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コクヨの株価が年初来高値に上昇した理由

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※画像はイメージです。(画像= Canva、La Caprese)

2023年5月8日、東京証券取引所でコクヨの株価が一時2,014円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月12日の安値1,753円から14.9%の上昇である。

コクヨは、文房具やオフィス家具などの製造や仕入れ・販売のほか、空間デザイン・コンサルテーションなども手がける企業である。その源流は、1905年に和式帳簿の表紙の製造業として開業した「黒田表紙店」にまでさかのぼる。1914年に「黒田国光堂」と改称し、2017年には商標を「国誉(こくよ)」とした。「国誉」には、創業者の黒田善太郎氏が19歳のとき、家族や知人に見送られて郷里を後にしたときの「国の光、誉(ほまれ)になる」という初心を忘れないようにとの想いが込められている。その後、商標を漢字からカタカナ表記に変更、1961年には社名も「コクヨ」に変更した。創業から118年目を迎えるコクヨは、現在「長期ビジョンCCC2030」を掲げ、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業を目指している。

後段で述べる通り、コクヨが4月28日に発表した2023年12月期・第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)の連結業績では売上高、営業利益ともに増加したほか、大和証券がコクヨの目標株価を引き上げたことも株価に刺激材料となったようだ。

今回はコクヨの話題をお届けしよう。

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コクヨ、「長期ビジョンCCC2030」の実現に向けて

4月28日、コクヨは2023年12月期・第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比7.1%増の925億円、本業の利益を示す営業利益は同7.7%増の108億円、経常利益は同5.0%増の112億円となった。なお、純利益は前年に固定資産売却益および投資有価証券売却益を計上していた反動等により、前年同期比0.2%減の76億円となった。

コクヨは「長期ビジョンCCC2030」の実現に向けて、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」に再定義し、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業となることを目指している。

セグメント別の状況は以下の通りである。

ワークスタイル領域は増収増益

ワークスタイル領域は、売上高が前年同期比7.3%増の746億7,400万円、営業利益は同13.1%増の107億100万円と増収増益となった。

ワークスタイル領域では、新型コロナウイルス禍で定着した働く場の分散と働き方の多様化によるハイブリッドワークにおける新しいニーズに着目して、「ファニチャー事業」と「ビジネスサプライ流通事業」を展開している。それぞれの事業の状況は以下の通り。

ファニチャー事業

ファニチャー事業は、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要の獲得と、Kokuyo Hong Kong Limitedを活用した海外事業の成長により、業績全体を牽引することを目指している。日本では、首都圏での大規模オフィス供給量の増加により回復傾向にある新築移転需要と旺盛なオフィスリニューアル需要の獲得に向け、顧客の戦略課題に根差した働き方に向けたオフィスづくりの提案に注力した。また、中国・アセアンでは、Kokuyo Hong Kong Limitedを中心としたクロスセルや生産統合に取り組み、事業拡大を目指した。ただ、中国におけるゼロコロナ政策解除に伴う新型コロナウイルスの感染急拡大の影響も受けた。その結果、ファニチャー事業は売上高、営業利益ともに増加した。

ビジネスサプライ流通事業

ビジネスサプライ流通事業は、カウネットと卸の機能統合による事業効率化の推進に加えて、UI/UXの改善等の顧客体験価値向上に向けたシステム投資を行い、事業拡大を目指した。同期は、顧客のオフィス出社率の回復に伴う顧客の購買単価の上昇や価格改定の浸透等により、大企業向け購買が好調に推移した。その結果、ビジネスサプライ流通事業は売上高、営業利益ともに増加した。

ライフスタイル領域は増収減益

ライフスタイル領域は、売上高が前年同期比4.9%増の264億2,700万円、営業利益は同15.0%減の22億3,000万円と増収減益であった。

ライフスタイル領域では、学びや生活の道具におけるライフスタイルツールにおいて、より自分らしく生きることへのこだわりのニーズの高まりに着目して、「ステーショナリー事業」と「インテリアリテール事業」を展開している。それぞれの事業の状況は以下の通り。

ステーショナリー事業

ステーショナリー事業は、SNSなどを通じた自己表現ニーズの高まりにより付加価値文具市場が拡大する中で、本格的なグローバル展開を見据えた体制変革を実施し、グローバル成長を目指している。だが、日本においては、事業リソースの最適化等を通じて収益性の改善に取り組んでいるものの、需要の低迷や原材料価格高騰の影響を大きく受けることとなった。一方、中国では、ゼロコロナ政策解除後の新型コロナウイルス感染急拡大による景気低迷の影響を受けたものの、女子中高生をターゲットとした女子文具需要は引き続き好調だった。インドでは、原材料価格高騰の影響は続いているものの、営業活動の変革や商品力強化に取り組むことで、営業生産性が向上し、好調に推移した。その結果、ステーショナリー事業は増収減益となった。

インテリアリテール事業

インテリアリテール事業のアクタスは、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略に取り組んでいる。同期は、イエナカ需要が収まりつつあることに加え、販管費増を吸収できず大幅な減益となった。

大手証券は目標株価を引き上げ

4月28日、コクヨは2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比12.0%増の3,370億円、本業の利益を示す営業利益で同3.5%増の200億円、経常利益で同0.2%増の214億円、純利益で同15.1%減の156億円と従来予想(2023年2月13日に発表)を据え置いた。

ちなみに、冒頭で述べた通り、大和証券はコクヨの投資判断について「2(アウトパフォーム)」を継続するとともに、目標株価は2,000円から2,200円に引き上げている。大和証券は、コクヨのファニチャー事業の値上げ効果と新築向けを中心とした需要の堅調を評価している。

引き続き、コクヨの業績と株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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