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アシックス、株価は上場来高値。業績V字回復が鮮明、配当の増額修正も刺激材料

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(画像= Canva、La Caprese)

2023年8月10日、東京証券取引所でアシックスの株価が一時5,250円まで買われ、上場来高値を更新した。今年1月5日の安値2,802円から7カ月で87.3%の上昇である。

アシックスは競技用シューズやスニーカーなど各種スポーツ用品等の製造および販売を手掛ける企業である。その源流は1949年に兵庫県神戸市で設立した鬼塚商会にまでさかのぼる。28年後の1977年には、スポーツウェアメーカーのジィティオ、ニットウェアメーカーのジェレンクの3社で対等合併し、総合スポーツ用品メーカーのアシックスを発足した。創業から今年で74年目を迎える老舗(しにせ)であり、日本国内はもちろんのこと、海外事業も積極的に展開している。

後段で述べる通り、アシックスが8月8日に発表した①2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績で純利益が前年同期比82.8%増となるなどV字回復を示したことに加え、②2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想を上方修正し、売上高・営業利益・経常利益・純利益が軒並み過去最高を更新する見通しを示したこと、③さらに、今期の年間配当を前回発表予想(2023 年2月10日)の44円から55円に増額修正したこと……が株価にも刺激材料となった。

今回はアシックスの話題をお届けしよう。

アシックス、純利益は82.8%増

8月8日、アシックスは2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比28.9%増の2,900億7,900万円、本業の利益を示す営業利益は同75.4%増の336億1,000万円、経常利益は同78.2%増の338億1,800万円、純利益は同82.8%増の247億9,600万円と大幅な増収増益となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和で人々の自由な移動が可能となる中、スポーツイベント等の開催が本格化するなど、社会経済活動の正常化が進展した。そうした状況下、アシックスは全地域・全カテゴリーにおいて前年同期比で増収となり、同期としては売上高で過去最高を更新した。

地域別では、日本地域のアシックスジャパンが41.8%増と大幅に伸長した。インバウンド需要の取り込みに加え、商品供給の正常化を背景としたコアパフォーマンススポーツの好調が寄与した。一方、中華圏地域も39.6%増と好調だった。中華圏地域におけるオニツカタイガーの売上高は今年2月以降、前年を上回って推移している。また、東南・南アジア地域は、インドやマレーシアの販売好調が牽引役となって66.9%増と最も伸長した地域となった。

利益面では、販管費のコントロールや増収効果もあり、販管費率が低下、営業利益率は前年同期の8.5%から11.6%と大幅に改善した。その結果、同期としては営業利益が過去最高を更新したほか、純利益も過去最高となった。

なお、主要カテゴリーの状況は以下の通りである。

パフォーマンスランニング

パフォーマンスランニングの売上高は前年同期比19.9%増の1,478億3,900万円、カテゴリー利益は同12.6%増の292億7,500万円となった。

同期は、特に日本や北米、欧州、オセアニアにおける「GEL-NIMBUS 25」のプロモーション強化が成功し、全地域で増収を記録した。

また、同期はアシックスを代表する高機能ランニングシューズ「GEL-KAYANO」シリーズから、走り始めから終わりまでの疲労によるランニングフォームの変化に注目し、安定性と快適性を両立させた最新モデル「GEL-KAYANO 30」を発売した。「GEL-KAYANO」シリーズは1993年から展開している長距離ランニング用の高機能モデルである。

ちなみに、「GEL-KAYANO 30」は、製品ライフサイクル(材料調達・製造・輸送・使用・廃棄)における温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)を、アシックスとして初めて表示した製品であり、アシックスが掲げる2050年までに事業における「温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けた取組みの一環である。

コアパフォーマンススポーツ

コアパフォーマンススポーツの売上高は前年同期比71.9%増の404億3,000万円、カテゴリー利益は同116.1%増の87億円となった。

同期は、独自の商品訴求を展開しているテニスシューズなどが牽引し、全ての地域で前年同期比2ケタの増収を記録した。

また、同期は優れた反発性と推進力を兼ね備えた100m、200m向けの陸上短距離用スパイクシューズの最新作「METASPEED SP」を発売した。このシューズはミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)上部のつま先部からかかと部にかけてカーボンプレートを搭載しているのが特徴である。2023年5月21日に開催されたセイコーゴールデングランプリ陸上2023横浜では、フレッド・カーリー選手が「METASPEED SP」を着用し、大会新記録となる9.88秒を記録し優勝した。

スポーツスタイル

スポーツスタイルは全ての地域で好調に推移し、売上高は前年同期比51.5%増の280億7,700万円、カテゴリー利益は同72.5%増の54億2,100万円と大幅な増収増益となった。

アパレル・エクィップメント

アパレル・エクィップメントは日本地域や中華圏地域が好調だった。売上高は前年同期比5.3%増の180億7,500万円、カテゴリー利益は13億1,900万円(前年同期は2,600万円のカテゴリー利益)となった。

オニツカタイガー

オニツカタイガーの売上高は前年同期比44.1%増の282億9,700万円、カテゴリー利益は同116.0%増の78億2,600万円となった。同期は、インバウンド需要の回復を取り込んだ日本地域がカテゴリー全体の増収に寄与した。また、中華圏地域も増加傾向を示した。

今期は売上高・営業利益・経常利益・純利益で過去最高へ

8月8日、アシックスは2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比13.5%増の5,500億円、本業の利益を示す営業利益で同35.3%増の460億円、経常利益で同35.9%増の420億円、純利益で同25.7%増の250億円となる見通しを示した。これは従来予想(2月10日公表)に比べて売上高でプラス7.8%、営業利益でプラス24.3%、経常利益でプラス31.3%、純利益でプラス25.0%の上方修正である。

アシックスは上方修正の理由について、❶売上高は、カテゴリーではコアパフォーマンススポーツ、スポーツスタイルおよびオニツカタイガー、地域では日本、中華圏、東南アジア、南アジアで引き続き順調に推移することが見込まれるほか、❷為替レートを見直したこと、❸利益面でも増収効果に加えて、粗利益率改善により従来予想を上回る見立てとなった……ことを挙げている。予想通りとなれば売上高・営業利益・経常利益・純利益の全てにおいて過去最高を更新することとなる。

なお、冒頭でも述べた通り、アシックスは業績やキャッシュ・フローの状況を踏まえ、2023年12月期の年間配当を前回発表予想(2023 年2月10日)の44円から55円に増額修正することをあわせて発表した。

引き続き、アシックスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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