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ブラジル産グリーンプロポリスが腸内細菌叢の乱れを改善しサルコペニア肥満を予防するメカニズムを解明――山田養蜂場、京都府立医科大学大学院、メタジェンの研究成果

サルコペニア肥満,予防
(画像= Christopher Campbell / Unsplash、La Caprese)

2022年9月29日、健康食品や化粧品のミツバチ産品を製造・販売している山田養蜂場(本社:岡山県苫田郡鏡野町)の自社研究所である「みつばち健康科学研究所」は、京都府立医科大学大学院およびメタジェン(本社:山形県鶴岡市)との共同研究により、『プロポリスが腸内細菌叢を改善し、サルコペニア肥満の発症を予防する』メカニズムを解明したと発表した。

サルコペニア肥満とは、「老化に伴い筋肉量が減って身体の脂肪の割合が増えている肥満(筋肉や骨に比べて内臓脂肪が多い状態)」のこと。サルコペニア肥満の人は、見た目は肥満体型ではない(BMIが正常)ので自分自身も周囲も気づかないことが多く、「隠れ肥満」とも呼ばれることもある。サルコぺニア(筋肉の量が減少していく老化現象)やサルコペニア肥満は、要介護や死亡のリスクを上昇させるとの報告もあるだけに、今回の研究報告は健康寿命の延伸などの道を切り開く成果として期待される。

なお、本研究成果は科学雑誌 『Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle』(2022 年 9月26日発行)に掲載された。今回は山田養蜂場、京都府立医科大学大学院、メタジェンの共同研究の成果を紹介したい。

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サルコペニアやサルコペニア肥満は要介護や死亡のリスクを上昇させる

筋肉量が減少する老化現象であるサルコぺニアに肥満が加わった「サルコペニア肥満」は生活習慣病と大きな関わりがあることが判明している。また、サルコペニアやサルコペニア肥満は要介護や死亡のリスクを上昇させるとの報告もある。加えて、サルコぺニアは糖尿病合併症の一つであるとも考えられている。実際、2型糖尿病に伴う合併症は、患者の生活の質を低下させ、医療経済にも大きな負担をかけている。

サルコペニア肥満の解決は健康増進における重要な課題の一つである。

ところで、生活習慣病と腸内細菌叢は密接に関連し、生活習慣病を有する患者は腸内細菌叢のバランスが乱れていることが最近の研究で明らかになっている。この現象は「ディスバイオーシス」と呼ばれ、腸内細菌叢の変化がさまざまな疾患に影響を与えることからも、新たな治療のターゲットとして注目されている。

一方、「プロポリス」はミツバチが植物の新芽や樹脂から作り出す物質で脂質異常や肥満、インスリン抵抗性に関する作用などが知られている。そこで、本研究では「サルコペニア肥満を引き起こした糖尿病モデルマウス(以下、糖尿病モデルマウス)」にブラジル産グリーンプロポリスを投与し、サルコペニア肥満や糖尿病の病態、腸内細菌叢に与える影響を評価した。

握力および骨格筋量の増加、内臓脂肪重量の減少を確認

まず、ブラジル産グリーンプロポリスを投与したマウスは糖尿病による耐糖能障害の改善に加え、肝臓の繊維化や脂肪の蓄積に改善がみられた。また、握力および骨格筋量の増加が認められ、内臓脂肪重量が減少した。このことから、プロポリスは糖尿病モデルマウスのサルコペニアと肥満を改善することが判明した。

一方、骨格筋の萎縮や炎症に関わる遺伝子の発現についてもブラジル産グリーンプロポリスの投与による低下が認められた。同時に、筋肉の合成に関わる骨格筋中のアミノ酸濃度も上昇した。

また、筋萎縮を引き起こした細胞にブラジル産グリーンプロポリスを添加した結果、ミトコンドリアの機能不全による筋萎縮を抑制していることが示された。さらに、この働きにはアルテピリンCとケンフェライドが関与していることが判明した。

飽和脂肪酸の吸収を阻害し、排出を促進

他方、ブラジル産グリーンプロポリスの投与により、血糖調節や慢性炎症の抑制に加え、腸管バリア機能の維持に関わる短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)濃度の上昇も確認された。また、ディスバイオーシスの指標となるProteobacteria門の割合が減少し、ヒトで肥満抑制の報告があるRuminococcaceae科のButyricicoccus属およびAcetivibrio属の腸内の割合の増加が認められた。

加えて、体内の飽和脂肪酸濃度はブラジル産グリーンプロポリスの投与により減少したのに対し、直腸便中の飽和脂肪酸濃度はブラジル産グリーンプロポリスの投与による増加が確認された。このことから、ブラジル産グリーンプロポリスが体内への飽和脂肪酸の吸収を阻害し、排出を促進していることが明らかになった。

さらに、ブラジル産グリーンプロポリスを投与した糖尿病モデルマウスの糞便を、腸内を無菌化した糖尿病モデルマウスへ移植したところ、プロポリスを投与したときと同様のサルコペニア肥満改善効果が認められた。

サルコペニアの発症予防は重要な社会的課題

超高齢社会において、サルコペニアの発症予防は重要な課題の一つである。それだけに、今回紹介した山田養蜂場、京都府立医科大学大学院、メタジェンの共同研究報告は健康寿命の延伸などの道を切り開く成果として期待される。

山田養蜂場、並びにみつばち健康科学研究所の今後のさらなる研究への取り組みに注目しておきたい。■

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