2023年11月22日、東京証券取引所で東京エレクトロンデバイスの株価が一時4,845円まで買われ、株式分割を考慮したベースで上場来高値を更新した。今年1月5日の安値2,140円から10カ月半で126.4%の上昇である。
東京エレクトロンデバイスは、神奈川県横浜市に本社を置く電子部品専門商社である。東京エレクトロングループの独立系技術商社で、半導体製品やボード製品、一般電子部品、ソフトウェアの購入・販売、および設計・開発等が収益の柱となっている。2022年11月に米企業のOpenAIが「ChatGPT」を公開して以来、世界的に生成AIへの関心が高まる中、株式市場では「生成AI関連銘柄」の一角としても度々注目されている。
また、後段で述べる通り、❶東京エレクトロンデバイスが公表した2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正したこと……なども株価のサポート要因となっている。
今回は東京エレクトロンデバイスの話題をお届けしよう。
東京エレクトロンデバイス、純利益は27.0%増
10月31日、東京エレクトロンデバイスは2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比7.1%増の1,196億9,800万円、本業の利益を示す営業利益は同8.8%増の71億5,300万円、経常利益は同20.1%増の62億5,300万円、純利益は同27.0%増の45億5,100万円と増収増益となった。
セグメント別の概況は以下の通りである。
半導体及び電子デバイス事業
半導体及び電子デバイス事業の外部顧客への売上高は前年同期比6.3%増の1,053億4,400万円、セグメント利益(経常利益)は同15.9%増の49億9,000万円と増収増益となった。
同期は、取扱い半導体製品の需給バランスが改善傾向にあることなどから、産業機器向け、車載向け半導体製品の販売が堅調に推移した。また、顧客商権が拡大したほか、産業機器向け、医療機器向けの設計・量産受託サービスも堅調に推移、さらにドル建て販売において為替相場が円安傾向で推移したことも増収増益に寄与した。
コンピュータシステム関連事業
コンピュータシステム関連事業の外部顧客への売上高は前年同期比13.3%増の143億5,300万円、セグメント利益(経常利益)は同39.9%増の12億6,300万円と大幅な増収増益となった。
同期は、クラウドへの移行やセキュリティ対策といった企業のIT投資が引き続き堅調で、それに伴ってセキュリティ関連製品、サブスクリプション型ライセンスおよびサービスの販売が好調に推移した。また、ネットワーク関連製品の販売についても納期が改善傾向にあることなどから堅調に推移し、増収増益に寄与した。
顧客商権の拡大、車載向け半導体製品の販売増が続く
10月31日、東京エレクトロンデバイスは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比4.0%増の2,500億円、経常利益で同8.2%増の135億円、純利益で同11.3%増の97億7,000万円と増収増益の見通しを示した。これは従来予想(4月27日公表)に比べて、売上高でプラス8.7%、経常利益でプラス12.5%、純利益でプラス15.6%の上方修正である。
東京エレクトロンデバイスは上方修正の理由について、中国経済の減速をはじめとする世界的な景気の先行き不透明感や半導体を巡るサプライチェーン全体での在庫調整が長引きつつあるものの、顧客商権の拡大および車載向け半導体製品の販売が堅調に推移することを想定し、増額修正したとしている。なお、見立て通りとなれば、2024年3月期・通期の純利益で過去最高益を更新することとなる。
引き続き東京エレクトロンデバイスの業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)