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愛三工業、純利益は68.1%増。株価は昨年来高値、トヨタ自動車の生産・販売拡大も追い風に

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(画像= tabinekobaron / 写真AC、La Caprese)

2024年2月2日、東京証券取引所で愛三工業の株価が一時1,457円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年1月16日の安値669円から約1年で117.8%の上昇である。

愛三工業は、愛知県大府市に本社を置く、トヨタ自動車系の自動車部品メーカーである。主に燃料ポンプなどエンジン向けの部品を取り扱っている企業で、2022年にはデンソーから燃料ポンプ事業を買収している。この買収により、燃料ポンプの世界シェアは4割に達し、世界トップになった。筆頭株主はトヨタ自動車で、2023年3月31日現在の持株比率は28.7%である。愛三工業の業績や株価はトヨタグループの影響を受けやすいのも大きな特徴といえる。

後段で述べる通り、❶トヨタ自動車が2年連続で年間生産台数の過去最高を更新する見通しが伝えられたことに加え、❷愛三工業が公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が大幅な増収増益となったこと……等が株価にも刺激材料となっている。

今回は愛三工業の話題をお届けしよう。

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トヨタ自動車の生産・販売拡大で、愛三工業の業績期待広がる

1月15日、株式市場に「トヨタ自動車が2024年の世界生産台数を約1,030万台とする計画を固めた」とのニュースが広がった。トヨタ・レクサスの両ブランドの年間生産計画(子会社のダイハツ工業、日野自動車は除く)で、内訳は国内が約340万台、海外が約690万台。同日までにトヨタ自動車が主要部品メーカーに通知したと日本経済新聞や読売新聞など複数のメディアが報じた。実現すれば、年間生産台数で2年連続の過去最高を更新する見通しである。

さらに1月30日には、トヨタ自動車の2023 年における世界販売台数が過去最高を更新し、4年連続で世界トップになったことも明らかにされた。

トヨタ自動車が発表した2023年の世界における自動車販売台数は、ダイハツ工業と日野自動車を含むグループ全体で前年比7.2%増の1,123万3,039台となった。新型コロナウイルス禍で深刻化していた半導体不足が解消しつつあることに加え、欧米諸国を中心に需要が堅調だったことから、過去最高を更新した。日本での生産台数は前年比26.9%増の337万752台で、トヨタ自動車が雇用や技術力を確保するために欠かせないとしている年間300万台規模を4年ぶりに上回った。これらの結果、世界全体の自動車販売台数が過去最高を更新するとともに、4年連続で世界トップになった。

このようなトヨタ自動車の生産・販売拡大は、愛三工業の業績期待へと広がっている。

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愛三工業、純利益は68.1%増

愛三工業の業績を見てみよう。先週2月1日に愛三工業が公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績は、売上高が前年同期比35.4%増の2,334億2,500万円、本業の利益を示す営業利益は同56.2%増の146億6,100万円、経常利益は同52.6%増の159億5,900万円、純利益は同68.1%増の115億600万円と大幅な増収増益となった。

同期は自動車業界全体の動きとして、新型コロナウイルス禍の半導体等の部品供給制約により生じた市場バックオーダーの解消に向け、自動車メーカー各社の稼働状況は好調に推移した。しかし、その一方で原燃料価格の高止まりや賃金上昇などによる物価上昇に加え、為替の円安進行、国際情勢の緊張など、依然として不透明な状況が継続した。

こうした中、セグメント別では、米州の営業利益が前年同期比3.6倍の36億4,700万円と急増したほか、欧州の営業利益も4億9,900万円(前年同期は3億6,600万円の営業損失)と黒字に転換した。また、アジアの営業利益も前年同期比58.8%増の83億6,100万円と好調に推移した。ただし、日本は諸経費の増加により、営業利益で前年同期比47.7%減の16億9,900万円と大幅な減益となった。

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為替の円安も追い風となるか?

2月1日、愛三工業は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比24.6%増の3,000億円、本業の利益を示す営業利益で同17.4%増の160億円、経常利益で同20.7%増の170億円、純利益で同35.2%増の115億円と従来予想(2023年10月30日公表)を据え置いた。

ちなみに、愛三工業は2024年3月期・通期の想定為替レート(ドル円)を1ドル=141円に設定している。2024年2月初旬のドル円レートは148円付近で推移しており、想定為替レートを7円下回っているのが実情である。今後、愛三工業が業績予想のさらなる修正に動くかどうか、ドル円レートや株価とともに注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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