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日本企業のイスラエル進出92社。テルアビブ地区に39社、ガザ周辺の進出はゼロ――帝国データバンクの調査報告

イスラエル,日本企業,進出
(画像= Canva、La Caprese)

2023年10月11日、帝国データバンクは保有する企業データベースに加え、各社の開示情報等を基に、工場や事業所・駐在員事務所、サービス・保守拠点などの設備・施設、直接出資などでイスラエルに関連会社などを有する企業に関する調査報告を公表した。

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(図1) [注1] 対象は、帝国データバンクが保有する企業データベースに加え、各社の開示情報等を基に、工場や事業所・駐在員事務所、サービス・保守拠点などの設備・施設、直接出資などでイスラエルに関連会社などを有する企業。[注2] パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区およびガザ地区)は調査の対象外としている。※調査期間:2023年9月末時点 出典:帝国データバンク

(図1)に示す通り、イスラエルに進出している日本企業は、2023年9月時点で92社であることが判明した。このうち、具体的な進出先が判明した72社の進出地域をみると、事実上の首都・テルアビブを中心とした「テルアビブ地区」が39社と最も多く、ペタフ・チクヴァなど「中央地区」(15社)をはじめ地中海沿岸部の進出が目立った。

また、特に被害が大きいガザ地区近隣への進出事例は確認されなかったが、「南部地区」の進出は一部でみられた。日本・イスラエル間では、投資協定や経済連携協定の締結など経済面での距離が近年縮まっていることも背景に、大手企業が中心となってイスラエル進出が活発化している。なお、中小企業におけるイスラエルへの進出は比較的少数にとどまった。

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進出形態は、「サービス・開発拠点」が全体の7割を占める

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(図2) 出典:帝国データバンク

イスラエルへの進出形態では、判明する企業70社のうち、現地での販売拠点や研究施設を含めた「サービス・開発拠点」が49社と全体の7割を占め、特にR&D施設の進出が目立った。一方、生産拠点となる「製造・流通拠点」は12社と少数にとどまった。同じ中近東エリアで、日本企業の進出が多いトルコと比較すると、現地生産拠点や中近東向けの輸出入などビジネス統括拠点としての進出が多いトルコに対し、イスラエルへ進出している企業では研究・開発拠点として展開するケースが多くみられた。また、先端技術などを多く有するイスラエル国内のスタートアップ企業やハイテク企業と提携するための拠点として進出する企業も多くみられた。

イスラエル進出、製造業が41社・4割超を占め最多

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(図3) 出典:帝国データバンク

業種別にみると、イスラエル進出で最も多いのは判明する92社のうち、「製造業」が41社と全体の44.6%を占めた。製造業では現地での保守サービスや販売目的での進出が多かったほか、現地スタートアップとの協業や出資目的の進出も目立った。「金融・保険業」(12社)も、現地ベンチャーキャピタルの組成や出資目的の進出が中心で、欧州各国などへの進出にみられる支店開設などのグローバル金融拠点としての進出は少数にとどまった。

イスラエル進出の動きは一時的に減退する可能性も?

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(図4) 出典:帝国データバンク

イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃で、外国人犠牲者も多数発生するなど事態が深刻化しており、日本企業でも警戒感が広がっている。イスラエルに進出する日本企業の中には、今回の武力攻撃で被害を受けたガザ近隣への進出は確認されなかった。イスラエル情勢の悪化は今後も避けられないと見られるが、「当面は現地駐在員の退避など早期に実施可能な対応にとどまるとみられる」と帝国データバンクは分析している。

ただし、中長期的に武力衝突のエスカレートが続けば、「イスラエルへの投資意欲減退や、現地拠点の一時的な撤退といった動きが表面化する可能性がある」(帝国データバンク)という。また、「近年の日本企業によるイスラエル進出は、同国スタートアップ企業の買収・出資によるものが多い」(同)とも指摘される。今回の武力衝突では、すでに30万人の予備役招集が発生しており、買収先企業や駐在所のイスラエル人社員が軍に召集されるなど、従業員雇用の面で当初の経営計画から想定外の事態となる恐れも否定できない。■

(La Caprese 編集部)

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