2023年2月8日、東京証券取引所でゴールドウインの株価が一時1万620円まで買われ、昨年来高値を更新した。2022年3月8日の安値5,610円から11カ月で89.3%の上昇である。
ゴールドウインは、スポーツ用品やスポーツウェア等の製造・販売を行う企業で、自社ブランドの「Goldwin」のほか、ライセンスとして「ヘリーハンセン」や「THE NORTH FACE」「エレッセ」「カンタベリー・オブ・ニュージーランド」など有力スポーツブランドの商品を製造・販売している。社名は古代オリンピックの勝者を「ゴールド・ウイナー」と呼ぶことに由来し、1963年に翌年開催予定の東京オリンピックでの日本選手の勝利を祈って名付けられた。
後段で述べる通り、(1)今週2月7日発表の2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績が大幅な増収増益となったことに加え、(2)通期(2023年3月期)の業績見通しを上方修正したことが株価にも追い風となった。
今回はゴールドウインの業績をみてみよう。
ゴールドウイン、コロナ禍の行動規制緩和や訪日外国人の増加が追い風に
今週2月7日、ゴールドウインは2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期に比べて17.6%増加の867億4,600万円、本業の利益を示す営業利益は同29.1%増の182億8,100万円、経常利益は同41.9%増の219億2,400万円、純利益は同50.8%増の162億6,800万円と大幅な増収増益となった。
同期は新型コロナウイルス禍の行動規制の緩和や訪日外国人の増加等による市場環境の回復を追い風として、営業利益が第3四半期累計として過去最高を更新することとなった。
まず、発売から30周年を迎えたTHE NORTH FACEの「ヌプシジャケット」のプロモーション等によって、ダウンジャケットやフリース類が好調に推移したほか、2022年10月11日からの水際対策の緩和による訪日外国人が増加するタイミングで、オリジナルブランドのGoldwinで、環境に配慮した新プロジェクト「Goldwin 0 (ゴールドウイン ゼロ)」として初めてのコレクションを発表したことも、新規顧客層の開拓に寄与した。
また、2022年11月からはマラソン大会等のスポーツイベントの再開に加えて外出規制の緩和も進んだことから、THE NORTH FACEを中心に売上が前期を上回る推移となった。さらに12月を迎えてからは、全国的に大型寒波が到来する中、中綿入りブーツ等の防寒具商品の売上も好調だった。ちなみに、中綿入りブーツ等の防寒具商品については、前年(2021年)にベトナムのロックダウンの影響で納期遅延が発生したものの、2022年は安定的な供給体制を維持でき、売上伸長に大きく寄与することとなった。
その結果、前述の通り営業利益は第3四半期累計として過去最高を更新した。同期は、原材料高や円安の影響に伴い、一部商品の販売価格の見直しを進めたものの、値上げに伴う買い控え等の影響は認められず、むしろ想定を上回る販売数量を確保できたことも営業利益に追い風となった。
「THE NORTH FACE」「Goldwin」の販売が好調。通期見通しを上方修正
ゴールドウインは2023 年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比15.5%増加の1,135億円、本業の利益を示す営業利益で同23.0%増の203億円、経常利益で同29.2%増の262億円、純利益で同39.4%増の200億円となる見通しを示した。これは従来予想(2022年5月13日公表)に比べて売上高でプラス7.1%、営業利益でプラス19.4%、経常利益でプラス22.4%、純利益でプラス25.0%の大幅な上方修正である。
ゴールドウインは上方修正の理由について、新型コロナウイルス禍の行動規制の緩和や訪日外国人の増加等による市場環境の回復を追い風として、THE NORTH FACE や Goldwin 等における高価格帯商品の販売が好調に推移しており、連結・個別ともに売上高や利益のすべてにおいて前回予想を上回る見込みであることを挙げている。
引き続き、ゴールドウインの業績や株価動向を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)