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レアジョブの株価が9カ月で2.6倍に上昇した理由

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(画像= 歌菜 / 写真AC、La Caprese)

2023年3月16日、東京証券取引所でレアジョブの株価が一時1,305円まで買われ、昨年来の高値を更新した。2022年6月20日に付けた安値510円から9カ月で2.6倍に上昇した計算である。

レアジョブは、オンラインにて英会話サービス事業を展開する企業である。スカイプを利用したオンラインで、フィリピン人講師から英会話の授業を提供するサービス「レアジョブ英会話」が収益の柱となっている。2023年2月14日にレアジョブが公表した決算短信(2023年3月期第3四半期の連結業績)によると、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大初期においては、いわゆる「巣ごもり需要」により、英語学習ニーズが一時的に急増したという。その後、2020年後半以降は海外渡航・入国制限の長期化により英語学習に対する人々の優先順位が下がったと報告している。しかしながら、中長期的には、超少子高齢化による国内市場の縮小や生産人口の減少が予想される日本において、企業による海外市場への進出、外国人材の登用を積極的に行うことが国内企業にとって不可避となり、結果として、グローバルに活躍できる人材や、外国人材と協働できる人材が多く求められるようになると想定している。

こうした状況下、レアジョブの2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は減益となったものの、(1)通期予想(2023年3月期)が大幅に上方修正されたこと、(2)今週3月14日には、それまで無配としていた2023年3月期の年間配当を12円にすると発表したこと……が株価にも刺激材料となったようだ。

今回はレアジョブの業績を見てみよう。

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レアジョブ、2023年3月期・第3四半期は増収減益

レアジョブが公表した2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は、売上高が前年同期に比べて5.6%増加の43億6,400万円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)は同12.5%減の4億1,500万円、営業利益は同39.0減の1億7,600万円、経常利益は同10.7%減の2億2,900万円、純利益は同12.2%減の1億6,300万円と増収減益となった。

前述の通り、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大初期の「巣ごもり需要」により、英語学習ニーズが一時的に急増する場面も見られたが、2020年後半以降は海外渡航・入国制限の長期化により英語学習に対する人々の優先順位が低下したと見られている。しかしながら、中長期的には企業による海外市場への進出、外国人材の登用を積極的に行うことが不可避であり、結果として、グローバルに活躍できる人材や、外国人材と協働できる人材が多く求められるようになる、との見解をレアジョブは示している。

「世界中の人々が、それぞれの能力を活かし、活躍できる世の中を実現」するために

こうした状況下、同期のレアジョブは従来の英会話の場を提供する低価格のオンライン英会話サービスの提供だけでなく、「英語が話せるようになる」という成果を生み出す高付加価値な英語関連サービスを展開するため、継続したサービス拡大や品質向上に取り組んできた。

具体的には、外国語のコミュニケーション能力を表す指標・国際標準規格のCEFRに準拠した英語のスピーキング力を測定するサービス「PROGOS®」や、オンライン完結成果保証型英会話プログラム「レアジョブ英会話 スマートメソッド®コース」の提供を行った。加えて、文教領域の販路拡大を見据え、保育園の運営や英語教育プログラムの開発・提供を行うアイ・エス・シーを2023年1月1日に連結子会社(孫会社)化するなどM&A等を進めた。アイ・エス・シーの連結子会社化は、文教領域の販路拡大を通じて、「世界中の人々が、それぞれの能力を活かし、活躍できる世の中を実現」するとともに、グローバルリーダー育成研修サービスの展開や海外進出、幅広い学びの領域への拡大を目指すものである。

一方、同期の個人向けサービスについては、2021年12月より子会社化した資格スクエアの売上寄与により、売上高は前年同期比で増収となった。また、法人・教育機関向けサービスについても、研修サービスの売上が伸長し、売上高は増収となった。売上原価については、法人・教育機関向けサービスにおける研修サービスの仕入による費用が増加した。販売費および一般管理費についても、資格スクエアの子会社化の影響により、人件費、広告宣伝費が増加した。

その結果、上記の通り増収減益となった。

通期見通しを上方修正、利益還元として株主配当も実施

レアジョブは2月14日、2023 年3月期(2022 年4月1日~2023 年3月 31 日)の連結業績予想について、売上高で前期比21.5%増の68億円、EBITDAで同4.1%増の6億500万円、営業利益で同21.1%減の2億3,000万円、経常利益で同69.3%増の4億1,000万円、純利益で同67.6%増の3億1,000万円となる見通しを示した。これは従来予想(2022年5月16日公表)に比べて売上高でプラス13.3%、EBITDAでプラス56.7%、営業利益でプラス360.0%、経常利益でプラス412.5%、純利益は据え置きとなっている。

レアジョブは修正の理由について、アイ・エス・シーの連結子会社化に伴う、同社の2023年1月から3月までの業績見込み、および新規連結に伴い発生するのれんの償却費等を連結業績予想に反映することに加えて、主に既存事業における販管費の最適化などによる効率運営および持分法による投資利益の増加を挙げている。

さらに今週3月14日には、それまで無配としていた2023年3月期の年間配当を12円にすると発表したことも株価に刺激材料となったようだ。レアジョブは、上記の2023 年3月期の連結業績予想を上方修正したことで、利益還元としての株主配当を実施できる状況にあると判断した。

引き続き、レアジョブの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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