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壽屋の株価は上場来高値圏 『呪術廻戦』五条悟のフィギアの売上も好調

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(画像= まるう / 写真AC、La Caprese)

壽屋(ことぶきや)をご存じだろうか? 東京都立川市に本社を置く、フィギュアやプラモデルを製造・販売する企業だ。同社は1995年にアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のエヴァンゲリオン初号機や綾波レイを立体化し、フィギュアブームの火付け役となったことでも知られている。

また、2010年にはワーナー・ブラザース最優秀ハードライセンス賞を受賞。同賞では世界60カ国以上の中で、トヨタやユニクロと並び5部門中3部門を日本企業が獲得する快挙となった。そして、2017年9月には東京証券取引所のスタンダード市場への上場を果たしている。

壽屋は日本経済新聞社が売上高100億円以下の中堅上場企業「NEXT1000」を対象に、2021年度に売上高を大きく伸ばす企業のランキングで4位にランクインしたこともある(2022年3月21日公表)。注目されるのは、その壽屋 <7809> の株価が2022年10月27日に一時9,120円まで買われ、上場来の高値を更新したことだ。今年3月8日につけた年初来安値の3,795円から7カ月半ほどで2.4倍に上昇した計算である。

今回は壽屋の業績をみてみよう。

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2022年6月期は大幅な増収増益、『呪術廻戦』五条悟のフィギアの売上も好調

今年8月12日、壽屋が発表した2022年6月期(2021年7月1日~2022年6月30日)決算は、売上高が前年同期に比べて49.8%増の142億9,200万円、本業の利益を示す営業利益は同136.7%増の23億3,700万円、経常利益は135.8%増の23億3,200万円、純利益は138.4%増の16億2,100万円と大幅な増収増益となった。

2022年6月期は新型コロナウイルス禍に加えて、ロシア・ウクライナ情勢に起因する経済活動への影響など、極めて不透明な情勢となった。その一方で、有料動画配信市場の成長やモバイル端末の普及、通信インフラの発達によるスマートフォンゲーム市場の多様化・拡大、さらには人気コンテンツの映画化やアニメ化を背景に、業界自体の収益機会の拡大が期待される側面もみられた。このような環境下、壽屋は世界各国の顧客ニーズにあわせた魅力ある新製品開発とともに、自社IP(キャラクターなどの知的財産)による製品開発に注力してきた。

まず、卸売販売は、国内市場で新規自社IP製品の『アルカナディア』より「ルミティア」を発売したほか、同じく自社IP製品の『メガミデバイス』より「皇巫(オウブ)スサノヲ」「朱羅 九尾 火舞羅」を発売、さらに自社IP製品の『創彩少女庭園』より「結城 まどか[桃桜高校・夏服]」「小鳥遊 暦[令法高等学校・夏服]」を発売し、プラモデルの売上に貢献した。また、プラモデル関連製品の『モデリング・サポート・グッズ』等も堅調な推移をみせ、業績を牽引した。

一方、他社IP製品ではアニメ『呪術廻戦』より「五条悟」を発売したほか、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』より「オシリスの天空竜」「ラーの翼神竜」「オベリスクの巨神兵」の三幻神を発売し、フィギュアの売上に貢献した。

壽屋、海外市場の売上高も好調に推移

海外市場では、北米地域は新型コロナウイルス禍の影響による物流の混乱等により一部製品の出荷遅延が生じたものの、フィギュア製品、プラモデル製品ともに売上は堅調に推移した。

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また、アジア地域は新型コロナウイルス禍にありながらも販売活動への影響は限定的となり、プロモーション活動や、販売チャネル拡大を推進することができた。その結果、フィギュア製品の売上が好調に推移したほか、『メガミデバイス』シリーズを中心に自社IPのプラモデル製品も好調だった。

11月14日、壽屋の2023年6月期・第1四半期決算に注目

ちなみに、壽屋は2023年6月期(2022年7月1日~2023年6月30日)の業績について、売上高で前期比11.9%増の160億円、本業の利益を示す営業利益で同23.0%減の18億円、経常利益で24.5%減の17億6,000万円、純利益で24.6%減の12億2,200万円との見通しを示している。

上記の通り、増収減益の見通しであるが、壽屋はその理由について、(1)中国委託工場の人件費・原材料費等の製造コストが増加傾向にあること、(2)為替相場が円安に推移することによる中国委託工場からの仕入コストの増加、(3)将来の成長を目的とした人的投資の充実、(4)壽屋および壽屋製品のさらなる認知向上を目的としたリアルイベントの拡大……を挙げている。

ただし、上記見通しは今年8月12日に示されたものである点に留意する必要がある。中国ではゼロコロナ政策が続いているうえ、為替市場の不透明感も依然として消えていない。しかし、一方で日本では10月11日から海外からの入国者数上限の撤廃、外国人の個人旅行とビザなし渡航の解禁に加えて、国内旅行が割引になる「全国旅行支援」がスタートするなどの好材料もみられる。

壽屋は11月14日に2023年6月期・第1四半期(2022年7月1日~9月30日)決算の発表を予定している。ここでどのような業績が示されるのか、また2023年6月期(通期)の見通しについて修正があるのか注目されるところである。■

(La Caprese 編集部)

特集:オタク関連株
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