山崎製パン、株価は年初来高値。営業利益は34.4%増、食品事業が好調、7月1日出荷分からの値上げも刺激材料

山崎製パン,株価,上昇,理由資産形成
(画像= La Caprese)

2023年4月28日、東京証券取引所で山崎製パンの株価が一時1,872円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月12日の安値1,471円から3カ月半で27.3%の上昇である。

山崎製パンは、日本国内最大の製パン企業である。パンのほかにも、洋菓子や和菓子、ジャムなど幅広い製品を製造・販売する一方で、ベーカリーの経営やコンビニエンスストア事業も展開している。傘下には不二家や東ハト、ヴィ・ド・フランス、ヤマザキビスケットなど多数のグループ企業を擁し、海外の事業展開にも積極的だ。

後段で述べる通り、山崎製パンが4月27日に発表した①2023年12月期・第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)の連結業績が増収増益となったことに加え、②2023年7月1日出荷分から一部の食パンと菓子パンを値上げすると発表したことも株価に追い風となった。

今回は山崎製パンの話題をお届けしよう。

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山崎製パン、営業利益は34.4%増

4月27日、山崎製パンは2023年12月期・第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比6.6%増の2,768億3,900万円、本業の利益を示す営業利益は同34.4%増の93億3,500万円、経常利益は同26.3%増の96億6,900万円、純利益は同39.9%増の54億8,300万円と増収増益となった。

同期は、山崎製パン単体の菓子パンなどが好調に推移したほか、東ハトや不二家など一部の連結子会社の業績も増収増益に寄与した。主力セグメントの食品事業および流通事業の状況は以下の通りである。

食品事業、食パンや菓子パンが好調

食品事業のセグメントは、売上高が前年同期比6.6%増の2,581億7,200万円、営業利益は同29.4%増の92億5,100万円となった。

食パン部門では、主力の「ロイヤルブレッド」が好調に推移した。「モーニングスター」や「スイートブレッド」などの低価格帯食パンが大きく伸長するとともに、サンドイッチ用食パンの回復もあり、前年同期の売上を上回った。一方、菓子パン部門は、主力のコッペパンやヤマザキ菓子パンシリーズが伸長した。複数個入りの「ベイクワン」シリーズが堅調に推移するとともに、今年1月に規格の見直しをはかった薄皮シリーズも好調だった。このほか、生クリーム入りの生地とフィリングを使用した新製品「生ドーナツ」シリーズも好調だった。

和菓子部門は、主力の串団子や大福が伸長するとともに、値頃感のある複数個入りの饅頭やホットケーキも堅調に推移した。また、洋菓子部門では主力の「2個入り生ケーキ」や「プレミアムスイーツ」シリーズが好調だったほか、コンビニエンスストアチェーン対応製品も伸長した。

調理パン・米飯類部門は、おにぎりが伸長するとともに、サンドイッチや調理麺も好調に推移した。製菓・米菓・その他商品類部門では、連結子会社の東ハトの「ポテコ」が伸長するとともに、不二家の「ホームパイ チョコだらけ」も好調に推移して業績に寄与した。

流通事業は競争力のある商品開発を推進

流通事業のセグメントは、売上高が前年同期比5.9%増の153億9,700万円、営業損失は7億5,000万円(前年同期は9億8,000万円の営業損失)となった。

同期の流通事業では、デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業が戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して、「ランチパック 大盛り」シリーズやデイリーホット商品など、ヤマザキの技術を最大限に活用した競争力のある商品開発を推進した。また、松戸・杉並ドミナントプロジェクトによりデイリーホットの収益改善に取り組むとともに、既存店舗の改装を行い、ヤマザキらしいお店づくりと個店毎の売上・収益の向上にも取り組んだ。

7月1日出荷分から一部の食パンと菓子パンを値上げ

4月27日、山崎製パンは2023年12月期(2023年 1月 1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比2.9%増の1兆1,080億円、本業の利益を示す営業利益で同22.5%増の270億円、経常利益で同18.6%増の310億円、純利益で同21.3 %増の150億円と従来予想(2023年2月14日公表)を据え置いた。

あわせて、山崎製パンは2023年7月1日出荷分から一部の食パンと菓子パンを値上げすると発表した。値上げの対象となるのは食パンや菓子パンの計227商品で、「ロイヤルブレッド」など食パン76商品を平均7.6%、「高級つぶあん」などの菓子パン151商品を平均6.8%引き上げる。2023年4月から輸入小麦の政府売渡価格が引き上げられたことを受け、パン製品の主要原料である小麦粉の値上げが実施されるほか、油脂類や砂糖、卵、乳製品、包装資材などの原材料価格も高騰、さらに電気やガスなどのエネルギーコストや物流費も上昇している。山崎製パンとしては、これらのコストアップは企業努力による吸収の範囲を超えた大変厳しいものであることから、一部パン製品の価格改定を決断した。

引き続き、山崎製パンの業績と株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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