新型コロナウイルス禍で大きく減少したスーツ需要が戻りつつある。帝国データバンク(本社:東京都港区)が2024年3月11日に公表した調査報告によると、上場するスーツ関連企業7社のスーツ事業の売上高合計は前年度比約4%増の3,600億円に上る見通しとなったほか、スーツ事業の営業利益合計も5年ぶりに100億円を超えるとみられることが明らかになった(2023年度業績)。スーツ店舗数は2023年度末時点で2,300店舗前後になるとみられ、コロナ前で最も多かった2017年度末(2,997店)から約700店減・8割前後まで縮小する。大手を中心に、新型コロナウイルス禍に行った大規模な店舗整理が影響した。
(図1) 出典:帝国データバンク
コロナ前に比べるとスーツ需要は回復途上にある半面、冠婚葬祭向け礼服需要の回復やオーダースーツ人気の高まり、「ビジカジ」ウェアの販売拡大が各社の業績アップを後押しした。業界首位で「洋服の青山」を展開する青山商事は、自社のオーダースーツブランド「Quality Order SHITATE」を全店舗に導入した。一方、「AOKI」「ORIHICA」を運営するAOKIホールディングスは、高価格帯「金のスーツ」が好調なほか、「パジャマスーツ」や女性向けウェアの商品提案力を強化した。
(図2) 出典:帝国データバンク
足元では「2024年度の新入学・入社式向けが好調」と聞かれるほか、パターンオーダーを含め「オーダースーツが想定以上に売れている」との声も聞かれる。帝国データバンクは「既存のビジネススーツ以外における商品力の強化が実を結ぶ形で、新型コロナウイルス禍の苦境から『復活』の兆しが見えている」と分析している。■
(La Caprese 編集部)