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肌のたるみ改善の新知見。「ダイナミックベルトTM」に沿ったストレッチの有効性を確認――資生堂、国際医療福祉大学、自治医科大学の共同研究

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(画像= coji_coji_ac / 写真AC、La Caprese)

2023年5月16日、資生堂(本社:東京都中央区)は国際医療福祉大学と自治医科大学との共同研究により、肌の「たるみ」を引き起こす重力に抵抗する、皮ふ内部の抗重力システム「ダイナミックベルトTM」に流れがあることを発見したことを明らかにした。また、その流れに沿って皮ふを伸展(ストレッチ)することで、立毛筋(※1)が活性化することを確認し、たるみ改善につながる可能性を見出した。さらに、本研究では立毛筋を構成する平滑筋細胞を活性化する成分として、甘草抽出物と木苺果実由来の抽出液が有用であることを確認した。

ちなみに、本研究はR&D戦略の3本柱の1つ「Skin Beauty INNOVATION」のもと、肌のシミ・くすみ、しわ、たるみ、毛穴など、長年に渡り消費者が悩む「不変の肌悩み」の原因を解明しソリューションを開発することを目的として進めたものである。本研究成果の一部は2020年10月開催の『第31回 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC) 横浜大会』で発表し最優秀賞を受賞しており、他の「抗重力サイエンスV」知見と合わせて4大会連続での最優秀賞受賞を実現している。

本研究の概要は以下の通りである。

用語解説

(※1) 立毛筋: 立毛筋は毛に付着する不随意筋(自分の意思で動かせない筋肉)で、寒冷や情動などの刺激により収縮して、毛を逆立たせる大きな力を発揮する筋肉である。研究チームは、この毛と皮ふの表層付近を繋ぐ筋肉が、変形時の皮ふの動きを制限することで、変形に抵抗することを明らかにしている。

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肌のたるみ改善の手掛かり「ダイナミックベルトTM」

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(図1) 出典:資生堂

上記(図1)に示す通り、立毛筋群(赤い構造)の配向により、顔の皮ふにはダイナミックベルトTMの流れが存在する(青矢印)(イメージ図。立毛筋のサイズや数、色などは実際と異なる。また、額部のダイナミックベルトTMの流れには個人差があり、ここでは典型例を記載している)。

肌の「たるみ」への取り組みと抗重力システム「ダイナミックベルトTM」に対するアプローチ

資生堂は、肌の「たるみ」の予防や改善を目的とし、そのメカニズムについて解明を進めてきた。そして、資生堂が独自に開発した4次元的な皮ふ解析技術「4D デジタルスキンTM」を活用し、皮ふのたるみを引き起こす重力に、皮ふが抵抗するシステムを発見した。これは皮ふ内部には高密度に立毛筋が存在し、物理的に皮ふの変形に抵抗する、という仕組みであり、研究チームではこれを「ダイナミックベルトTM」と呼ぶこととした。さらに、このダイナミックベルトTMが加齢により衰えることで、たるみに繋がることも判明した。

今回、研究チームはこの衰えたダイナミックベルトTMに対するアプローチの開発に取り組んだ。

新発見1:顔の皮ふには、重力に抵抗する「ダイナミックベルトTM」の流れが存在する

加齢で衰えたダイナミックベルトTM、すなわち立毛筋群にアプローチするためには、それが顔の皮ふでどのような状態にあるかを知ることが重要である。今回は、立毛筋の構造を立体的に解析した結果、立毛筋の向きは「うぶ毛」の向きとほぼ一致していることが判明し(図1)、うぶ毛の向きを観察することで、立毛筋の向きを確認することが可能となった。

顔面のうぶ毛の観察の結果、立毛筋の向き、すなわち立毛筋が生み出す物理的な力(ダイナミックベルトTM)には、(図2)のような流れがあることが判明した。この知見を活用し、衰えた立毛筋に対する効果的なアプローチの探索を進めた。

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(図2) 出典:資生堂

(図2)の左の画像は、皮ふを側方から見たCT像である。ピンク色の部分が立毛筋、グレーの棒状の構造がうぶ毛の毛包だ。これを下側、すなわち皮ふの内側から観察(矢印)したものが右の画像(CT像)である。右の画像の一番奥に見えるのが表皮の内側。点線で、立毛筋とうぶ毛の向きを表示している。その向きはほぼ一致している。

新発見2:ダイナミックベルトTMの流れに沿ったストレッチが、たるみ改善の鍵となる

上記を踏まえ、立毛筋を活性化することは、加齢で衰えたダイナミックベルトTMの回復につながると考えた。そこで、皮ふを培養してさまざまな刺激を加えたところ、立毛筋の向きに沿って皮ふを伸展(ストレッチ)することで、立毛筋が活性化することが判明した (図3)。このことから立毛筋、すなわちダイナミックベルトTMの流れに沿ったストレッチを行うことで、ダイナミックベルトTMと、たるみの改善に繋がる可能性が考えられる。

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(図3) 出典:資生堂

(図3)は皮ふの断面像である。点線に挟まれた部分 (右図では点線より上の部分)が立毛筋である。皮ふを立毛筋の向きに合わせて伸展(ストレッチ)することで、活性化した状態が誘導された(右図;矢印の増加)。青い点は細胞(核)である。

新発見3:立毛筋を活性化する成分

ちなみに、資生堂はこの成果を応用し、立毛筋を構成する平滑筋細胞を活性化する成分を探索し、甘草抽出物と木苺果実由来の抽出液に、その効果を見出した(図4)(特許出願中)。

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(図4) 出典:資生堂

消費者の期待を超える「ビューティー体験」を提供

資生堂は、実に四半世紀にわたって、たるみ研究のパイオニアとして業界をリードしてきた。今回、たるみの原因である重力に抗うシステムとして顔面に存在する立毛筋の流れに沿ったストレッチなどが、加齢とともに衰える立毛筋を活性化し、顔のたるみを改善する可能性があることを発見した。資生堂は、これらの知見を今後のスキンケア商品へと応用し、消費者の期待を超えるビューティー体験を提供する方針である。なお、本研究成果は、2023年7月31日からストックホルムにて開催される、欧州生物物理学会(European Biophysical Societies’ Association: EBSA)にて発表する。

資生堂のさらなる研究成果が期待されるところである。■

(La Caprese 編集部)

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