記事内に広告が含まれています。

エッセイ:侍ジャパン準決勝進出、舞台はマイアミへ。株式市場では早くも「大谷ロス」ムードも?

wbc,関連銘柄
(画像= Canva、La Caprese)

2023年3月16日、野球の世界一を決定するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の準々決勝で、日本代表「侍ジャパン」はイタリア代表を破り、5大会連続の4強入りを果たした。この日、投打のリアル二刀流で臨んだ大谷翔平投手は最速164キロの速球を軸に4回3分の2を2失点・5奪三振で切り抜け、打者としては3回に意表をつくバント安打を決めて先制点のお膳立てをした。さらに岡本和真内野手が左翼へWBC1号となる3ランを含む計5打点の大活躍に加え、継投ではダルビッシュ有投手をはじめとする投手陣の奮闘でチームは大勝した。

侍ジャパンの栗山英樹監督は、試合後の会見で「本当の勝負はここから」と語った。準決勝は、米フロリダ州マイアミにて日本時間3月21日(米国時間3月20日)に、メキシコとプエルトリコの勝者と対戦する。

一方、株式市場のWBC関連銘柄の中には、早くも「大谷ロス(WBCロス)」とも呼べるような展開も散見されはじめている。「侍ジャパン」のオフィシャルユニホームパートナーで、レプリカユニホームなど公式グッズも販売しているミズノの株価は3月10日に約4年7カ月ぶりの高値となる3,760円を付けたが、3月17日の終値は3,125円で高値から16.8%下落した。「ダルビッシュ有選手モデル」などのグラブを販売するアシックスは3月8日に7年7カ月ぶりの高値となる3,815円を記録したが、3月17日の終値は3,420円で10.4%の下落。ビールを飲みながら野球観戦できるバーや居酒屋を運営するハブの株価は3月9日に付けた昨年来高値の1,003円から3月17日の終値666円まで33.6%下落している。

スポンサーリンク

大谷工業は8営業日で3.3倍に高騰したが…

だが、中にはWBCとは関係のない銘柄までもが乱高下している。東証スタンダードに上場する「大谷工業」の株価は、予選リーグ2日前の3月7日から出来高の増加をともなって上昇を開始。3月7日の終値で4,805円だった大谷工業の株価は、3月16日には一時1万6,050円の高値を記録、8営業日で3.3倍に跳ね上がった。しかし、その後は急反落し、翌3月17日の終値は9,700円と高値から39.6%の下落を記録している。

大谷工業は、電力や通信用架線金物および送電鉄塔などを手掛ける鉄鋼製品メーカーだ。WBCはもちろんのこと、大谷翔平選手とも関係のない企業である。ちなみに、今年2月14日に大谷工業が公表した2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の業績は、売上高が前年同期比7.9%増の51億6,700万円、本業の利益を示す営業利益は同29.2%増の1億8,000万円、経常利益は同26.2%増の1億8,600万円、純利益は同25.3%増の1億2,800万円と大幅な増収増益となった。特に営業利益、経常利益、純利益は通期計画を上回る好決算であった。

大谷工業は、北陸電力向けの配電金物を取り扱っている。3月3日には原子力規制委員会が北陸電力志賀原発2号機の審査において、原子炉建屋の直下を走る断層が「活断層ではない」と認定したことから、株価も動意づいていたのだが、WBCの開幕が近づくにつれて「大谷」の社名が独り歩きする形で人気に火がつき上昇スピードが加速した。大谷翔平選手と同名である大谷工業の株価上昇は、新聞等の一部メディアでも取り上げられるなど一躍脚光を浴びることとなった。それにしても、相場に価格変動リスクはつきものとはいえ、凄まじい展開である。

「本当の勝負はここから」侍ジャパンの栗山英樹監督はイタリア戦後の会見でそう語った。いよいよ佳境を迎えるWBCであるが、株式市場の関連銘柄の一部では、早くも「大谷ロス(WBCロス)」ともいえる展開が散見されはじめている。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

タイトルとURLをコピーしました