2024年6月7日、東京証券取引所でイエローハットの株価が一時2,145円まで買われ、年初来高値を更新した。今年1月4日の安値1,750円から5カ月で22.6%の上昇である。
イエローハットは、カー用品チェーンを展開する企業である。その源流は、1961年創業の「ローヤル」にまでさかのぼる。自動車用品及び付属用品の販売を手がける「ローヤル」は、モータリゼーションの進展を背景に業績を伸ばした。そして、1997年9月に東証第一部に上場し、同10月にはイエローハットに商号を変更している。ちなみに、社名のイエローハットは児童が通学時にかぶる「黄色い帽子」が由来となっている。そこには、自動車産業に携わる企業として、人とクルマの心地よい共存関係と「交通安全」への願いが込められている。
後段で述べる通り、イエローハットが公表した2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績は減収減益となったものの、❶2025年3月期・通期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結業績予想については増収増益となる見通しが示されたこと、❷さらに、2025年3月期の年間配当予想を前期比4円増の70円に増配する方針を示したこと……などが株価のサポート要因となっている。
今回はイエローハットの話題をお届けしよう。
イエローハット、営業利益は5.1%減
5月10日、イエローハットは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前期比0.4減の1,466億4,100万円、本業の利益を示す営業利益は同5.1%減の144億7,500万円、経常利益は同2.1%減の159億6,400万円、純利益は同3.8%減の102億5,900万円と減収減益となった。
同期のカー用品業界全体の概況は、アフターコロナで旅行や帰省をはじめとしたドライブ需要の回復により、タイヤやオイル、バッテリーなどの消耗品販売が上期を中心に堅調に推移した。しかし、下期は全国的な暖冬となったことにより、スタッドレスタイヤなどの冬季用品の販売は減少した。また、春の履き替えシーズンでは低温と多雨など天候不良の影響により、夏用タイヤへの履き替えが遅れ、タイヤは大幅な販売不振を余儀なくされた。
このような環境下、イエローハットは経営戦略方針の一つであるタイヤ・オイル・バッテリーなど消耗品の拡販や取付・整備作業及びメンテナンスメニューを拡充した。また、新たな取り組みとして、顧客の利便性及び満足度の向上と新規顧客拡大を目指し、2023年9月より楽天ポイントカードの取扱いを開始した。さらに、店舗展開では好条件な立地への店舗移転や、利益改善のための店舗集約及びグループ内での業態変更を進めるなど、経営資源の効率化に努めた。
その結果、2024年3月31日時点の店舗数は、イエローハット740店舗、2りんかん62店舗、バイク館(カワサキプラザ含む)70店舗の合計872店舗、イエローハット車検センターが8店舗、イエローハットコイン洗車場が11店となった。
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今期は増収増益を予想、増配計画も追い風
5月10日、イエローハットは2025年3月期・通期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比2.3%増の1,500億円、本業の利益を示す営業利益は同3.6%増の150億円、経常利益は同2.7%増の164億円、純利益は同2.3%増の105億円と増収増益となる見通しを示した。
イエローハットは同期の経営環境について、景気の回復基調が期待されるものの、エネルギー価格や原材料価格の高騰による物価上昇が見込まれ、個人消費の低迷が懸念されるなど、先行きは依然として不透明な状況が継続するとの認識を示した。その上で、①カー用品販売事業の拡大、②車検、ピット技術事業の拡充、③二輪事業の強化、④卸売事業の強化、⑤活力ある会社づくり……に取り組む考えを示した。
なお、冒頭でも述べた通り、イエローハットは2025年3月期の年間配当予想を前期比4円増の70円に増配する方針を示した。
引き続き、イエローハットの業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)