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パーク24、株価は11カ月で53.0%上昇 「事業の筋肉質化」を推進、コロナの影響は軽減する見通し

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(画像= La Caprese)

2022年12月16日、東京証券取引所でパーク24の株価が一時2,258円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月7日につけた年初来安値の1,476円から11カ月で53.0%の上昇である。

パーク24は、コインパーキング「タイムズ」等を運営するタイムズ24などを傘下に置く持株会社である。駐車場管理業者としては日本国内最大手だ。パーク24ではこのほか、大型駐車場およびビル型駐車場など施設駐車場といった多様な駐車場事業も展開している。

後段で述べる通り、2022年10月期(2021年11月1日~2022年10月31日)の連結業績が「事業の筋肉質化」により増収増益となったことに加え、2023年10月期(2022年11月1日~2023年10月31日)の連結業績予想についても大幅な増収増益となる見通しが示されるなど、好材料が相次いだ。

今回はパーク24の話題をお届けしよう。

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パーク24、「事業の筋肉質化」を推進

12月15日、パーク24は2022年10月期(2021年11月1日~2022年10月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比15.6%増の2,902億5,300万円、本業の利益を示す営業利益は206億7,200万円(前期は80億3,900万円の営業損失)、経常利益は169億7,000万円(前期は116億1,900万円の経常損失)、純利益は24億7,600万円(前期は116億5,800万円の純損失)となった。

セグメント別では、「駐車場事業国内」の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は前期比5.6%増の1,588億5,700万円、営業利益は同60.2%増の342億2,200万円となった。

「駐車場事業国内」は、会計年度の初めは新規感染者数が継続的に減少したことにより交通量も感染症流行前の水準に近づき、駐車場の稼働は順調に推移した。その後、2022年1月中旬の新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、全国的に重点措置の適用がなされたことから、交通量が減少し駐車場の稼働が低下する場面もみられたが、3月に重点措置が解除されて以降は回復傾向となった。さらに、7月上旬から再度感染症が拡大したことで、軽微ではあるものの駐車場の稼働は鈍化したが、9月以降は再び回復基調を示した。

こうした中、パーク24は引き続き不採算駐車場の縮小に向けた取り組みに加えて、新型コロナウイルス禍でも収益化が可能な駐車場を厳選して開発する「事業の筋肉質化」を推進した。また、今後の収益性向上に向けた取り組みとして、アプリケーション等を用いた決済手段の多様化や、より簡単に入出庫が可能な次世代駐車場サービスの構築を進めた。

「事業の筋肉質化」の結果、国内におけるタイムズパーキングの運営件数は前期比2.7%減の1万7,399件、運営台数は同1.8%減の55万2,042台、月極駐車場および管理受託駐車場を含めた総運営件数は同1.2%減の2万5,246件、総運営台数は同1.7%減の73万2,868台となった。

海外各国の事情に合わせた「各国版タイムズパーキング」の開発を推進

一方、「駐車場事業海外」のセグメントは売上高(セグメント間の内部売上高を含む)が前期比50.6%増の579億8,300万円、営業損益は50億4,900万円の損失(前期は165億9,500万円の損失)となった。

主要国では、まず英国で2021年12月に在宅推奨等の行動規制があったものの、2022年2月のイングランド地方における規制撤廃以降、人流の回復に合わせ駐車場の稼働は回復傾向を示した。また、オーストラリアにおいては、ロックダウンや行動制限が段階的に緩和され、2月以降の駐車場の稼働は堅調に推移した。その後、7月に新規感染者数の増加を受けた在宅推奨等の行動規制があったものの、業績への影響は軽微にとどまった。その他の国については、一部地域で感染症の再拡大の影響がみられたものの、海外全体としては、堅調に推移した。

こうした中、パーク24は海外各国の事情に合わせた短期契約型駐車場「各国版タイムズパーキング」の開発を推進した。また、英国では、土地オーナーとの個別の話し合いを通じた解約や賃料改定によるコスト構造の見直しに加え、その他の国においても管理・メンテナンスの効率化等の駐車場運営コスト削減を推進し、「事業の筋肉質化」に取り組んだ。

パーク24、新型コロナの影響は次第に軽減される見通し

また、「モビリティ事業」のセグメントは、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)が前期比17.2%増の782億8,800万円、営業利益は47億7,200万円(前期は4,100万円の営業損失)となった。

同期のタイムズカー(カーシェアとレンタカーの融合サービス)は、会計年度の初めは新型コロナウイルスの新規感染者数が継続的に減少したことにより交通量も感染症流行前の水準に近づき、モビリティ車両の稼働も堅調に推移した。その後、2022年1月中旬の感染症再拡大に伴う全国的な重点措置適用の影響を強く受け、稼働は低水準で推移したものの、3月に重点措置が解除されて以降は回復傾向となった。7月上旬から再度感染症が拡大したことで、軽微ではあるものの主に法人の稼働に影響がみられたが、旺盛な個人需要に支えられ、全体としては順調に推移した。

こうした状況下、パーク24は予定より前倒しで車両売却を実施したほか、より柔軟に需要を取り込むための運用体制構築に取り組んだ。具体的には、モビリティサービス「タイムズカー」の可変モデル(1車室から複数台を貸し出すモデル)により、需要に応じた最適な車両提供を行う運用システムの構築を推進した。さらに、貸出場所であるステーションを743カ所開設し、ネットワーク強化を進めるとともに、タイムズカー公式アプリの機能追加により予約から鍵の解施錠、決済までを会員カードを取り出すことなく利用できるようにする等、利便性の向上に努めた。また、利用促進による車両1台当たりの収益力の最大化を図るため、法人営業の強化やサービスチケットの配布、各種キャンペーン施策に取り組んだ。

パーク24は2023年10月期(2022年11月1日~2023年10月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比11.3%増の3,230億円、本業の利益を示す営業利益で同30.6%増の270億円、経常利益で同35.5%増の230億円、純利益で同424.9%増の130億円となる見通しを示した。パーク24は、これまで新型コロナウイルス禍での収益化を最優先し、一貫して「事業の筋肉質化」を推進してきた。しかし、感染症の影響は次第に軽微になっているとの見立てから、2023年10月期は感染症の影響がさらに軽減されると予想している。こうした状況を鑑み、今期は上記の通り大幅な増収増益となる見通しが示された。

引き続き、パーク24の業績・株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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