2023年5月17日、フジッコ(本社:兵庫県神戸市)は、黒大豆ポリフェノールによる「睡眠の質」の改善効果を確認したことを明らかにした。
2021年、フィリップスが実施した新型コロナウイルス禍における睡眠の質に関するグローバル調査によると、日本人の睡眠に対する満足度は調査対象国13カ国の中で最下位であった(※1)。また、2019年に厚生労働省が発表した調査報告では、日本人の約70%が睡眠の質になんらかの悩みを感じていることも明らかになっている(※2)。同調査では特に「日中眠気を感じた」「夜間睡眠途中に目が覚めて困った」といった悩みを持つ人の割合が高くなっていることが明らかになった(図1)。加えて、同調査によると、日本人の平均睡眠時間は年々短くなっているとも指摘されている。睡眠不足は仕事のパフォーマンス低下と相関すると言われており(※3)、睡眠関連の問題による日本の経済的損失は2016年時点で15兆円との試算もある(※4)。
(図1)睡眠の悩みがある人の割合とその内容
出典:厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査
睡眠の質の改善は社会的課題といっても過言ではない。それだけに、今回明らかになったフジッコの研究成果への期待は大きい。なお、本研究成果は2023年5月24日~25日に開催された『第76回 日本酸化ストレス学会学術集会』において発表された。
以下は、その研究成果の概要である。
黒大豆ポリフェノールによる「睡眠の質の改善効果」に関する研究
フジッコは、黒大豆種皮から抽出・精製した機能性素材である、黒大豆ポリフェノール「クロノケア®」を開発し、さまざまな機能性研究を行ってきた。「クロノケア®」は、ポリフェノールを58%以上(主成分は低分子プロシアニジン)含み、非常に高い抗酸化作用を有している。
たとえば、体内で酸化ストレスが蓄積すると自律神経機能が乱れて疲れなどの症状につながるが、「クロノケア®」には酸化ストレスを低減して自律神経機能を整えることが確認されている(※5)。この作用により「クロノケア®」は「一過性の疲労感」や「日中の一時的な眠気」を軽減する機能があることも確認されており、これらの機能については機能性表示食品の届出が受理されている。
さらに、自律神経機能は睡眠の質にも深く関与しており、良い睡眠には自律神経機能を整えることが重要とされている(※6)。そこで、本研究では「クロノケア®」の摂取が、睡眠の質に与える影響を検証した。
「クロノケア®」の摂取により、睡眠の質が改善することを確認
本研究は、被験者69名(20歳~65歳の男女)を、①「クロノケア®」高用量(300mg/日)を摂取する群、②低用量(100mg/日)を摂取する群、③「クロノケア®」を含まないプラセボを摂取する群……の3群に分けて実施した。各試験食を12週間摂取してもらい、OSA睡眠調査票にて睡眠の質を評価した。
結果は(図2)に示す通りで、「クロノケア®」を摂取することで、睡眠の質(起床時眠気、入眠と睡眠維持、疲労回復、睡眠時間)が改善されることが確認できた。特に「クロノケア®」高用量(1日に300mg)の摂取でより顕著な効果が示された。
(図2)「クロノケア®」を12週間摂取した際の睡眠の質の変化(摂取前からの変化量)
※OSA睡眠調査票による評価 出典:フジッコ
社会的な睡眠問題の解決に向けて
本研究では、「クロノケア®」は摂取期間および摂取量に従い、睡眠の質を改善することが示された。これらは、日本人が抱える睡眠の質の悩みに対応するものであり、「クロノケア®」の摂取による社会的な睡眠問題の解決が期待できる、との見解をフジッコは示した。
フジッコは、これまでの研究成果である「一過性の疲労感」や「日中の一時的な眠気」を軽減する機能性表示と併せて、「クロノケア®」を人々の健康と社会に役立てていく方針だ。フジッコのさらなる研究成果が期待されるところである。■
(La Caprese 編集部)