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ソフトバンクグループ、3カ月で最終赤字が1兆円近く改善。株価は昨年来高値、「情報革命で人々を幸せに」を掲げる戦略的持株会社

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(画像= La Caprese)

2024年2月9日、東京証券取引所でソフトバンクグループの株価が一時8,477円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年3月16日の安値4,766円から11カ月足らずで77.9%の上昇である。

ソフトバンクグループは、1,280社の子会社、573社の関連会社、38社の共同支配企業(※1)を擁する戦略的持株会社である。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、❶持株会社投資事業、❷ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業、❸ソフトバンク事業、❹アーム事業、❺その他……の5つの事業セグメントを展開している。グループ企業の業績や投資事業の成績次第で、ソフトバンクグループの企業価値や株価も左右されやすいのが特徴といえるが、特にグループの中核的存在の英半導体設計大手アーム・ホールディングス(アーム事業)に象徴される、AI(人工知能)関連の事業および投資の行方は重要なファクターとして注目されている。

こうした状況下、①先週2月7日にアーム・ホールディングスが公表した2023年10〜12月期決算で過去最高の売上高となり、2024年1〜3月期についても強気の見通しが示されたこと、②2月8日にソフトバンクグループが公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績で投資事業の収益が改善し、最終赤字が大幅に縮小したこと……が株価上昇に弾みをつけることとなった。

今回はソフトバンクグループの話題をお届けしよう。

注釈

(※1)子会社数、関連会社数、共同支配企業数は2023年3月末現在。

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ソフトバンクグループ、3カ月で最終赤字が1兆円近く改善

2月8日、ソフトバンクグループは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比2.6%増の5兆19億円、税引前利益は2,641億円(前年同期比は2,900億円の赤字=5,541億円の改善)、最終損益は4,587億円の赤字(前年同期は9,125億円の赤字=4,538億円の改善)となった。

ちなみに、2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の最終損益は1兆4,087億円の赤字であった。つまり、2023年10月から12月までの3カ月間で最終赤字が1兆円近く改善したことになる。この3カ月間は先述のアーム・ホールディングスの業績が過去最高の売上高を示したほか、株式市場も堅調に推移したことで傘下の投資事業も好調だったこと等がソフトバンクグループの業績に寄与した。

ちなみに、下記はソフトバンクグループの最終損益(当期純利益)とソフトバンク・ビジョン・ファンド事業セグメント利益(税引前利益)を「3カ月毎」で示したものである。ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業セグメント利益は、外部投資家持分の増減考慮後で、アーム・ホールディングスの株式に係る投資損益を含んでいる。

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当期純利益およびソフトバンク・ビジョン・ファンド事業セグメント利益
出典:ソフトバンクグループ『2024年3月期・第3四半期決算 投資家向け説明会』資料

上記グラフが示す通り、2023年10〜12月の最終損益(当期純利益)は9,500億円の黒字に浮上しており、そのうち4,227億円をソフトバンク・ビジョン・ファンド事業が寄与している。

さらに、2020年4月に傘下の米スプリントがTモバイルUSと合併したことに伴う契約に基づき、昨年12月にTモバイルUSの株式を無償で取得、2,300億円余りの利益を計上している。

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ソフトバンクグループは「どんな未来」を見せてくれるのか?

一方、アーム・ホールディングスが2月7日に公表した2023年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比14%増の8億2,400万ドル(約1,200億円)と市場の事前予想7億6,200万ドルを上回り、過去最高を更新した。

アーム・ホールディングスは、スマートフォン向けの半導体設計で99%のシェアを占める企業で、AIやEV(電気自動車)の関連企業にも出資している。昨年9月14日には米ナスダック市場に上場を果たし、2023年で最大のテック企業のIPO(新規株式公開)として話題を呼んだ。2023年10〜12月期は、設計の新規契約の際に受け取るライセンス収入が前年同期比18.0%増の3億5,400万ドルと好調だった。AI向けが増加したほか、ロイヤルティー収入も主力のスマートフォン向けの回復で同11.0%増の4億7,000万ドルと伸長した。

アーム・ホールディングスは、2024年1〜3月期の売上高について8億5,000万〜9億ドル(約1,260億円〜1,330億円)になるとの見通しを示した。これは市場の事前予想(7億7,800万ドル)を上回る数字でポジティブ・サプライズとなり、ソフトバンクグループの株価上昇にも弾みをつけることとなった。

折しも、株式市場ではアフターコロナで業績がV字回復を示す日本企業が続出しているが、ソフトバンクグループのように3カ月で最終赤字が1兆円近く改善するのは驚きである。果たして、「情報革命で人々を幸せに」を経営理念に掲げるソフトバンクグループは、我々にどんな未来を見せてくれるのか? 株価とともに気になるところである。■

(La Caprese 編集部)

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