VRエクササイズにはどんな効果が期待できるのか?――新潟医療福祉大学の研究成果

VRエクササイズウェルビーイング
(画像= Canva、La Caprese)

10分間のVR(仮想現実環境)下で行う運動が快感情を誘発することを確認。――2022年9月29日、新潟医療福祉大学(新潟県新潟市)からそのような研究成果が公表された。

新潟医療福祉大学は、国内でも数少ない保健や医療、福祉、スポーツの6学部13学科を有し、20種類以上におよぶ専門職を養成する教育カリキュラムを配置する総合大学である。「運動機能医科学研究所」に加えて、トップアスリートおよび指導者を育成する「強化指定クラブ」、アスリートサポート研究を推進する「アスリートサポート研究センター」などを設置し、リハビリテーション科学およびスポーツ科学を基盤とした、特色ある教育・研究・地域貢献活動に取り組んでいる。

新潟医療福祉大学は本研究について、VRエクササイズによって得られる快感情が運動好意度を促すことで、身体活動を促進し運動習慣化につながることが期待されるなど、新たな運動方略としてVR活用の有用性を示唆しているとの見解を示している。

なお、本研究成果は、2022年9月29日付の国際誌「JMIR Serious Games」にて公開された。

スポンサーリンク

新たな運動方略としてVR活用の有用性を示唆

本研究成果のポイント

(1) VRエクササイズが気分と認知機能をともに向上させることが明らかになれば、VRエクササイズに新たな運動プログラムとしての価値を見出すことができ、運動習慣化に寄与できる。
(2) 本研究から、10分間のVR運動は、活気 (元気な気分) を高めることが明らかとなり、身体活動促進に有用な運動好意度 (運動に対する前向きな気分) を高める可能性が示された。
(3) VRコンテンツによっては、運動時に注意を向けるタスクが多くなることで、運動による認知機能向上効果が減弱する可能性があり、今後さらなるVRエクササイズに対する検証によりVRエクササイズの有用性提案が期待される。

「活気-活力」「覚醒度」「活性度」といった快気分指標の増加を引き起こすことを確認

習慣的な身体活動には、生活習慣病予防や肥満の防止だけでなく、注意や集中、選択判断能力といった「前頭前野の司る高次認知機能 (実行機能)」 を向上させるなど、健康に対するさまざまな効果が知られている。しかしながら、運動を習慣化するのは思ったほど簡単なことではない。この解決策としてVR(仮想現実環境)を利用したエクササイズゲームが注目されており、「退屈」「疲れる」といった運動のネガティブなイメージから注意をそらし、「楽しい」といった運動好意度を高めるなど心理的な効果が示されている。

これまでにも、適度な運動は「実行機能(前頭前野の司る高次認知機能)」にも好影響を与える (Yanagisawaら、2010; Byunら、2014; Suwabeら。2018)との研究成果も報告されている。しかしながら、VRエクササイズが認知機能に与える影響は不明なままであった。

そこで、本研究では10分間の(1)ヘッドマウントディスプレイを用いて行うVR運動条件(2)平面画面の前で行う運動条件(3)椅子に座る安静条件の3条件が、認知機能に与える影響を検証した。運動前後に気分指標と、実行機能指標であるカラーワードストループ課題を用い、反応時間と正答率から評価した。

その結果、VR運動条件では運動条件、安静条件と比べて、運動後に「活気-活力」「覚醒度」「活性度」といった快気分指標の増加を引き起こすことを確認した。一方、カラーワードストループ課題成績には差は認められず、「覚醒度」の変化と反応時間の変化との間に正の相関関係が見られたことから、VR運動後の覚醒度の過剰な増加が認知機能向上効果減弱を招く可能性が示された。

VRエクササイズが快気分を誘発。運動の習慣化促進に貢献する可能性も

本研究成果により、VRエクササイズは快気分を誘発することが明らかとなった。新潟医療福祉大学は本研究成果について、運動に対する好意度を高める新たな運動プログラムとして、運動の習慣化促進に貢献する可能性を示唆しているとの見解を示している。

一方で、VRエクササイズが「実行機能(前頭前野の司る高次認知機能)」の向上効果を有するかは明らかにできなかったが、今後、VRコンテンツと運動の最適な組み合わせの検証を進めることでVRエクササイズのさらなる価値を示すとともに、効果的に身体活動を促進する新たな運動・スポーツプログラム (VRエクササイズプログラム) の提案が注目されるところでもある。

新潟医療福祉大学のさらなる研究成果に期待したい。■

(La Caprese 編集部)

特集:アンチエイジング最前線
アンチエイジング
タイトルとURLをコピーしました