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関東大震災から100年。企業は「不測の事態」とどう向き合うのか?――帝国データバンクの調査報告

震災対策,企業
(画像= makoto.h / 写真AC、La Caprese)

2023年8月29日、帝国データバンクは「関東大震災100年」に対する企業の意識調査に関するレポートを発表した。調査期間は2023年5月18日~5月31日で、調査対象は全国2万7,930社、有効回答企業数は1万1,420社(回答率40.9%)であった。

2023年は死者・行方不明者数が10万人を超えた国内最大の災害である「関東大震災」から100年の節目の年となる。しかし、近年も毎年のように豪雨、台風などの自然災害が発生し社会生活、企業活動に大きな影響を与えている。さらには、首都直下地震や南海トラフ地震などの大地震も発生の確率が高いとの予見もある。平常時からこうした緊急事態に対する備えが、事業継続のみならず企業価値の維持・向上の観点からも重要といえるだろう。

今回は帝国データバンクの「関東大震災100年」に対する企業の意識調査を紹介したい。

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帝国データバンク、「関東大震災100年」に対する企業の意識調査

『関東大震災から100年』であることを知っている企業は42.5%

まず、2023年9月1日が関東大震災から100年の節目を迎えることを知っているか尋ねたところ、「100年であることを知っている」と回答した企業は42.5%だった。一方で、「100年であることを知らない、分からない」企業は57.5%と半数超にのぼった。

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(図1) 出典:帝国データバンク

都道府県別にみると、「東京」(52.9%)や「神奈川」(52.1%)、「千葉」(51.4%)など関東の都県で割合が高く、全体を大きく上回った。

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(図2) 出典:帝国データバンク

「100年であることを知っている」かつ震災への備えに「取り組んでいる」企業は16.5%

次に、震災への備えに取り組んでいるか尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は38.0%だった。一方で、「100年であることを知っている」かつ震災への備えに「取り組んでいる」企業は全体の16.5%と2割以下であった。

震災対策,企業

(図3) 出典:帝国データバンク

「100年であることを知っている」かつ「取り組んでいる」企業を従業員数別にみると、従業員50人以下の企業では16.5%を下回ったものの、51人以上の企業では16.5%を超えており、従業員数が多くなるにつれ、その割合が高くなる傾向がみられた。特に「1,000人超」の企業は38.9%と最も高く、従業員数に比例して認知度や備えが進んでいる様子がうかがえる。

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(図4) 出典:帝国データバンク

企業価値の維持・向上のためにも、不測の事態への備えは大切

国内最大の災害である「関東大震災」から100年――。

2023年の現在も、首都直下地震や南海トラフ地震など、今後の発生が予見されており、危機管理への重要性も高まっている。しかし、2023年5月に行った帝国データバンクの調査によると、BCP(事業継続計画)の策定率は18.4%と2割を下回っている。BCPの策定や震災への備えなどは事業拡大に比べて優先順位が低くなる傾向があり、こうした取り組みはすぐには効果が見えにくい。帝国データバンクは「企業価値の維持・向上のためにも、不測の事態に対して平時から備えておくことは重要であり、非常時の対処方法の策定や確認、見直しなどが必要であろう」との見解を示している。■

(La Caprese 編集部)

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