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炭酸にはどんな「美肌効果」が期待できるの?――花王の研究成果

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(画像= Colorado / 写真AC、La Caprese)

2023年7月4日、花王(本社:東京都中央区)生物科学研究所・スキンケア研究所は、炭酸ガス(CO2)が経皮吸収された際に起こる組織内のpH低下に着目し、真皮の主要な構成成分であり皮膚の弾力性維持に重要なエラスチン、コラーゲン、ヒアルロン酸(細胞外マトリックス、以下ECM)の産生に与える影響を真皮線維芽細胞において評価した研究成果を公表した。結果は、低pHの環境下において、いずれのECM産生も促進することを見いだした。さらに、その作用メカニズムを解析し、細胞内シグナル伝達経路の一端を明らかにした。

ちなみに、本研究成果はExperimental Dermatologyにオンライン公開されたほか、第48回日本香粧品学会(2023年6月23~24日・東京都)にて発表した。

今回は花王の研究成果を紹介したい。

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出典:花王

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炭酸の真皮組織に対する作用を新たに発見

炭酸が皮膚から体内へ浸透することで血行がよくなることは広く知られている。花王ではこれまで、炭酸配合製剤の塗布によって落屑(らくせつ)や炎症などが改善することを、表皮のpH低下を主たるメカニズムとして報告してきた。今回はさらに、皮膚の形状や弾力性の維持において重要な真皮機能への炭酸の有用性を期待し、正常ヒト皮膚線維芽細胞を用いて、細胞外環境のpH低下がECMの産生に及ぼす影響とその作用メカニズムを検討した。

炭酸配合製剤の添加による真皮層のpH低下を確認

三次元皮膚モデルの角層側に炭酸配合製剤もしくはpHを同一に調整した炭酸非配合製剤を添加し、炭酸の皮膚透過性と皮内pHへの影響を評価した。その結果、炭酸配合製剤を添加した場合のみ、pH低下が確認されたことから、製剤中に溶解した炭酸が角層側から真皮層まで浸透したことが示唆された(図1)。

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(図1) 出典:花王

上記の結果に基づいて、炭酸配合製剤の塗布により真皮のpHが低下することを想定し、さらなる検討を進めた。

低pH環境において真皮線維芽細胞によるECM産生が促進することを発見

pHを6.5に低下させた培地、あるいはpH非調整(pH 7.6~pH 7.8)の培地にて線維芽細胞を培養し、エラスチン線維およびコラーゲン線維の形成、ヒアルロン酸産生量を評価した。その結果、細胞外環境のpH低下により、皮膚の弾力性維持に関わる主要なECM群が同じように産生促進する極めて珍しい作用が明らかになった(図2)。

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(図2) 出典:花王

細胞外環境のpH低下を起点とした細胞内シグナル伝達経路を推測

炭酸配合製剤の塗布により、真皮のECM産生が促進する可能性を追究するため、線維芽細胞が外部環境のpH低下を感受した際に活性化するシグナル伝達経路について検討した。その結果、線維芽細胞で特定の受容体がpH低下を感受すると、そのシグナルが細胞内で伝達され、活性化した情報伝達因子CREBがTGF-β1の産生を促すことが明らかになった。TGF-β1はECMの発現制御に関与するタンパク質で、TGF-β1が線維芽細胞に働きかけることで、各種ECMの産生を促進することが知られている。

肌を美しく健やかな状態へ導くために

今回の研究により、炭酸配合製剤の塗布が誘導し得る真皮のpH低下が、線維芽細胞のECM産生を促進することがメカニズムの一端とともに示された。花王は今後も炭酸の多面的な作用を明らかにし、肌を美しく健やかな状態へ導くための検討を深める方針である。

花王のさらなる研究成果を期待したい。■

(La Caprese 編集部)

特集:美肌を科学する
美肌,科学的根拠
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