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チヨダ、今期は黒字転換を予想。株価は年初来高値、既存店売上高は4カ月連続のプラス

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(画像= La Caprese)

2023年4月25日、東京証券取引所でチヨダの株価が一時842円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月4日の安値756円から3カ月半ほどで11.4%の上昇である。

チヨダは、靴を中心とした量販店を運営する企業である。その源流は、1936年に東京都杉並区にて開業した「チヨダ靴店」にまでさかのぼる。戦後の高度経済成長期の1962年には多店舗化(チェーンストア)を本格的に開始、1974年に店舗数で100店舗を達成する。そして、1977年に東京靴卸売センター(現在の「東京靴流通センター」の前身)で低価格販売分野へ進出、1990年には社名を現在の「チヨダ」に変更。1994年にはシュープラザ(SHOE・PLAZA)第1号店をオープンしている。2023年2月末時点で靴事業の店舗数は921店舗となっている。

後段で述べる通り、チヨダが4月14日に発表した2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績では営業赤字、経常赤字、最終赤字がそれぞれ縮小したほか、2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想で黒字に転換する見通しが示されたこと、さらに2023年3月の既存店売上高が4カ月連続のプラスとなったこと等が刺激材料となった。

今回はチヨダの話題をお届けしよう。

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チヨダ、2023年2月期は赤字幅が縮小

4月14日、チヨダは2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比3.9%増の921億1,900万円、営業赤字は22億3,400万円(前期は43億8,700万円の営業赤字)、経常赤字は19億4,200万円(前期は38億2,200万円の経常赤字)、最終赤字は26億200万円(前期は39億8,000万円の最終赤字)となった。

同期は新型コロナウイルス禍の行動制限緩和で、景気回復の兆しが見られる一方で、原材料やエネルギー価格の高騰、円安の進行、ウクライナ情勢の長期化、物価上昇による消費マインドの低下懸念など不透明な情勢が続いた。そうした中、チヨダは新たな機能性商品の提供や、販売促進活動の強化により売上の回復を図るとともに、不採算店舗の閉店、人事効率の改善など経費の削減にも取り組んできた。その結果、同期は赤字ではあったものの、上記の通り、営業赤字で前期に比べて21億5,300万円、経常赤字で同18億8,000万円、最終赤字で同13億7,800万円それぞれ縮小した。

セグメント別の状況は以下の通りである。

靴事業:ビジネスシューズやカジュアルシューズの売上が伸長

靴事業のセグメントは、売上高が前期比4.5%増の736億7,600万円、営業赤字は15億1,600万円(前期は33億1,700万円の営業赤字)となった。同期は11店舗を出店し、不採算店を中心に44店舗を閉店、その結果、2023年2月末時点の店舗数は921店舗(前期比33店舗減)となった。

同期の靴事業は、靴専門店としてのサービス向上と商品提案力の強化をテーマとして、重点商品の販売強化や在庫鮮度の改善に取り組んだ。同時に、環境変化に対応すべく、デジタルマーケティングやEC事業の拡大を推進した。

商品面では行動制限の緩和に伴う経済活動の再開により、仕事や旅行、イベントなどで使用されるビジネスシューズ、カジュアルシューズの売上が伸長した。特に、主力プライベートブランド「セダークレスト」の立ったまま手を使わずに履ける「スパットシューズ」や、透湿防水機能を搭載した「ユーティリティスニーカー」、靴の甲革部分にストレッチ素材を使用した幅広な「ストレッチビジネスシューズ」など、消費者の利便性を考慮した機能性商品を多く揃えた。

また、プライベートブランド「ハイドロテック」からは、ペットボトルのリサイクル素材を部分的に使用した「アクティブライト ウォーキングシューズ」を販売するなど、環境に配慮した商品の品揃えも拡充した。

販売促進では、2022年3月の自社ECサイトの大幅リニューアルに伴う大規模なWeb広告に加えて、9月からは自社ECサイトで購入した商品の店舗受け取りも開始、12月からは自社アプリによるデジタル会員証・自社ポイントサービスを開始するなど、デジタル事業改革を推進した。同時に、ポイント還元キャンペーンや、利用可能なキャッシュレス決済の種類を拡大するなど、新たな需要の喚起や利便性の向上に努めた。その一方で、従来型の紙媒体によるチラシ広告は引き続き抑制し、広告宣伝の費用対効果の改善にも取り組んだ。

衣料品事業:消費者ニーズの変化に対応するライフスタイルの提案

衣料品事業のセグメントは、売上高が前期比1.6%増の184億4,300万円、営業赤字は7億2,600万円(前期は10億7,800万円の営業赤字)となった。同期は、20店舗を出店する一方で、25店舗を閉店した。その結果、2023年2月末時点の店舗数は320店舗(前期比5店舗減)となった。

同期の衣料品事業は、「暮らしに役立つ商品と企業活動を通じて地域社会に貢献します。」という企業理念のもと、消費者の生活やニーズの変化に対応するライフスタイルの提案を行った。商品面では、プライベートブランド「NAVY」を中心に着心地や機能性など、消費者の要望にそった商品を投入した。具体的には、高機能アウターや、抗菌防臭、静電気抑制、ストレッチなどの機能性を兼ね備えたニット、あったか素材を使用した「温℃」シリーズなど、消費者の利便性を考慮したお役立ちアイテムを主力商品として販売した。

また、営業面では社内向けデジタルツールを活用した動画配信を店舗向けに行うことで、商品知識、コンセプトなどを店舗スタッフと共有し、接客応対力の向上や、プライベートブランドを中心とした重点販売商品の提案力向上に努めた。同時に、デジタルツールのアンケート機能を利用して、商品開発部門と店舗との双方向コミュニケーションを行うことにより、「暮らしに役立つ」情報の共有に努めた。

チヨダ、2024年2月期は黒字転換を予想

4月14日、チヨダは2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、売上高で前期比2.6%増の945億円、営業利益で7億円、経常利益で9億8,000万円、最終利益は3億8,000万円と黒字転換となる見通しを示した。

チヨダは、靴専門店としてのサービス向上と商品提案力の強化をテーマとして、引き続き機能性商品の発売強化や在庫鮮度の改善に取り組むとともに、自社アプリによるデジタル会員証・自社ポイントサービスを一段と強化することで、消費者の利便性向上に取り組む方針である。また、実店舗以外の販売チャネル拡大を見据え、EC事業や法人事業にも注力し、新たなビジネス基盤の構築に取り組む。同時に、衣料品事業においては、消費者の声を積極的に商品企画に取り入れ、暮らしに役立つ快適な機能や着心地にこだわった商品の品揃えを拡充するとともに、商品企画からプロモーション、店舗での販売方法までの連携をさらに強化することで、売上と利益の向上を目指す方針である。

ちなみに、チヨダが4月13日に発表した2023年3月の既存店売上高は、前年同月比で12.8%増と4カ月連続のプラスとなった。同じく客数は2.7%増、客単価は9.8%増だった。商品カテゴリー別では、プライベートブランド「セダークレスト」の立ったまま手を使わずに履ける「スパットシューズ」の売上が、テレビCMやデジタルマーケティングなどの効果により計画を大きく上回った。

引き続き、チヨダの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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