唐揚げ専門店の倒産が急増している。帝国データバンクが2023年12月7日に公表した調査報告によると、持ち帰りを中心とした「唐揚げ店」の倒産は、2023年11月までに22件発生した。前年の7倍規模に達したほか、年間の倒産件数として初めて10件を超え、これまで最多だった2021年(6件)を大幅に上回って過去最多を更新した。ただ、唐揚げ店の多くが1~2店舗を展開する小規模な事業者で、水面下の閉店などを含めれば、2023年はより多くの唐揚げ店が市場から淘汰されたとみられる。
「揚げたて」以外の付加価値が提供できない専門店で淘汰が進む?
唐揚げ専門店の苦境が鮮明となった背景には、競合他社の増加のほか、節約志向で持ち帰り唐揚げの「コスパ」が低下している面も無視できない。帝国データバンクによると、主要唐揚げチェーン店における価格は約340円(3個平均)に対し、スーパーやコンビニの唐揚げは3割安い220円前後、市販の冷凍唐揚げは半額の170円程度にとどまる。唐揚げ専門店を経由した唐揚げの購入機会はコロナ禍に比べて減少傾向にあるなか、割高感が「揚げたて」のメリットを上回り、購買意欲が伸び悩む要因にもなっている。
加えて、唐揚げに使用される輸入鶏肉はコロナ前に比べて2倍、食用油も1.5倍に高騰したものの、「安くて美味い」B級グルメのイメージや、もともと価格が高めなゆえに「大幅値上げは難しい」といった声も多い。そのため、客離れの懸念と仕入れ価格高騰による収益減の板挟みとなり、経営破綻する唐揚げ店も少なくない。
他方で、ニチレイフーズの調査では唐揚げは「好きなおかず」で4年連続1位になるなど、唐揚げメニュー自体の人気は依然根強い。ポストコロナで外食需要が回復するなど競争も激化するなか、「揚げたて」以外の付加価値が提供できない専門店で淘汰が進むとみられる。■
(La Caprese 編集部)