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日清食品、株価は上場来高値を視野に? 海外事業が急成長、国内即席めん事業も好調続く

日清食品,株価,なぜ,高い
(画像= La Caprese)

2022年9月12日、日清食品は「カップヌードル スーパー合体シリーズ」の第2弾を発売した。昨今、「カップヌードル」のアレンジメニューとして、さまざまなフレーバーを混ぜ合わせる食べ方がSNSを中心に盛り上がりを見せている。そうした中、日清食品は2021年にカップヌードルの定番フレーバー8種から2つを組み合わせた「カップヌードル スーパー合体シリーズ」(第1弾)を発売して話題を呼んだ。

今回の「カップヌードル スーパー合体シリーズ」第2弾では、カップヌードルの定番フレーバー10種、全45通りの組み合わせの中から厳選した4つの商品を発売した。詳細は下記の通り。

「カップヌードル スーパー合体シリーズ」第2弾のラインナップ

カップヌードル&シーフードヌードル
ペッパーをきかせたカップヌードルのオリジナルスープと、魚介とポークのうまみを濃縮したシーフードスープが合体

チリトマト&トムヤムクン
トマトの甘みと酸味にチリのピリっとした辛さをきかせたチリトマトスープと、魚介だしをベースに各種香辛料をきかせたトムヤムクンスープが合体

欧風チーズカレー&味噌
デミグラスベースにチーズのコクを加えたカレースープと、3種の味噌にジンジャーやガーリック等をきかせた味噌スープが合体

辛麺&にんにく豚骨
辛味と酸味が絶妙にマッチした旨辛スープと豚のうまみとにんにくの風味がきいた豚骨スープが合体

トマト好きの筆者としては「チリトマト&トムヤムクン」が気になるところであるが、それにしても日清食品の商品プロモーションやブランディングにはいつも感服させられる。今回の「カップヌードル スーパー合体シリーズ」のように消費者目線に立った、遊び心溢れる「攻めのプロモーション」は日清食品のお家芸の一つといっても差し替えないだろう。そして、こうした企業文化が投資家から注目される要因の一つにもなっているように感じられる。

ちなみに、日清食品ホールディングス(以下、日清食品HD)の株価は今年8月23日に一時1万260円まで買われ、年初来高値を更新した。今年1月19日につけた年初来安値7,640円から約7カ月で34.3%の上昇である。その後は一服状態にあるが、2020年8月25日に記録した上場来高値1万960円が視界に入っており、今後の展開が気になるところだ。

今回は日清食品HDの話題をお届けしよう。

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国内即席めん事業が好調、一方で飲料事業、チルド事業、菓子事業が減益

日清食品HDが8月4日に発表した2023年3月期・第1四半期(2022年4〜6月期)決算は、売上高にあたる売上収益が前年同期比12.7%増の1,492億6,300万円、本業の利益を示す営業利益は同0.1%増の132億5,600万円、純利益は4.6%減の75億3,000万円となった。

セグメント別では国内即席めん事業の売上収益が前年同期比1.9増の570億円、コア営業利益は同7.2%増の86億円となった。日清食品の「世界のカップヌードル」シリーズが売上増加に大きく貢献したほか、「カップヌードル 辛麺」「最強どん兵衛」の売上収益も引き続き好調に推移した。また、明星食品のカップめん「明星 ぶぶか油そば」「明星 ぶぶか油そば ガチ太」「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG」の売上収益も軒並み伸長し、業績に寄与した。

一方、国内非即席めん事業は売上収益が前年同期比で1.7%増の379億円、コア営業利益は同19.6%減の18億円と大きく落ち込む増収減益となった。

国内非即席めん事業は、飲料事業が日清ヨークの「ピルクル400」シリーズや「ひざアクティブ」などで売上収益を伸ばしたものの、拡販費の増加等により減益となった。チルド事業も猛暑日が続いた影響から冷しめん類の販売が好調に推移したものの、原価率の上昇により減益を余儀なくされた。また、菓子事業では、日清シスコの「ココナッツサブレ」シリーズが堅調に推移したほか、ぼんちの「ぼんち揚」や「ピーナツあげ」も好調に推移、さらに湖池屋も「KOIKEYA The」シリーズや「スコーン」を中心に販売が拡大した。ただ、一方で日清シスコのシリアルの販売の伸び悩みや、資材高騰の影響もあって減益となった。

海外事業が絶好調。米国、中国の需要増加がけん引

注目されるのは海外事業だ。同期の売上収益は前年同期比で38.5%増の536億円と急増、コア営業利益も同7.1%増と伸長した。

海外事業では特に米州地域の売上収益が前年同期比47.9%増と大幅な伸びとなったほか、中国地域も同26.5%増と好調だった。米国の即席めん需要が引き続き旺盛なほか、ブラジルでも「Nissin Lamen」や「CUPNOODLES」の販売が好調に推移した。また、中国地域では中国版カップヌードル「合味道」の販売が好調だった。海外事業も主要原材料や物流費、人件費の高騰があったものの、価格改定による販売単価増の増収効果や、為替の対円での現地通貨高などがポジティブに作用した。

インフレが進行する中でどのような経営戦略を展開するのか?

さて、今回紹介したように、日清食品HDの業績は国内非即席めん事業(飲料事業、チルド事業、菓子事業など)の落ち込みを、国内即席めん事業や海外事業の増加でカバーしている構図が読みとれる。特に海外事業の売上収益は536億円で国内即席めん事業(570億円)に肩を並べる勢いで成長している点が注目される。冒頭で述べたように、日清食品の商品プロモーションやブランディングにはいつも感服させられるが、世界的にインフレが進行する中でどのような経営戦略を展開するのか、注目しておきたい。■

(経済ジャーナリスト 世田谷一郎)

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