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塩野義製薬、上半期は過去最高益。株価は年初来高値、新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」も寄与

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※画像はイメージです。(画像= tomoko_AC / 写真AC、La Caprese)

2023年11月2日、東京証券取引所で塩野義製薬の株価が一時7,179円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年7月11日の安値5,718円から4カ月足らずで25.6%の上昇である。

塩野義製薬は、大阪府大阪市に本社を置く製薬会社である。その源流は、1878年に誕生した薬種問屋「塩野義三郎商店」にまでさかのぼる。今年で創業145年を迎える同社は、さらなる成長を見据えた中期経営計画「Shionogi Transformation Strategy 2030 Revision(STS2030 Revision)」を展開中だ。STS2030 Revisionでは「HIVビジネス」「COVID-19(以下、新型コロナウイルス)治療薬」「新製品/新規事業」の3点を成長の柱に掲げ、「最もよい“薬(ソリューション)”」をグローバルに提供し続けることで、社会とともに持続的な成長を実現することを目標としている。

そうした成長戦略の一環として、塩野義製薬は2022年11月に厚生労働省より新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」の承認を得ている。「ゾコーバ」は、国内の製薬会社が開発した初めての新型コロナウイルスの飲み薬で、重症化リスクが高い患者を対象にしていたそれまでの薬と異なり、重症化リスクの低い患者でも服用できるのが特長である。後段で述べる通り、塩野義製薬が10月31日に公表した2024年3月期・第2四半期(上半期=2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績は、「ゾコーバ」の市場浸透も寄与して、同期としては売上収益と各種利益で過去最高を更新しており、株価にも刺激材料となった。

今回は塩野義製薬の話題をお届けしよう。

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塩野義製薬、営業利益は247.6%増

10月31日、塩野義製薬は2024年3月期・第2四半期(上半期=2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績を公表した。同期の売上収益は前年同期比52.9%増の2,305億4,200万円、本業の利益を示す営業利益は同247.6%増の981億600万円、税引前四半期利益は同70.1%増の1,156億300万円、最終利益は同58.2%増の905億9,300万円となった。

新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」の市場浸透も寄与

同期は、国内医療用医薬品の売上収益が前年同期比188.8%の増収と絶好調だった。①インチュニブおよびビバンセの共同開発・商業化に関するライセンスを武田薬品工業へ移管したことによる一時金を受領したことや、②新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」の市場浸透が拡大したこと、③長期にわたるインフルエンザ感染流行の継続によってインフルエンザファミリーの販売が拡大したこと……などが増収に寄与した。

一方、海外子会社および輸出も好調だった。❶多剤耐性グラム陰性菌に効果を示すセフィデロコル(米国の製品名:Fetroja、欧州の製品名:Fetcroja)が欧米で好調に推移した結果、売上収益で前年同期比15.1%の増収となったほか、❷製造受託や一般用医薬品の売上収益も、それぞれ前年同期比7.8%、13.1%の増収となったこと、❸ロイヤリティー収入では、Dovatoや長時間作用型治療薬Cabenuva、予防薬Apretudeを中心にヴィーブに導出したHIVフランチャイズの売上が伸長したことや、為替の影響により前年同期比14.8%増となったこと……などが寄与した。

売上収益と各種利益で過去最高を更新

利益面では、特別早期退職プログラムを実施したことにより費用が大きく増加したものの、すべての事業において増収を継続し、営業利益で前年同期比247.6%の増益と大幅に伸長した。また、金融収益では2022年度・第1四半期連結累計期間において、2021年度・第4四半期に受領予定であったヴィーブからの配当金を受領したことおよびヴィーブがギリアドとの訴訟の和解に伴う一時金を受領したことにより配当金が減少したものの、売上収益や営業利益の増加に伴い、税引前四半期利益が前年同期比70.1%増、最終利益も同58.2%増と伸長した。

その結果、同期としては売上収益と各種利益で過去最高を更新した。

トップラインの成長は堅調

10月31日、塩野義製薬は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比5.5%増の4,500億円、本業の利益を示す営業利益で同0.7%増の1,500億円、税引前利益で同12.6%減の1,925億円、最終利益で同16.2%減の1,550億円と従来予想(5月10日公表)を据え置いた。

塩野義製薬は、トップラインの成長は堅調であるとの認識を示しながらも、今後のポイントについて、①新型コロナウイルス関連製品およびインフルエンザファミリーの売上増加や、②ロイヤリティー収入の増加、③さらにはセフィデロコル(Fetroja、Fetcroja)の販売拡大が下期も継続する一方で、④アジアにおけるゾコーバ承認が不透明なこと、⑤ワクチンやゾコーバの海外成長に向けた投資を加速することで研究開発費を増額すること……を加味した上で、従来予想を据え置いたとしている。

引き続き、塩野義製薬の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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