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壱番屋、2024年2月期の営業利益は19.0%増を予想。既存店売上高が好調、株価は年初来高値

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(画像= La Caprese)

2023年4月7日、東京証券取引所で壱番屋の株価が一時5,270円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月10日の安値4,545円から3カ月ほどで16.0%の上昇である。

壱番屋は日本および海外で飲食店チェーンを運営する企業である。その源流は1974年に愛知県名古屋市で開業した喫茶店「バッカス」にまでさかのぼる。当時、お店でだしていたカレーライスが人気で「カレーならココ一番や!」と評判を呼んだという。そして、1978年には「カレーハウスCoCo壱番屋」を創業、名古屋市郊外に1号店をオープンした。喫茶店「バッカス」の開業から49年――現在では「カレーハウスCoCo壱番屋」や「あんかけスパゲッティ パスタ・デ・ココ」などの専門店を日本国内で1,253店舗、海外で207店舗展開している(2023年3月末現在)。

後段で述べる通り、壱番屋は4月5日発表の①2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績で売上高、営業利益が伸長したことに加え、②2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、増収増益となる見通しが示されたこと、③2023年3月の既存店売上高が11カ月連続のプラスを記録したこと、④2万株(1億3,000万円)を上限とした自社株買いを明らかにしたことが株価に追い風となった。

今回は壱番屋の話題をお届けしよう。

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壱番屋、2023年2月期の営業利益は26.5%増

4月5日、壱番屋は2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比7.3%増の482億8,600万円、本業の利益を示す営業利益は同26.5%増の36億1,300万円となった。一方、経常利益は営業外収益として計上した時短協力金等の補助金収入が大幅に減少したこと等から、前期比3.0%減の40億4,200万円、純利益は前期に特別利益として計上した投資有価証券売却益が当期は発生しなかったこと等から同13.1%減の25億3,800万円となった。

同期の主な分野の状況は以下の通りである。

国内店舗関連の売上が伸長

同期の国内店舗関連は、直営店とフランチャイズ加盟店(以下、FC店)の売上高の合計で、全店ベースで前期比5.6%増の787億6,400万円となった。また、既存店ベースも前期比6.6%増(客数:同2.8%増、客単価:同3.7%増)と伸長した。同期はベースとなるカレーソースと一部トッピング等の値上げを実施したが、客数は値上げ後も大幅に落ち込むことなく推移、客単価も伸長したことで、既存店売上高は前期実績を上回った。

CoCo壱番屋では、引き続き配達代行の導入を推進するとともに、オリジナルスプーンが当たる創業祭キャンペーンや、アイドルグループとのコラボキャンペーン等を実施した。また、QSC(クオリティ、サービス、クレンリネス)向上の一環として、全国での接客・調理コンテストを開催した。コンテストの様子や入賞者の競技動画を全国の店舗で共有し、商品クオリティおよび接客レベルの向上に取り組んだ。

また、同期は6月と12月に値上げを実施する一方で、ライス量の選択肢の追加やハーフサイズのトッピング(ちょいトピ)のラインナップを増やす等、より多くのメニューから消費者が楽しく選択できるよう注文方法を見直した。同時に、店舗のデジタル化の取り組みとして、消費者個人のスマートフォンから事前に注文と決済を行うことで、店舗での待ち時間を軽減する「モバイルオーダー」や、レジ前でスムーズに支払いができる「キャッシュレス決済」の利用頻度向上に取り組んだほか、客席からタッチパネルを使って注文できる「セルフオーダー」を利用できる店舗の増加にも取り組んだ。

海外店舗関連の売上は26.4%増と大幅に増加

海外店舗関連は、中国がロックダウンの影響が大きく前期水準を下回ったものの、米国は順調に回復して新型コロナウイルス前の水準を上回った。国ごとに状況は異なるものの、概ね堅調に推移し、店舗の売上高は全店ベースで前期比26.4%増の135億2,600万円と大幅な増収となった。

外販事業は96種類の商品を販売

外販事業では、手軽においしく栄養管理ができる「低糖質の冷凍カレー弁当」や、ユニバーサルデザインフードとして食べやすさに配慮した“歯ぐきでつぶせる”「やわらか野菜カレー」といった新たな商品ジャンルの開発にも取り組み、43種類の新商品を含む96種類の商品を販売した。

2024年2月期は増収増益を予想、既存店売上高の好調続く

4月5日、壱番屋は今後の見通しについて、経済活動は新型コロナウイルス禍を経て回復傾向にあるものの、物価上昇による消費マインドの停滞に加えて、原材料費や人件費等のさまざまなコスト上昇など、今後も厳しい状況が続くとの見解を示している。そのうえで、壱番屋の持続的な企業価値向上を見据え、恒久的な課題であるQSCのさらなる向上や人材育成等に加え、国内外の消費者ニーズにも柔軟に対応し、新しいことへのチャレンジと現状の変革に取り組む方針で、2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の国内の既存店売上高を前期比6.0%増に想定している。

上記を踏まえ、壱番屋は2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、売上高で前期比9.8%増の530億円、本業の利益を示す営業利益で同19.0%増の43億円、経常利益で同12.3%増の45億4,000万円、純利益で同13.4%増の28億8,000万円と増収増益の見通しを示した。

ちなみに、壱番屋が公表した月次情報によると、2023年3月の既存店売上高は前年同期比15.2%増で、11カ月連続のプラスとなった。客単価は2022年12月に行った2回目の値上げの影響もあって、前年比11.6%増と2ケタの伸びを示したほか、客数も前年比で3.3%増となった。

なお、冒頭でも述べた通り、壱番屋は同日に2万株(1億3,000万円)を上限とした自己株取得枠を設定すると発表した。取得期間は2023年4月6日~同6月29日で、上限株数を取得した場合の自己株式を除いた発行済株式総数に対する割合は0.06%となる。

引き続き、壱番屋の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:外食産業「復活」への期待
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