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アサヒグループホールディングス、株価は年初来高値。長期戦略を支える経営基盤の強化に注力

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(画像= にゃじま / 写真AC、La Caprese)

2024年5月16日、東京証券取引所でアサヒグループホールディングスの株価が一時5,900円まで買われ、年初来高値を更新した。3月5日の安値5,061円から2カ月余りで16.6%の上昇である。

アサヒグループホールディングスは、ビールを中心とした酒類や飲料、食品等を展開する企業群を傘下に置く持株会社である。グローバル戦略に積極的な企業であり、売上収益の約5割を海外事業(欧州、オセアニア、東南アジア等)で占めている。そんな同社は、コーポレートステートメント「Make the world shine “おいしさと楽しさ”で、世界に輝きを」のもと、商品やサービスを通じて、人と人・自然・コミュニティ・社会とのつながりを生み出し、そのつながりで世界の今と明日を明るく輝かせることを使命に掲げている。

後段で述べる通り、アサヒグループホールディングスが今週5月14日に公表した2024年12月期・第1四半期(2024年1月1日~2024年3月31日)の連結業績で増収増益を示すなど、好調な業績が株価のサポート要因となっているようだ。

今回はアサヒグループホールディングスの話題をお届けしよう。

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アサヒグループホールディングス、長期戦略を支える経営基盤の強化に注力

5月14日、アサヒグループホールディングスは2024年12月期・第1四半期(2024年1月1日~2024年3月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上収益が前年同期比10.8%増の6,166億1,400万円、事業利益は同12.2%増の362億9,300万円、営業利益は同1.7%増の325億5,800万円、最終利益は同19.3%増の238億3,000万円と増収増益となった。

同期は、米国において雇用者数の増加や個人消費の拡大を背景に景気は堅調に推移したほか、欧州においてはインフレ圧力の緩和とともに、景気の持ち直しが見られた。日本においても、物価高騰の影響を受けつつも雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の増加により、景気は緩やかな回復の兆しが見られた。こうした中、アサヒグループホールディングスは各地域におけるプレミアム戦略の推進等による事業ポートフォリオの強靭化に取り組んだ。同時に、サステナビリティと経営の統合をはじめとしたコア戦略の一層の推進に加え、真のグローバル化に向けた人的資本の高度化やグループガバナンスの強化により、長期戦略を支える経営基盤の強化に注力した。

なお、主要セグメントの概況は以下の通りである。

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日本

日本の売上収益はビールの売上が増加した酒類事業を中心に各事業が増収となり前年同期比3.3%増の2,827億500万円となった。一方、事業利益は原材料関連費用の増加などの影響はあったものの、増収効果や各種コストの効率化などにより、同10.3%増の195億7,700万円と伸長した。

同期は酒類・飲料・食品事業の主力ブランドに経営資源を投下するとともに、新たな価値提案の強化などにより、成長基盤の拡大に取り組んだ。また、各事業の枠を超えたシナジー創出に加えて、人的資本や組織機能の高度化、サステナビリティへの取り組み推進などにより、日本全体の経営基盤を強化した。

酒類事業では、ビール類において『アサヒスーパードライ』『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』の広告・販売促進活動を強化し、「スーパードライ」ブランドの価値向上に取り組んだ。また、『アサヒ生ビール』の世界観を体験できる「出張マルエフ横丁」の展開や、『アサヒ食彩』を全業態で全国発売するなど、ビールカテゴリーのさらなる強化を図った。さらに、『アサヒスタイルフリー<生>』をリニューアルし、新たな飲用機会の創出に注力した。

アルコールテイスト飲料においては「アサヒスタイルバランス」をリニューアルし、健康機能を訴求したラインアップに刷新するなど、お酒を飲む人と飲まない人が共に楽しめる生活文化の創造を目指し、「スマートドリンキング」の推進に取り組んだ。

飲料事業では「三ツ矢」ブランドの生誕140周年を記念した『三ツ矢PREMIUM SWEET』に加えて、リターナブル瓶で展開していた『ウィルキンソン ドライジンジャエール』を飲用機会拡大を目指しPETボトルで発売するなど、市場の活性化を図った。また、「食事の糖の吸収を抑える」「食後の血中中性脂肪値が高めになる方の食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」という機能を有する食物繊維「イソマルトデキストリン」を配合した機能性表示食品『アサヒ ぎゅっと濃い十六茶』を発売し、健康志向を踏まえた価値提案の強化に取り組んだ。

食品事業ではエチケットケアニーズの高まりに対応した『ミンティア クリアプラス ペパーミント』などを発売し、ユーザー層の拡大を図った。また、月経に関する機能性を訴求したフェムケア(女性の体や健康をケアする)商品『わたしプロローグ』を発売するなど、女性の健康課題解決への貢献にも注力した。

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欧州

欧州の売上収益は各国のプレミアムビールやグローバルブランドの強化などにより、前年同期比22.2%増の1,446億2,400万円となった。一方、事業利益は人件費などが増加したものの、増収効果や各種コストの効率化を推進したことにより、同20.2%増の54億1,200万円となった。

欧州においては各国のプレミアム戦略に基づく競争優位性の向上に加えて、『Asahi Super Dry』『PeroniNastro Azzurro』を軸とした世界的なパートナーシップの活用などにより、グローバルブランドの認知度向上を図った。また、「環境」や「コミュニティ」を中心としたサステナビリティへの取り組みを強化することなどにより、成長基盤をさらに拡大した。

欧州の主要地域では、チェコにおいて『Pilsner Urquell』『Radegast』などの主力ブランドにおけるプロモーションの強化に加え、新たな消費者の開拓に向けて苦みとアルコール度数を抑えたラガービール『Proud』を発売した。また、イタリアでの『Peroni』におけるサッカーイタリア代表チームとのオフィシャルパートナーシップ契約の締結やプレミアムラガービール『Raffo』の発売、ルーマニアでの『Ursus』『PeroniNastro Azzurro』の積極的な拡販など、ブランド価値の向上にも取り組んだ。さらに、ノンアルコールビールにおいて、チェコの『Birell』やポーランドの『Lech Free』『Tyskie 0.0%』、ルーマニアの『Ursus Cooler』などを積極的に展開し、新たな飲用機会の創出に向けた取り組みを強化した。

グローバルブランドの拡大展開では『Asahi Super Dry』において、「City Football Group」とのパートナーシップを活かしたマーケティング活動やノンアルコールビール『Asahi Super Dry 0.0%』の販売強化に取り組んだ。『Peroni Nastro Azzurro』においては、プレミアムな世界観を演出するためのプロモーションを展開したほか、ノンアルコールビール『Peroni Nastro Azzurro 0.0%』において、F1チーム「Scuderia Ferrari」との新たなパートナーシップを開始するなど、グローバルでのブランド認知度の向上に努めた。

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オセアニア

オセアニアの売上収益は主力ブランドの好調な販売などにより、前年同期比12.2%増の1,690億4,000万円となった。一方、事業利益は増収効果や為替変動の影響はあったものの、原材料関連の費用増加などの影響により、同2.6%減の218億7,000万円となった。

オセアニアでは『Great Northern』など主力ブランドを中心とした持続的な成長に加え、酒類と飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略により、商品ポートフォリオの強化を図った。また、各種オペレーションの最適化などによる収益構造改革やサステナビリティを重視した新価値提案などにより、事業基盤を一層強化した。

酒類事業では主力ブランドの『Victoria Bitter』において、高まる健康需要に応えるべく低糖質のビールを新たに発売した。また、『Peroni』『Somersby』ブランドにおいて全豪オープンテニストーナメントとのスポンサーシップを再契約したことに加え、RTD(購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなど)ブランド『Hard Rated』の発売や『Vodka Cruiser』から新たなフレーバーの商品を発売するなど、様々なニーズに対応した酒類事業全体のポートフォリオ拡充に取り組んだ。

飲料事業では『Pepsi』ブランドにおいて大規模なリニューアルを行い伝統的な価値観と最新のトレンドを融合させることで、主力ブランドの価値向上を図った。さらに豪州では農家から大麦を直接調達する取り組みを継続した。農業や製麦業に従事している人とイベントを開催するなどコミュニティ支援活動への参画を通じて、展開地域との「つながり」を強化した。

東南アジア

東南アジアの売上収益は主力ブランドの販売が好調に推移したことに加え、価格改定や為替変動の影響などにより、前年同期比16.3%増の156億4,700万円となった。一方、事業利益は固定費全般の効率化などを推進したことにより、同34.0%増の2億3,100万円となった。

東南アジアでは、自社ブランドを中心とした主力ブランドへの投資強化や販売チャネルの最適化を推進した。同時に、マレーシアなど展開国における収益性向上にも取り組んだ。また、健康需要の取り込みやDX(デジタルトランスフォーメーション)投資、人材育成などの強化を通じて、成長基盤の拡大に注力した。さらに、マレーシアでは『CALPIS』において、春節やハリラヤなど季節のイベントと関連付けたキャンペーンの実施等により、ブランド力を強化した。また、『WONDA』では公共交通機関において、映像だけではなく香りや音を再現して商品の魅力を訴求するなど、新たなマーケティング手法を展開した。

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今期は最終利益で1,905億円を予想

5月14日、アサヒグループホールディングスは2024年12月期・通期(2024年1月1日~2024年12月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比2.6%増の2兆8,400億円、事業利益は同2.8%増の2,710億円、営業利益は同11.4%増の2,730億円、最終利益は同16.1%増の1,905億円と従来予想(2024年2月13日公表)を据え置いた。

なお、アサヒグループホールディングスの2024年12月期の配当金は、1株当たり中間配当66円、期末配当66円で、年間配当予想は11円増配の132円の普通配当となる予定である。

引き続き、アサヒグループホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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