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日清食品ホールディングス、最終利益で2期連続の過去最高益へ。株価は上場来高値、期末配当予想も増額修正

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(画像= La Caprese)

2023年11月10日、東京証券取引所で日清食品ホールディングスの株価が一時1万4,795円まで買われ、上場来の高値を更新した。今年1月30日の安値9,910円から9カ月余りで49.3%の上昇である。

日清食品ホールディングスは、インスタントラーメンやチルド食品、菓子・シリアル食品、乳製品・清涼飲料などの製造・販売を手がける企業グループの持株会社である。主要子会社には日清食品、明星食品、湖池屋、日清シスコ、日清ヨークなどがある。また、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を筆頭に、「カップヌードル」「日清焼そばU.F.O.」「出前一丁」など多数のロングセラー商品を開発したことでも知られる。海外事業も積極的に展開しており、タイやインドネシア、インド、オランダ、米国、ブラジル等に現地工場を有している。

後段で述べる通り、日清食品ホールディングスが11月9日に公表した、❶2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日〜2023年9月30日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正し、最終利益で2期連続の過去最高益を更新する見通しが示されたこと、❸さらに、今期の期末配当予想を従来予想の160円から200円に40円増額修正したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回は日清食品ホールディングスの話題をお届けしよう。

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日清食品ホールディングス、最終利益は84.2%増

11月9日、日清食品ホールディングスは2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日〜2023年9月30日)の連結業績を公表した。同期の売上収益は前年同期比10.5%増の3,503億7,000万円、既存事業コア営業利益(※1)は同68.1%増の476億900万円、営業利益は同66.1%増の449億300万円、最終利益は同84.2%増の320億1,000万円と増収増益となった。

なお、為替変動による影響を除いた売上収益は前年同期比8.1%増の3,424億8,100万円、既存事業コア営業利益は同63.4%増の462億7,400万円となった。(※2)

用語解説

(※1) 既存事業コア営業利益:営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」を控除した指標。中長期成長戦略上2022年3月期以降積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用している。
(※2) 2024年3月期の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較。

国内非即席めん事業が好調、米州地域を中心に損益改善も進む

主要セグメントの概況は以下の通りである。

日清食品

日清食品の売上収益は前年同期比5.8%増の1,078億300万円、コア営業利益(※3)は同1.7%増の153億4,400万円、営業利益は同2.3%増の153億9,200万円となった。

同期はカップめん類や袋めん類、カップライス類が堅調に推移した。価格改定効果もあり、各カテゴリーとも前年同期比で増収となった。カップめん類では2023年8月に発売した「カップヌードル 担担」や、2023年9月発売の「特上 カップヌードル」シリーズをはじめ、消費者ニーズを捉えた商品が順調に推移した。袋めん類では、発売65周年商品である「チキンラーメン」をはじめとするロングセラー商品等が売上を伸ばし、増収に寄与した。カップライス類は「日清カレーメシ」シリーズが引き続き好調を維持した。利益面では、原材料価格の上昇等によるコストアップ要因があったものの、増収効果により増益となった。

明星食品

明星食品の売上収益は前年同期比5.6%増の203億5,200万円、コア営業利益(※3)は同15.8%減の11億6,600万円、営業利益は同13.9%減の12億500万円となった。

同期はカップめん類、袋めん類とも前年同期比で増収となった。カップめん類では、2023年3月に新発売した「ロカボNOODLESおいしさプラス」が好調に推移したほか、2023年9月に新発売した「明星 贅沢一平ちゃん夜店の焼そば」も業績に寄与した。また、三枚看板ソースでさらに香ばしくなった「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」や「明星 チャルメラカップ」「明星 中華三昧」シリーズなど、主力ブランドも順調に推移し、増収に寄与した。袋めん類では「ホッとする味わい」の訴求を強化した「明星 チャルメラ」シリーズが売上を伸ばした。一方、利益面では価格改定による増益要因があったが、原材料価格上昇や広告宣伝費の増加等により減益となった。

低温・飲料事業

低温・飲料事業の売上収益は前年同期比12.5%増の467億7,300万円、コア営業利益(※3)は同期196.3%増の50億8,300万円、営業利益は同229.6%増の51億3,000万円と大幅な増益となった。

同期のチルド事業は猛暑の影響や積極的な販売施策により冷し中華群の売上が好調であったほか、焼そば群、パスタ群も伸長し、増収となった。パスタ群では新商品の「日清Spa王」が売上に大きく貢献した。利益面では原材料価格上昇等によるコストアップがあったものの価格改定が奏功し、増益となった。

冷凍事業はラーメン類やうどん類が堅調に推移した。価格改定効果もあり、前年同期比で増収となった。ラーメン類では「冷凍 日清中華」「冷凍 日清まぜ麺亭」シリーズが好調に推移した。利益面では原材料価格の上昇等によるコストアップ要因があったものの、増収効果により増益となった。

飲料事業は乳酸菌飲料「ピルクル400」シリーズが好調に推移したほか、2022年9月に発売した“睡眠の質を改善し、疲労感を軽減する”「ピルクル ミラクルケア」もプラスオンとなり、増収増益を記録した。

菓子事業

菓子事業の売上収益は前年同期比16.1%増の408億8,000万円、コア営業利益(※3)は同131.8%増の29億2,600万円、営業利益は同123.1%増の28億2,100万円となった。

日清シスコは発売60年を迎える「シスコーン」シリーズやプライベートブランドが堅調に推移し、前年同期比で増収増益となった。また、ぼんちでは主力商品の「ピーナツあげ」が堅調に推移したものの、全体では前年をわずかに下回り、また原材料高騰等の影響も受けたことで減収減益となった。湖池屋は「湖池屋ポテトチップス」シリーズや「スコーン」シリーズ等の主力商品を中心に販売が拡大したことに加え、価格改定も奏功し、増収増益となった。

米州地域

米州地域の売上収益は前年同期比16.2%増の767億900万円、コア営業利益(※3)は同206.3%増の132億48百万円、営業利益は同207.2%増の132億35百万円と大幅な増益となった。なお、為替変動による影響を除いた売上収益は前年同期比7.3%増の708億3,300万円、コア営業利益は同186.1%増の123億7,500万円となった(※4)。

同期は米国で昨年8月に実施した価格改定後も底堅い即席めん需要が続く中、普及価格帯商品の販売が堅調に推移したことに加え、継続的な高付加価値商品の販売強化に取り組んだことで増収となった。また、ブラジルでは一時的な生産設備の大型メンテナンスによる販売数量の減少があったものの、価格改定効果や昨年8月より販売を開始した「U.F.O.」の売上伸長も寄与し、増収となった。

利益面では、主要原材料等の各種コストの上昇が落ち着きつつあることや、価格改定による増収効果、為替の影響等によりセグメント全体で増益となった。

中国地域

中国地域の売上収益は前年同期比2.4%減の329億3,600万円、コア営業利益(※3)は同6.1%増の35億2,700万円、営業利益は同0.8%減の38億1,200万円となった。なお、為替変動による影響を除いた売上収益は前年同期比3.9%減の324億3,200万円、コア営業利益は同5.7%増の35億1,100万円となった(※4)。

同期は販売エリア拡大と中国版カップヌードル「合味道」のブランド強化に引き続き取り組んだ。中国大陸の景気は緩やかに回復しているものの、家計消費の先行き不透明感が続いている。また、香港は中国大陸からのインバウンド旅行客の増加により景気が徐々に回復している。こうした状況下、売上は2023年7~9月期の即席めんの販売数量で回復したものの、上期全体としては即席めんの販売数量が伸び悩み、前年同期比で減収となった。また、営業利益は上期の原材料費の低下や2023年7~9月期の即席めんの販売数量回復によって前年同期に計上した一過性の政府補助金による利益の反動減をほぼ吸収し、前年同期並みの水準となった。

用語解説

(※3) コア営業利益:営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除したもの。
(※4) 2024年3月期の外貨金額を前年同期の為替レートで円換算して比較。

最終利益で2期連続の過去最高益へ

11月9日、日清食品ホールディングスは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比7.6%増の7,200億円、既存事業コア営業利益で同32.9%の800億円、営業利益で同32.1%〜37.5%増の735億~765億円、最終利益で19.5%〜24.0%増の535億~555億円となる見通しを示した。これは従来予想(5月10日公表)に比べて、売上収益でプラス1.4%、既存事業コア営業利益でプラス25.0%、営業利益でプラス26.4%~27.8%、最終利益でプラス24.7%~25.9%の上方修正である。また、見立て通りとなれば最終利益で2期連続の過去最高を更新することとなる。

日清食品ホールディングスは上方修正の理由について、①国内事業において、国内非即席めん事業が好調に推移していることに加え、②海外事業において、米州地域を中心に価格改定等による損益改善が進んでいること……などを挙げている。なお、冒頭でも述べた通り、日清食品ホールディングスは今期の期末配当予想を従来予想の160円から200円に40円増額修正することも発表している。

引き続き、日清食品ホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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