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エッセイ:声の老化は改善できるのか?

声の老化,改善
※画像はイメージです。(画像= TicTac / 写真AC、La Caprese)

筆者が通うスポーツジムに「姉さん」と呼ばれる女性がいる。彼女は、いつも黙々とハードな筋トレをこなしている。彼女は「フィットネスビキニ」と呼ばれる、女性らしい健康的な美しさを競い合うコンテストの優勝を目指すアスリートでもある。筋トレ歴は10年を超えており、筆者も時々アドバイスしてもらうこともある。バランスのとれたプロポーションで、背中一杯に溢れるほど広がる艶やかなライトブラウンの髪を持ち、美肌、そしてシャープな顔立ちの美人である。初めて会ったときは30代かと思ったほどだ。とても還暦を過ぎているとは思えない。

そんな、アンチエイジングのお手本のような彼女にも一点だけ、大きな課題があった。それは「声」だ。

まるで老人のような、しゃがれた声なのである。「筋トレで肉体はどんどん若返っているのに、声だけが若返らない」彼女は笑いながらそう言ったが、結構気にされている様子だった。「フィットネスビキニ」では発声することはないので、競技として不利になることはない。しかし、「声以外」が完璧なだけに、やはりもったいないと思う。

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「今日から『のどトレ』を始めたの!」

そんなある日、スポーツジムのストレッチエリアで、彼女は変わったトレーニングをしていた。縁日などで見かけることのある笛のおもちゃ(吹き戻し、巻き取り、ぴろぴろ笛などと呼ばれる)のようなものを吹いていたのだ。

「今日から『のどトレ』を始めたの!」彼女はそう言って、筆者に一冊の本をみせてくれた。医学博士で耳鼻咽頭科頭頚部外科専門医の西山耕一郎氏が監修する『のど筋トレーニングBOOK』(宝島社)という本だった。

その本には、のどの筋肉の役割やトレーニング方法が書かれていた。それによると、のどの筋力は早ければ50代から衰え、老化が始まるという。たとえば、「誤嚥(ごえん)」「声がかすれる」「呼吸が浅い」などの症状は、のどの老化の始まり(のどフレイル)のサインかもしれない……と指摘している。彼女が吹いていた笛のおもちゃ(吹き戻し)のようなものは、その本の付録についていたのどの筋肉を鍛える道具だった。もう一つ、あごに挟んでのどの筋肉を鍛えるボールも付いていた。

人生100年時代。筆者が通うスポーツジムには、アンチエイジングに本気で取り組んでいる人がたくさんいる。30代、40代と思っていた人が、実は60代、70代と聞いて、心底驚かされることも珍しくない。

ただ、彼女のように見た目はヴィーナスのような完璧な美しさなのに、「声」がしゃがれた老人のような感じだったりするケースも見られる。あるいは、身体は若々しいのに顔だけが老人とか。逆に顔だけは若いのに、身体は老人みたいにヨボヨボな人もいる。どうしてそのような違いになるのか、筆者にはさっぱり分からない。アンチエイジングは、まだまだ謎の部分が多く、手探りのようなところがあるように思う。

「20代のような若々しい声を取り戻すからね!」彼女はそう言って微笑んだ。
彼女の「のど筋トレーニング」の成果を楽しみに待ちたい。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

特集:アンチエイジング最前線
アンチエイジング
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