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ツルハホールディングス、M&A戦略を積極的に推進。株価は年初来高値、今期は売上高で1兆円超えへ

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(画像= La Caprese)

2023年6月26日、東京証券取引所でツルハホールディングスの株価が一時1万1,070円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年3月24日の安値8,340円から3カ月で32.7%の上昇である。

ツルハホールディングスは、ドラッグストアを運営する企業を傘下に置く持株会社である。その源流は、1929年に北海道旭川市にて創業した鶴羽薬師堂までさかのぼる。今年で創業94年の歴史を誇る同社は、M&A(合併・買収)に積極的な企業としても知られ、くすりの福太郎やウェルネス湖北、レデイ薬局、杏林堂、B&Dドラッグストア、ドラッグイレブンなどを傘下におさめてきた。

後段で述べる通り、ツルハホールディングスが6月23日に発表した①2023年5月期(2022年5月16日~2023年5月15日)の連結業績が増収増益となったことに加え、②2024年5月期(2023年5月16日~2024年5月15日)の連結業績予想についても増収増益の見通しが示されたこと、③2023年5月期の年間配当を233円から260円に増額し、2024年5月期についても前期比7円増額の267円とする方針を示したこと、④6月26日の決算説明会で、ツルハホールディングスの鶴羽順社長が、M&A戦略について「地域補完が理想だ。積極的な方針は変わらない」と述べた……ことなどが株価にも刺激材料となった。

今回はツルハホールディングスの話題をお届けしよう。

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ツルハホールディングス、2023年5月期は増収増益

6月23日、ツルハホールディングスは2023年5月期(2022年5月16日~2023年5月15日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比5.9%増の9,700億7,900万円、本業の利益を示す営業利益は同12.3%増の455億7,200万円、経常利益は同14.1%増の456億8,900万円、純利益は同18.1%増の252億5,800万円と増収増益となった。

同期の経済環境は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和を受けて景気に緩やかな持ち直しの動きがみられたものの、物価上昇に伴う先行きの不安感や実質賃金の低下などのマイナス面も見られた。ドラッグストア業界では、値ごろ感のある食品やプライベートブランド商品等の選好ムードの高まりに加え、インバウンド需要においても回復の兆しがみられる一方で、競合各社の出店継続などにより依然として厳しい経営環境が続いた。

このような状況下、ツルハホールディングスは新中期経営計画の達成に向け、①店舗戦略では出店精度の向上および改装の推進、②調剤戦略では併設店の拡大や薬局機能の強化、③プライベートブランド戦略では商品開発や売上構成比のアップ、④DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略では、顧客データの販促活用や自社決済サービス開発およびITシステム開発……を推進した。同時に、業績管理体制を整備し収益性改善および販売管理費の低減に取り組んだ。

店舗展開については、既存エリアのさらなるドミナント強化を図るとともに、競争力強化のため不採算店舗の改廃を進め、期首より140店舗の新規出店と1店舗の事業譲受、74店舗の閉店を実施した。この結果、同期末のグループ店舗数は直営店で2,589店舗となった。なお、タイ国内のグループ店舗については、2店舗の新規出店と1店舗の閉店を実施し、同国内における店舗数は2023年5月15日現在で18店舗となった。

その結果、2023年5月期は上記の通り、増収増益となった。

2024年5月期は売上高で1兆円超えへ。業界再編が加速するか?

6月23日、ツルハホールディングスは2024年5月期(2023年5月16日~2024年5月15日)の連結業績予想について、売上高で前期比6.5%増の1兆330億円、本業の利益を示す営業利益で同3.6%増の472億円、経常利益で同3.7%増の473億8,700万円、純利益で同2.5%増の258億9,800万円と増収増益となる見通しを示した。見立て通りとなれば、北海道企業として売上高で初めて1兆円を超えることとなる。

ツルハホールディングスは、同期の経済情勢について、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和に伴う経済活動の回復が期待される一方、世界的な金融引き締め等による海外景気の下振れリスクが日本経済に影響しかねないとの認識を示した。同時に、ドラッグストア業界では出店競争の激化、および業界の垣根を越えたM&Aや業務・資本提携などの業界再編への動きがより加速することを想定、厳しい経営環境が続くとの見解を示した。

こうした状況下、ツルハホールディングスは中期経営計画の達成に向け、①ドラッグストア業界最大の店舗網を背景としたID-POSデータを活用したマーケティング施策の推進、②ドラッグストア併設型を中心とした調剤薬局の積極的な新規開局の推進、③プライベートブランド商品の新規開発加速と販売促進に取り組む意向を示した。出店については、ドミナント展開による店舗網の拡充を図りつつ早期の収益化を主眼に置き、126店舗を出店する計画としている。

なお、冒頭で述べた通り、ツルハホールディングスは2023年5月期の年間配当を233円から260円に増額し、2024年5月期についても前期比7円増額の267円とする方針を示した。

引き続き、ツルハホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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