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日清製粉グループ本社、最終黒字に復活。株価は年初来高値、年間配当予想も増額修正

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(画像= La Caprese)

2023年10月31日、東京株式市場で日清製粉グループ本社の株価が一時2,285.5円まで買われ、年初来高値を更新した。今年3月7日の安値1,529円から8カ月足らずで49.5%の上昇である。

日清製粉グループ本社は、製粉や加工食品、酵母・バイオ、健康食品、中食・惣菜等を展開する企業グループの持株会社である。その源流は、1900年に小麦粉の製造・販売を主な事業目的として創業した館林製粉にまでさかのぼる。123年の歴史を誇る同社は、小麦粉の国内シェアで約40%を占める製粉業界のリーディングカンパニーとして、食品産業において確固たる地位を築いている。

後段で述べる通り、日清製粉グループ本社が10月27日に発表した、❶2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績が最終黒字に復活したこと、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正したこと、❸今期の年間配当予想を従来予想の41円から42円(前期は40円)に増額修正したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回は日清製粉グループ本社の話題をお届けしよう。

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日清製粉グループ本社、最終黒字に復活

10月27日、日清製粉グループ本社は2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比9.8%増の4,268億8,100万円、本業の利益を示す営業利益は同60.3%増の255億1,100万円、経常利益は同53.9%増の265億1,100万円、最終黒字は184億4,600万円(前年同期は377億9,500万円の最終赤字)となった。

同期は新型コロナウイルス禍の行動制限緩和に伴う人流の増加やインバウンド需要の回復など経済活動の正常化が進んだほか、ウクライナ情勢等の影響により高騰した小麦をはじめとする穀物相場も徐々に落ち着きを取り戻してきた。為替の円安進行などの警戒すべき要因もあるが、製粉業界を取り巻く環境は好転の兆しが見えてきている。

こうした状況下、日清製粉グループ本社は、①製粉事業における国内の麦価改定に伴う小麦粉価格改定の実施、②熊本製粉の新規連結効果、③食品事業や中食・惣菜事業での製品価格改定の実施等……により売上高が伸長した。

一方、利益面では、❶各事業において前期にコスト上昇に対して価格転嫁が遅れた部分も含めた価格改定を実施するとともに、❷製粉事業における熊本製粉の新規連結効果、❸国内における副産物のふすま販売価格の堅調な推移、❹豪州製粉事業の前期の減損損失計上に伴うのれん等の償却費の減少、❺中食・惣菜事業の堅調な業績等……により、営業利益と経常利益が大幅に伸長したほか、最終損益で黒字に復活した。

セグメント別の概況は以下の通りである。

製粉事業

製粉事業の売上高は、国内において昨年および今年6月に実施した業務用小麦粉の価格改定、今年1月に連結子会社化した熊本製粉の新規連結効果等も加わり、前年同期比12.8%増の2,277億5,000万円となった。また、営業利益は、国内製粉事業において、副産物のふすま販売価格の堅調な推移、熊本製粉の新規連結効果および豪州製粉事業の前期の減損損失計上に伴うのれん等の償却費の減少等により、同107.0%増の147億3,100万円となった。

同期は国内製粉事業で、製品価格改定による小麦粉需要の減退があったものの、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和に伴う人流の増加やインバウンド需要の回復等により、出荷は前年並みとなった。また、今年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で5.8%引き上げられたことに加え、前期からエネルギー価格や物流費等が上昇していることも踏まえ、6月に業務用小麦粉の価格改定を実施した。

一方、海外製粉事業は、豪州における製品価格改定および米国子会社における為替換算の影響等により売上高は前年を上回ることとなった。

なお、日清製粉では、今年10月に製粉工場として日本最大規模を誇る鶴見工場で消費される電力のすべてを実質再生可能エネルギー化してCO2削減につなげるため、丸紅新電力との間でオフサイトコーポレートPPAの契約を締結した。

食品事業

食品事業の売上高は前年同期比7.2%増の991億5,300万円、営業利益は同15.4%増の46億9,200万円となった。

加工食品事業では、国内において原材料等のコスト上昇に伴う対応として、昨年から製品価格改定を継続して実施したことで、売上高は前年を上回った。また、酵母・バイオ事業は、国内において原材料価格やエネルギー価格の高騰を受け、昨年7月と11月および今年4月にイーストの価格改定を実施したことに加え、海外で昨年8月にインドイースト事業を開始したことにより、売上高が伸長した。その一方で、健康食品事業の売上高は前年を下回った。

中食・惣菜事業

中食・惣菜事業は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和に伴う人流の増加やインバウンド需要の回復、製品価格改定等により、売上高は前年同期比6.5%増の780億6,400万円、営業利益は製品価格改定や生産性改善等により、同107.3%増の33億9,700万円となった。

その他事業

その他事業の売上高は前年同期比3.9%増の219億1,200万円、営業利益はエンジニアリング事業における大型工事の減少等により、同15.4%減の25億8,100万円となった。

今期の業績予想を上方修正、年間配当予想も増額修正

10月27日、日清製粉グループ本社は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比6.4%増の8,500億円、本業の利益を示す営業利益で同40.1%増の460億円、経常利益は同42.2%増の470億円、最終黒字は300億円(前期は103億8,100万円の最終赤字)となる見通しを示した。これは従来予想(5月10日公表)に比べて、売上高でプラス3.7%、営業利益でプラス17.9%、経常利益でプラス19.0%、最終黒字でプラス15.4%の上方修正である。

なお、冒頭でも述べた通り、日清製粉グループ本社は今期の年間配当予想を従来予想の41円から42円(前期は40円)に増額修正することも発表した。

引き続き、日清製粉グループ本社の業績と株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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