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シード、純利益は130.7%増。株価は年初来高値、需要回復が追い風に

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(画像= RRice / 写真AC、La Caprese)

2023年8月22日、東京証券取引所でシードの株価が一時734円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月5日の安値491円から7カ月半で49.5%の上昇である。

シードは、コンタクトレンズの研究開発から製造・販売までを手がける企業である。1951年に日本で初めてコンタクトレンズの研究を開始して以来、ハードコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズのほか、1日使い捨てコンタクトレンズ、2週間と1ヶ月の定期交換コンタクトレンズ、乱視用や遠近両用コンタクトレンズなど、消費者の多様なニーズに応えた商品を提供している。

後段で述べる通り、シードが8月9日に発表した2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績で大幅な増益となったことが、株価にも刺激材料となった。

今回はシードの話題をお届けしよう。

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シード、純利益は130.7%増

8月9日、シードは2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比5.1%増の79億5,200万円、本業の利益を示す営業利益は同84.6%増の6億5,000万円、経常利益は同73.2%増の7億900万円、純利益は同130.7%増の4億2,600万円と大幅な増益となった。

同期の国内のコンタクトレンズ市場は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和等を背景とした外出機会の増加により需要回復が顕著となった。しかし、その一方で、世界的な人手不足や過去の半導体不足に起因する設備更新の遅れ、国際物流網遅延の問題に端を発し、海外メーカーを中心に、日本市場への商品供給不足が発生するなど不透明な情勢となった。シードは、今後の国内コンタクトレンズ市場について、1日使い捨てタイプへのシフトが続いていることや「近視」の低年齢化が世界的な社会問題として注目される中で、オルソケラトロジーレンズの普及、ミドルエイジ以降の遠近両用および乱視用コンタクトレンズ等の伸長により、緩やかながらも拡大を続けていくとの見通しを示した。

また、海外のコンタクトレンズ市場についても、国や地域により差異はあるものの、アフターコロナの需要拡大と近視人口の増加を背景に回復傾向を示しており、今後も市場の着実な拡大が見込まれるとしている。

『「見える」に新たな価値を』の実現を目指して

こうした中、シードは3ヶ年中期経営計画(2021年4月~2024年3月)の最終年度である2024年3月期も引き続き『「見える」に新たな価値を』を実現するために、「市場競争力の強化・収益力の強化」「信頼されるモノづくり」「SDGsの推進」「安定した株主還元」を最重要施策として取り組んできた。

たとえば、同期はシードの乱視用コンタクトレンズの一部度数について、需要の高まりを受けて供給量を上回る注文を受けた。これを踏まえて、安定した商品供給と新商品の開発・生産を含む生産力全体の体質強化に注力した。主力生産拠点である鴻巣研究所においては、生産設備の増設を含めた生産増強を行う予定であり、2024年3月期には老朽化した1号棟の生産設備の更新および3号棟のライン新規増設により月間最大計画枚数を現在の5,300万枚から5,800万枚へ、2025年3月期には2号棟の延伸(別館新設)により月間最大計画枚数を5,800万枚から6,400万枚へと引き上げる計画である。

ちなみに、上記を含む一連の設備投資は、2050年カーボンニュートラルの実現を加速させるため、製品の生産設備や生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備の導入に関する投資計画であり、エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画(カーボンニュートラル投資促進税制)の認定を取得している。

シードの商品戦略

一方、シードは商品戦略として、主力商品である純国産の「ワンデーピュアシリーズ」に対する需要の高まりを背景に、乱視、遠近両用コンタクトレンズといったスペシャリティレンズの需要を伸ばすと同時に、2023年3月期に市場に投入したシリコーンハイドロゲルレンズの2商品「シード1daySilfa(シルファ)」「シードAirGrade 1day UV W-Moisture(エアグレード ワンデー UV ダブルモイスチャー)」並びにカラーコンタクトレンズ「Bellme(ベルミー)」によりさらなる需要創出を目指した販売を推進した。

なお、セグメント別の状況は以下の通りである。

コンタクトレンズ・ケア用品

コンタクトレンズ・ケア用品の売上高は前年同期比5.1%増の79億2,100万円、営業利益は同48.6%増の9億2,500万円と大幅な増益となった。

同期は、国内で引き続き純国産の「ワンデーピュアシリーズ」を中心に、2つの異なるベクトルを持つシリコーンハイドロゲルレンズや、特に市場の伸長が最も見込まれる遠近両用コンタクトレンズ等の高付加価値商品の拡販に注力した。「ワンデーピュアシリーズ」は需要増により前年同期比8.2%増加した。就寝時に装用し日中裸眼で視力矯正効果が得られるオルソケラトロジーレンズも、前年同期比13.0%と大きく伸長した。サークル・カラーコンタクトレンズでは、1日使い捨てカラーコンタクトレンズ「Belleme(ベルミー)」の取扱店舗増加が影響し、全体として前年同期比2.3%増となった。

一方、ケア用品は、オルソケラトロジーレンズ関連のケア用品は増加したものの、コンタクトレンズの使い捨てタイプへのシフト等の影響から前年同期比2.3%減となった。また、海外へのコンタクトレンズ輸出等は、アジア・欧州ともに回復傾向が見られ前年同期比8.7%増と伸長した。

その他

その他のセグメントは、眼内レンズの売上が減少した結果、売上高は前年同期比2.3%減の3,100万円、営業損失は200万円(前年同期は500万円の営業損失)となった。

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無限の新分野に種をまき、 結実した「成果」を収穫する

8月9日、シードは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比7.9%増の330億円、本業の利益を示す営業利益で同169.9%増の17億円、経常利益で同197.7%増の16億5,000万円、純利益で7億円(前期は3億1,600万円の純損失)と従来予想(5月12日公表)を据え置いた。シードは、第1四半期の連結業績はおおむね計画に沿って推移しているとの認識を示した。

ちなみに、社名のシードは英語の「種子(SEED)」に由来している。無限の新分野に種をまき、 結実した「成果」を収穫し続けることで、消費者の「見える」をより一層サポートする……という意味が込められている。今期はもちろんのこと、中長期的にシードはどんな「成果」を収穫するのだろうか? シードの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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