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ユアサ商事、創業360年を見据え中期経営計画を推進。株価は昨年来高値、2期連続の過去最高益へ

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(画像= Canva、La Caprese)

2024年1月25日、東京証券取引所でユアサ商事の株価が一時4,965円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年2月3日の安値3,460円から1年足らずで43.5%の上昇である。

ユアサ商事は、東京都千代田区に本社を置く複合専門商社グループである。その源流は、1666年に初代の湯淺庄九郎氏が京都に開いた木炭商にまでさかのぼる。今年で創業358年目を迎える、日本でも有数の歴史を誇る企業であり、現在では工場設備(工業機械、産業機器)、住環境(住設、管財、空調)、建材(建築、エクステリア)、建設機械等をコア事業とする複合専門商社グループに成長した。

そんなユアサ商事は、創業360年を迎える2026年に売上高で5,760億円、経常利益で200億円、経常利益率で3.3%を目標とする中期経営計画『Growing Together 2026』(2023年4月から2026年3月)を展開中だ。さらに後段で述べる通り、❶2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想で2期連続の過去最高益となる見通しが示されたこと、❸2024年3月期の年間配当を前期比42円増額の182円に増配する方針を示したこと……など好調な業績も株価のサポート要因となっている。

今回はユアサ商事の話題をお届けしよう。

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ユアサ商事、純利益は77.4%増

2023年11月13日、ユアサ商事は2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比5.2%増の2,462億1,000万円、本業の利益を示す営業利益は同15.3%増の59億1,900万円、経常利益は同12.7%増の64億300万円、純利益は退職給付信託返還益などを計上したことにより同77.4%増の64億9,900万円と増収増益となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和で経済活動の正常化に向けた動きが進み、緩やかな景気回復がみられたものの、一方でウクライナ情勢の長期化や、原燃料価格の高騰、為替の円安進行により、先行き不透明な状況が継続した。

工業分野では、自動車関連産業において半導体不足の緩和で生産が持ち直し、EV(電気自動車)を中心に堅調な設備投資需要が続いた。一方、半導体関連産業では需要の充足感から設備投資に慎重な動きがみられた。建設・住宅分野では、公共・民間設備投資は堅調に推移したものの、持家を中心とした新設住宅着工戸数は弱含みで推移した。また、海外では部品・資材の価格や人件費の上昇がみられたが、米国やタイ、インド、インドネシアなどの東南アジア諸国の景気は緩やかな回復傾向を示した。他方、中国では景気回復の動きに足踏みがみられた。

セグメント別の概況は以下の通りである。

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産業機器部門

産業機器部門の売上高は前年同期比4.4%増の386億9,300万円となった。

同期は、一部半導体需要に充足感がみられ、関連産業の工場稼働率は低下したものの、省エネ関連機器を中心とした設備投資需要は堅調に推移し、販売は伸長した。一方、材料費・燃料費の高騰は継続しており、仕入価格に影響が見られた。このような状況下、生産現場のカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進し、省エネ性能の高いコンプレッサーなどの制御関連機器の拡販や、スマートファクトリーの実現に向けた「ローカル5Gソリューション」など生産現場の自動化・合理化の提案に注力した。

工業機械部門

工業機械部門の売上高は前年同期比9.2%増の577億1,400万円となった。

同期は、EVを中心とした自動車関連産業や車載半導体など関連機器の設備投資案件が底堅く推移したほか、エネルギー・航空機関連の商談も増加した。一方、PC・スマートフォン向け半導体の需要が低迷し、関連産業の設備投資需要は低調に推移した。海外では自動化・カーボンニュートラルに向けた需要は増加したものの、中国市場の経済成長鈍化の影響もみられた。このような状況の中、人手不足対策やロボットを使用した無人化、省人化ニーズに対応したオリジナルのロボットシステム「Robo Combo」の提案を進めるとともに、次世代節電ユニットなどカーボンニュートラル商品の拡販にも注力した。

住設・管材・空調部門

住設・管材・空調部門の売上高は前年同期比6.3%増の867億2,900万円となった。

同期は、持家を中心に新設住宅着工戸数の緩やかな減少傾向が続く中、リフォーム需要は堅調に推移し住宅設備機器、管材商品は底堅い動きとなった。また、エネルギー価格の高騰、カーボンニュートラルへの対応を見据えた需要の増加により空調関連機器や再生可能エネルギー分野においても販売は堅調に推移した。このような状況の中、中高級住宅関連機器、非住宅分野向けの管材商品、高機能空調関連機器、太陽光パネル、蓄電池や周辺機器の商品販売やシステム提案とエンジニアリング機能の強化に努めた。

建築・エクステリア部門

建築・エクステリア部門の売上高は前年同期比7.5%増の251億5,300万円となった。

同期は、首都圏を中心とした再開発案件やマンション・ホテルに加えて物流施設の建設が増加したことにより、建築金物商材やアルミ目隠しフェンスなどのエクステリア商材が堅調に推移した。また、自然災害や交通事故などの対策商品を中心に公共設備投資も底堅く推移した。このような状況の中、ゲリラ豪雨被害対策として冠水センサー付き車止め、止水板などのレジリエンス製品やセキュリティの向上・省人化を図る車番認証ゲート「SAI-GATE」の提案および建築に係わる製作金物の提案・拡販に注力した。

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建設機械部門

建設機械部門の売上高は前年同期比5.3%増の181億700万円となった。

同期はインフラ整備や防災・減災工事などの公共工事とともに、民間設備投資も堅調に推移した。一方、資材・エネルギー価格の高騰、建設技能者不足による工事遅延や建設機械の長納期化などの影響も引き続きみられた。このような状況の中、建設現場のCO2見える化商品の拡販、建設・農業現場の安全施工のためのソリュ-ション商品やAI(人工知能)画像解析技術による省力化、効率化への提案と、海外輸入商品の販売を強化した。また、中古建機・農機オークション事業をはじめ、コンテナハウス製造や建設機械の整備・レンタル機能の拡充に努めた。

エネルギー部門

エネルギー部門の売上高は前年同期比0.3%減の95億200万円となった。

同期は低燃費車の普及によりガソリン需要が減少する中、原油価格の高騰が続き、ガソリン・軽油などの石油製品価格も燃料油補助金が段階的に縮小されたことから高値で推移した。このような状況の中、東海地方を中心に展開しているガソリンスタンドの小売事業では、洗車・車検・コーティングなどのカーケアサービスの強化に努めた。また、京浜地区における船舶用燃料の販売強化にも取り組んだ。

その他

その他部門の売上高は前年同期比16.8%減の103億800万円となった。

同期は消費財事業が全国的な猛暑の影響などにより、新商品のサーキュレーターや扇風機を中心とした季節家電の販売が伸長した。また、ネット販売事業においては、新商品の掲載を積極的に進め、多様化する消費者ニーズに対応した。木材事業では、戸建住宅の着工戸数が引き続き低調に推移したことにより、輸入材、国産材ともに需要低迷が見られた。

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創業360年を見据え、中期経営計画『Growing Together 2026』を推進

冒頭でも述べた通り、ユアサ商事は創業360周年を迎える2026年を見据えた「ユアサビジョン360」実現の第3ステージとして、2023年4月から2026年3月までの3カ年を対象とする中期経営計画『Growing Together 2026』を展開中である。

中期経営計画では「風土改革」「DX推進」「サステナビリティ推進」をベースとしてビジネス変革を推進し、モノづくり、すまいづくり、環境づくり、まちづくりの分野において既存取引ネットワークを発展させ、「モノ売り」と「コト売り」の両面においてマーケットアウト型のビジネスを展開することで、企業価値向上を目指す。同時に、350年以上受け継がれてきた経営基盤をさらに進化させるため、企業理念に基づいた「サステナビリティ宣言」を策定し、持続的な社会の構築に向け、積極的に貢献する方針である。その結果、2026年には売上高で5,760億円、経常利益で200億円、経常利益率で3.3%を目標としている。

なお、ユアサ商事は昨年11月13日、2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比3.6%増の5,230億円、本業の利益を示す営業利益で同5.5%増の154億円、経常利益で同6.6%増の164億円、純利益で同23.0増の124億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年5月12日公表)に比べて、売上高・営業利益・経常利益は据え置き、純利益はプラス6.0%の上方修正である。見立て通りとなれば営業利益・経常利益・純利益で2期連続の過去最高益となる。さらに、2024年3月期の年間配当については、前期比42円増額の182円に増配する方針を示した。

引き続き、ユアサ商事の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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