す。つまり、血中酸素飽和度が低いほどb*値が小さく、青みがかった色み(青紫色)になると考えられた。
真皮の乳頭構造がボリュームに関与する
唇のボリュームと関連のある生体因子を調査するため、肌を傷つけずに内部構造を観察できるLC-OCT(※2)顕微鏡を用いて観察を行った。その結果、表皮と真皮の境にある凹凸構造(真皮乳頭)の水平断面面積が小さいほど唇のボリュームがあることが判明した(図5)。ちなみに、真皮乳頭には、酸素や栄養を運ぶ毛細血管が入り込んでいることが知られている。真皮乳頭断面の面積が小さい場合、血管がヘアピン状になって真皮乳頭の上部まで伸びていると考えられ、酸素と栄養が広く行き渡ることでヒアルロン酸などの基質が産生されやすくなり、ボリュームが増すと推測された。
表面温度がシワの深さに関与する
唇のシワと関連のある生体因子について調べた結果、表面温度が高いほど、シワの深さが浅く、目立たないことが判明した(図6)。唇の表面温度が高いと、細胞の活動が高まり、コラーゲンなどの産生が促され、シワが目立たなくなると考えられる。
日本メナード化粧品は、今後これらの研究成果を、より魅力的な唇へ導く新しい美容提案や商品開発に活かす方針である。日本メナード化粧品のさらなる研究成果を期待したい。■
(La Caprese 編集部)