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ハウス食品グループ本社、今期は純利益で27.7%増を予想。株価は年初来高値、合理化・効率化等を推進

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(画像= La Caprese)

2023年5月16日、東京証券取引所でハウス食品グループ本社の株価が一時3,285円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月10日の安値2,634円から4カ月で24.7%の上昇である。

ハウス食品グループ本社は、食品会社や外食企業などを傘下に置く持株会社である。グループ傘下には、カレールーを中心とした香辛・調味加工食品事業を展開するハウス食品のほか、健康食品事業を展開するハウスウェルネスフーズ、「カレーハウス CoCo壱番屋」を運営する壱番屋、飲食店および食品メーカー向けの香辛料の製造・販売を手掛けるハウスギャバン、「マロニー」ブランドの製造元であるマロニーなど多数の事業会社を有している。ハウス食品グループ本社は、グループ全体の戦略立案や、事業会社(国内・海外)への経営サポートならびに国際事業統括を行っている。

後段で述べる通り、ハウス食品グループ本社が5月10日に発表した2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績は増収減益となったものの、2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想については大幅な増収増益となる見通しが示されており、株価にも刺激材料となったようだ。

今回はハウス食品グループ本社の話題をお届けしよう。

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ハウス食品グループ本社、2023年3月期は増収減益

5月10日、ハウス食品グループ本社は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比8.6%増の2,750億6,000万円、本業の利益を示す営業利益は同13.5%減の166億3,100万円、経常利益は同13.6%減の182億5,300万円、純利益は同1.8%減の137億300万円となった。

同期は、世界的な原材料価格やエネルギーコスト、人件費などの上昇に対して国内外のグループ各社が価格改定や効率化を進めた結果、健康食品事業、海外食品事業、外食事業が増収増益となった。しかし、その一方で香辛・調味加工食品事業は価格改定でもコスト増を吸収しきれず減益となった。香辛・調味加工食品事業の減益はグループ全体の業績に影響を及ぼし、上記の通り増収減益という結果となった。なお、同期は2022年9月30日付で米国キーストーンナチュラルホールディングスを子会社化しており、第4四半期連結会計期間より、同社の連結業績を海外食品事業セグメントに計上している。

主要セグメントの状況は以下の通りである。

香辛・調味加工食品事業、価格改定でもコスト増を吸収できず

香辛・調味加工食品事業のセグメントは、売上高が前期比2.0%増の1,198億200万円、営業利益は同37.3%減の79億1,500万円と大幅な減益となった。

香辛・調味加工食品事業は、グループ全体の収益を支えるコア事業としての役割を担っているが、同期は原材料価格やエネルギーコスト上昇の影響を大きく受けることとなった。2022年8月には主力のルウ製品をはじめとした一部製品の価格改定を行なったものの、大幅なコスト増を吸収することができず、減益となった。

健康食品事業は3年ぶりの営業黒字

健康食品事業のセグメントは、売上高が前期比14.5%増の165億2,000万円、営業利益は19億800万円で前期からは20億4,600万円改善した。

同期の健康食品事業は、国内の構造改革の推進とともにグローバルな機能性素材系バリューチェーンの構築に取り組んだ。「1日分のビタミン」を中心とするゼリー製品に注力したほか、新型コロナウイルス禍で苦戦していた「ウコンの力」が回復基調を示した。加えて、固定費削減などの構造改革の努力もあって、3年ぶりに営業黒字を確保した。

海外食品事業は増収増益

海外食品事業のセグメント(連結対象期間:主として2022年1月~12月)は、売上高が前期比25.0%増の488億7,500万円、営業利益は同2.3%増の53億6,800万円となった。

米国豆腐事業は、原材料価格や人件費が急騰するなか2022年1月、11月と2回の価格改定を実施し、コスト増の吸収に努めた。また2022年9月にはM&Aによりキーストーンナチュラルホールディングスをグループ化したが、M&Aに係るアドバイザリー費用やのれん償却の影響により、事業全体では増収減益となった。

中国カレー事業は、ゼロコロナ政策の影響を受け業務用事業が苦戦したものの、家庭用事業は家庭内調理の増加や価格改定も寄与して好調に推移し、事業全体では増収増益となった。

タイ機能性飲料事業は、トラディショナルトレードを中心に苦戦したが、為替の影響もあって増収増益となった。

外食事業は営業利益で51.0%増

外食事業のセグメントは、壱番屋が2022年3月~2023年2月、海外子会社は2022年1月~12月を連結対象期間としている。同期の外食事業の売上高は前期比6.5%増の483億7,100万円、営業利益は同51.0%増の22億6,800万円となった。

壱番屋の国内既存店売上高は、新型コロナウイルス禍の行動制限が緩和され外食産業の需要が復活するなか、原材料価格やエネルギーコストの急騰を2022年6月、12月の2回の価格改定で吸収した。その結果、新型コロナ前の水準には至らないものの増収増益を確保した。一方、海外事業は主に中国ロックダウンの影響で減益となった。

その他食品関連事業は増収減益

その他食品関連事業のセグメントは、売上高が前期比11.3%増の506億9,900万円、営業利益は同16.6%減の12億3,400万円となった。

デリカシェフは、デザートや焼成パン類が堅調に推移し前期並みの売上を確保したものの、原材料価格の高騰や製造経費の増加により営業利益を大きく落とした。一方、ヴォークス・トレーディングは、取引先への価格転嫁が進んだことに加え、外食需要の回復や輸出商材が好調に推移したこともあり、増収増益となった。

2024年3月期は純利益で27.7%増を予想

5月10日、ハウス食品グループ本社は2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比10.8%増の3,048億円、本業の利益を示す営業利益で同20.3%増の200億円、経常利益で同14.5%増の209億円、純利益は同27.7%増の175億円と大幅な増収増益となる見通しを示した。

ハウス食品グループ本社は2024年3月期の経営環境について、新型コロナウイルス禍の制限緩和で経済活動が回復に向かう一方、原材料価格・エネルギーコストのさらなる増加や、インフレの進行に伴う消費マインドの減速など依然として不透明な状況にあるとの認識を示した。そのうえで、引き続き合理化・効率化を進めるとともに、一部製品・サービスにおいて価格改定を実施するほか、変容する消費者ニーズへの対応など付加価値の向上を図る方針をあらためて示した。

引き続き、ハウス食品グループ本社の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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