2022年8月31日、金融庁は令和5年度の税制改正要望を公表した。株式の配当や売却益の一部に税金がかからない「NISA(少額投資非課税制度)」の恒久化のほか、非課税で保有できる期間を無制限にし、投資枠の拡大も求めた。
岸田文雄首相が掲げる看板政策「資産所得倍増」の一環ということもあって、NISAの投資枠拡大・恒久化へ向けた動きはSNS等でも話題となっている。そこで今回は日本証券業協会が公表している、NISAに関する各種データを見ていこう。
NISA総口座数は8年で118%増加
2022年3月末の証券会社のNISA総口座数(一般NISAとつみたてNISAの合計)は1,120万口座となっている(グラフ1)。NISAは2014年に導入された時限的な措置であるが、この8年間で118.3%増加している。また、2021年末と比較すると一般NISAは1.1%増とほぼ横ばいにとどまっているが、つみたてNISAの口座数は16.8%増の339万口座と引き続き高い伸びを示している。
つみたてNISAは2018年に導入されたが、この3年3カ月で7.5倍と急増している。
つみたてNISAは「投資未経験者」の割合が大きい
2022年3月末のつみたてNISAにおける「投資未経験者」の割合は88.1%に達する。一方、一般NISA口座における「投資未経験者」の割合は47.9%となっている。いずれも「投資未経験者」の割合が大きいのだが、特につみたてNISAは選考されやすい傾向にあるようだ(グラフ2)。
NISA口座数の年代別分布は「20~30代」が最も多い
NISA総口座数(一般NISAとつみたてNISAの合計)を年代別にみると、20~30代が最も多く329万口座に達している(グラフ3)。また、20~30代のNISA総口座数の67.5%を「つみたてNISA」が占めているのも大きな特徴である(グラフ4)。このことから「つみたてNISA」の普及が若い世代のNISA口座数の増加に寄与していると考えられる。
つみたてNISA口座の累計買付額が1兆円を突破
一般NISA口座の累計買付額は2022年3月末で18兆6,792億円、2021年末と比較して8.5%増加した(グラフ5)。
一方、2022年3月末のつみたてNISA口座の累計買付額は1兆1,704億円であり、2021年末と比較して19.5%増加している。
今回紹介したように、NISAは2014年に導入されてから順調に口座数を伸ばしている。岸田首相の看板政策「資産所得倍増」の一環として、NISAの投資枠拡大・恒久化が実現するのか。引き続き注目しておきたい。■
(La Caprese 編集部)