妊娠前から「むし歯予防・歯周病予防」をせずに後悔をした人は約4割――2023年3月1日、サンスターグループ(本社:大阪府高槻市)が全国の女性1,309名を対象に実施した『女性の健康と口腔に関する調査』でそのような状況が明らかになった。
『女性の健康と口腔に関する調査』は、女性のホルモンの影響で歯周病やむし歯になるリスクが高まる妊娠期・妊娠前後のオーラルケア行動について調査したものである。上記の通り、本調査から妊娠期・妊娠前で約4割の人が「むし歯治療・歯周病予防」を実施しなかったことを後悔していることが明らかになった。
サンスターグループは本調査の結果について、「母子の健康を維持するためにも、妊娠前から日々のオーラルケアでのプラーク(歯垢)コントロールに加え、定期的な歯科健診の受診、必要に応じてむし歯、歯周病の早期治療などの口腔ケアを行い、口腔内の健康を維持することが大切です」と指摘している。
サンスターグループ『女性の健康と口腔に関する調査』
約7割が、妊娠前から「むし歯予防・歯周病予防」をしたほうが良いことを知っていた
妊娠中・出産経験のある人で妊娠前から「むし歯予防・歯周病予防」をしたほうが良いことを知っていた人は約7割(66%)だった。これに対して、出産経験のない人で、知っていた人は5割(51%)にとどまり、妊娠・出産をきっかけに、事前の歯科健診受診等の予防の重要性の大切さを知る人が多くいることが分かった。(図1)
ちなみに、「妊娠前に歯科健診など、むし歯治療・歯周病予防をしましたか?」という質問に対しては、約5割が「いいえ」と回答しており、半数近くが予防をしていなかったことが判明した。
妊娠期・妊娠前後のオーラルケアの重要性に関する認知率がまだ低い
一方、「妊娠により歯肉炎(歯周病)になりやすい」ことを知らない人は約6割(63%)と、リスクの認知率は低い結果となった。(図2)
ちなみに、約4割の人が妊娠前からむし歯治療・歯周病予防などをしなかったことを「とても後悔している」または「後悔している」と回答した。また、妊娠によって口腔状態の変化を感じている・感じていた人に絞ると、55%と半数以上の人が後悔していることが判明した。妊娠期にむし歯や歯周病で苦労した人が多いことがうかがえる。
妊娠中「歯みがきをするのがつらかった」と回答した人も
「妊娠中でつわりに関して困ったことを教えてください」という質問に対しては、「食事がとれなかった/食事をとりすぎてしまった」「常に眠かった/睡眠が浅くなった」に次いで「歯みがきをするのがつらかった」と回答した人が多い結果となった。(図3)
また、妊娠中の歯科健診や歯科医への通院は5割が「通院しなかった(できなかった)」と回答している(図4)。その理由として、「歯科医院に行くのが大変」や「つわりで治療を受けるのがつらい」「妊娠後期はおなかが大きくて治療台に乗れない」など、妊娠中のオーラルケアにおいて様々な課題が浮き彫りとなった。
妊娠中・出産後に「むし歯になりやすくなった」
妊娠中・出産後に約4割(43%)が口腔状態に変化を感じていることが明らかになった。特に「むし歯になりやすくなった」との回答が多く寄せられたほか、「歯がもろくなる」「ハグキの出血がしやすくなった」「口臭が気になる」といった声も聞かれた。(図5、6)
サンスターグループによると、つわりなどで口腔ケアが不十分になると、むし歯や口臭などの悩みが増えるうえ、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が増加することで、歯周病の原因菌が繁殖しやすくなるという。妊娠前からの日常的なむし歯予防・歯周病予防に加えて、歯科健診を受けることや、つわりがつらい時でもできるオーラルケアをすることが大切といえそうだ。
7割が「20代までには歯周病ケアを始めるべき」と回答
妊娠中・出産経験のある女性のうち、「20代までには歯周病ケアを始めるべき」と回答した人は7割(70%)に達した。(図7)
上記の通り、出産・妊娠をすることで口腔状態の変化を感じ、早期からのオーラルケア意識や重要性、歯を健康に保ちたいという意識が高まる傾向があることが分かった。妊娠前から、かかりつけの歯科健診を受診することや、日々のオーラルケアによるプラークコントロールを通じて「むし歯予防・歯周病予防」をすることの大切さが示される調査結果となった。■