記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

リンガーハット、業績回復への期待。株価は年初来高値、2024年2月期は営業黒字を予想

リンガーハット,株価,上昇,理由
(画像= La Caprese)

2023年4月18日、東京証券取引所でリンガーハットの株価が一時2,397円まで買われ、年初来の高値を更新した。2022年10月17日の安値2,001円から6カ月で19.8%の上昇である。

リンガーハットは、長崎ちゃんぽんの専門店「リンガーハット」や、とんかつ専門店「濵かつ」等の外食チェーン等を運営する企業の持株会社である。その源流は、1962年に長崎県長崎市で創業した「とんかつ浜勝」にまでさかのぼる。1974年には、長崎ちゃんめん(現在の長崎ちゃんぽん)やぎょうざを主力商品としたチェーン店1号店を長崎市に開店、1982年には商号を「リンガーハット」に変更している。ちなみに、「リンガーハット」は幕末から明治時代にかけて、長崎で活動した英国人貿易商のフレデリック・リンガーに由来する。

後段で述べる通り、4月14日にリンガーハットが発表した2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績は営業損益と純損益で赤字となったほか、経常利益も大幅に減少した。しかし、その一方でリンガーハットは2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、営業損益と純損益で黒字に転換、経常利益も急回復する見通しを示したことが刺激材料となった。

今回はリンガーハットの話題をお届けしよう。

スポンサーリンク

リンガーハット、2023年2月期の経常利益は86.6%減少

4月14日、リンガーハットは2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比11.2%増の377億3,400万円、営業損失は2億9,200万円(前期は14億6,400万円の営業損失)、経常利益は前期比86.6%減の2億6,300万円、純損失は4億300万円(前期は9億4,200万円の純利益)となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の影響を受けながらも、座席でのタブレットオーダーやセルフレジの設置等、安全・安心な環境で食事を楽しめる店舗づくりに取り組み、6店舗(うち海外ではカンボジアに1店舗)を新規出店した。その一方で、30店舗を退店した結果、同期末では国内で655店舗、海外で9店舗、合計664店舗(うちフランチャイズ店舗167店舗)となり、前期比24店舗の減少となった。

セグメント別の概況は以下の通りである。

長崎ちゃんぽん事業は4億600万円の営業損失

長崎ちゃんぽん事業の売上高は前期比12.0%増の301億4,400万円、営業損失は4億600万円(前期は13億8,800万円の営業損失)となった。

「長崎ちゃんぽんリンガーハット」では、毎月各店舗にて、パート・アルバイト従業員も参加する月例会を開催し、店舗の問題点を洗い出し、全員で改善作業を推進した。また、商品施策として、春には旬のあさりを使用し、地域別に3種類の商品を用意した「あさりちゃんぽんシリーズ」、夏には茄子に麻婆と特製味噌の自家製ソースを絡めた「冷やし麻婆茄子ちゃんぽん」、冬には焦がし醤油の焼きコーンと4種類の特製味噌が絡み合う「北海道コーンみそちゃんぽん」など、四季を感じられる商品を販売した。

さらに、創業60周年記念メニューの第1弾としてカリーノケールが入った「夏野菜と豚しゃぶ冷やしちゃんぽん」、続く第2弾としてリンガーハットで初めて酸辣湯スープを使用した「秋の彩りちゃんぽん」、第3弾として豆乳クリームバターで焼き上げた牡蠣と4種類の特製味噌を使用した「かきちゃんぽん」を販売した。

そのほか、2022年4月からはテイクアウト商品で提供しているスプーンをバイオマス素材配合のスプーンに変更することで、プラスチック使用量の削減に努めた。また、一部店舗では食品廃棄を削減するプロジェクトに参加するなど、地球環境保全やSDGsへの貢献に努めた。

なお、同期は国内で5店舗、海外でカンボジアに1店舗を新規出店し、リロケートを含む28店舗を退店した。その結果、同期末の店舗数は国内で570店舗、海外で7店舗の計577店舗(うちフランチャイズ店舗150店舗)となった。

とんかつ事業は営業黒字に転換

とんかつ事業の売上高は前期比8.4%増の74億4,700万円、営業利益は7,600万円(前期は1億8,000万円の営業損失)となった。

同期は、「とんかつ濵かつ」の各店舗にて、パート・アルバイト従業員も参加する月例会を開催し、店舗の問題点を洗い出し、全員で改善作業を推進した。また、商品施策として、春には「明太重ねかつ」と「アスパラ巻かつ」を、夏には創業60周年記念メニュー第1弾として、染めおろしでさっぱりと楽しめる紀州南高梅と国産大葉を使用した「節目の夏御膳(梅しそ巻)」を、さらに秋冬には創業60周年記念メニュー第2弾として、広島産牡蠣を使用した「牡蠣ふらい」など、季節を感じながら食事を楽しめる商品を販売した。

なお、同期は国内で2店舗を退店した結果、期末における店舗数は国内で85店舗(和食業態の長崎卓袱浜勝、とんかつ大學を含む)、海外で2店舗、合計87店舗(うちフランチャイズ店舗17店舗)となった。

設備メンテナンス事業は減収減益

設備メンテナンス事業の売上高は前期比1.3%減の15億9,600万円、営業利益は同2.5%減の1億4,700万円となった。設備メンテナンス事業は、グループ内直営店舗およびフランチャイズ店舗の設備維持メンテナンス等の工事受注や機器類の保全などが主な事業である。

リンガーハット、2024年2月期は営業黒字を予想

リンガーハットは、2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、売上高で前期比8.7%増の410億円、営業利益で11億円(前期は2億9,200万円の営業損失)、経常利益で前期比241.2%増の9億円、純利益で4億円(前期は4億300万円の純損失)となる見通しを示した。ちなみに、同期の既存店売上高は新型コロナウイルスの影響がなかった2019年度の水準に対して、長崎ちゃんぽん事業がマイナス4%、とんかつ事業がマイナス4%の影響が残ることを前提としている。

リンガーハットは、新型コロナウイルス禍の行動制限の緩和による外食機会の増加やテイクアウトやデリバリーサービスの拡充などに伴い、消費者の購買活動はコロナ禍以前の状態に戻りつつあるとしながらも、原材料費や光熱費の高騰、継続的な採用難など事業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続くと予想している。こうした状況下、リンガーハットは食の「安全・安心・健康」に継続して取り組むとともに、グループ全員参加であらゆる知恵を絞りながら企業価値向上に取り組む方針である。

引き続き、リンガーハットの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:外食産業「復活」への期待
特集:外食産業「復活」への期待
タイトルとURLをコピーしました